【第3回】台湾で出産!産後ケアセンター(月子中心)を体験!

第3回は、令和元年5月に生まれた第3子の妊婦、出産生活についてお伝えします。

台湾の妊婦検診はいたってシンプル!

まず、病院で妊娠の確認ができると、その場で『妊婦手帳』が渡されます。
日本の『母子手帳』は、妊娠期と子どもの成長記録が1冊になっていますが、台湾では、『妊婦手帳』と『子ども手帳』に分かれています。出産が終われば、妊婦手帳は役目を終えるのですが、「あー、私と子どもの体が離れて、一人の人間が誕生したんだな」と妊娠生活の卒業証書をいただいたみたいな気持ちが湧きました。

「妊婦手帳」と「子ども手帳」の写真
『妊婦手帳』と『子ども手帳』

妊婦検診は保険診療であるため、いたってシンプルです。
毎回エコー検査がありますが、異常の有無を確認するのみで、日本のように、赤ちゃんの表情や動いている姿を見せてくれることはめったにありません。

そして、出産までのスケジュールについても、日本人と台湾人の『共有』に対する意識の違いに驚かされました。
日本では、妊娠が確定した段階で、出産予定日までのスケジュールを一覧で確認し、いつ、どのような検査があるのかなどを教えてくれるのが一般的です。しかし、台湾で共有されるのは、「次回」のみ。よほどのことがない限り、先のことまで説明してくれることはありません
臨月が近づいてきたときに、「出産の準備やバースプランについての説明はいつありますか?」と聞くと、「分からないことは今聞いてくれればいいし、希望はいつでも伝えてください」と言われました。分娩予約もなく、本当に陣痛当日に受け付けてくれるのか、とってもソワソワしました(笑)。

病院内にいる通訳者にその点について尋ねてみると、「日本人は先を知りたがる人がとても多いですね。台湾では、医師や看護師が分かっていれば大丈夫とお互いが思っているので、気にする人は少ないです。知りたいことは自分から聞かないと、日本のようには説明してくれませんよ」と忠告してくれました。
このような意識の違いは、仕事場面でも経験をされている駐在員さんが多いのではないでしょうか。

産後1か月間、ママのケアを大切にする台湾の風習

こうして、私は大きなトラブルもなく無事出産を終えることができました。

私が出産した病院がある地域では、胎盤を庭の木の根元に埋めるという風習があるそうです。出産直後に、医師から胎盤を持って帰るかを聞かれ丁重にお断りしました(笑)。

さて、病院を退院後、その足で向かった先は、月子中心と呼ばれる産後ケアセンターです。

「座月子(ズオユエズ)」という風習のイメージ写真
ネックレスになったクッキーは生後4ヶ月の行事「収涎」で使います。日本のお食い初めと同じ意味合いを持つ行事で、この赤い糸に通したクッキーでよだれを拭くことで、これから食べ物に困らないようにと願いを込めます。

台湾では産後1か月の産褥期を「月子(ユエズ)」と呼んでいます
日本では「産後の肥立ち」という言葉があるように、中国圏では「座月子(ズオユエズ)」という風習があります。これは、出産を終えたお母さんはきちんと休んで、栄養を取り、心身を回復させることを意味します。台湾人は皆、この文化をとても大事にしています。
また、座月子には禁止ルールも多く存在し、いまでこそゆるくなったそうですが、「頭を洗ってはいけない」「風にあたってはいけない」「ごま油をとってはいけない」など、食事や行動に対する禁止事項の話をたくさん聞きましたし、実際に注意も受けました。

台湾では産褥期をママがゆっくりと静養するための施設や制度が充実しています。

私の場合は、夫と義理の両親に上の子ども2人の世話をお願いし、ケアセンターを2週間利用することにしました。
ほかに、通称「月子おばさん」と呼ばれる住み込みあるいは、通いのお手伝いさんを利用する人もいます。

快適!!産後ケアセンター(月子中心)

産後ケアセンターは、病院に併設しているところから富裕層向けまでさまざまなグレードがあり、費用は日本円にして1日15,000円~50,000円ほどです。台湾人の平均月収が約12万円といわれているので、けっして安い金額ではありません。しかし、近年台湾でも利用する人が増えていて、センターの数も年々増加しているといいます。
どの施設もホテルのような個室に、ベッド、シャワールーム、トイレ、冷蔵庫、テレビなどが完備されています。

産後ケアセンターの部屋の写真
産後ケアセンターの部屋

赤ちゃんはベビールームで看護師さんが世話をします。いつでも会いに行ったり、一緒に部屋で過ごせたりもしますが、私は基本的には授乳時以外は預けていました。

日本の授乳指導では、3時間以上間隔を開けず、母乳をあげるのが基本とされています。しかし、ここではその間隔がとても長く、しかも、看護師さんからは、毎回「自分で授乳する? それともこちらでミルクをあげる?」と聞いてくれるのです。
もちろん母子の状況によって一律な指導ではないと思いますが、小児科の医師も看護師も、みんな「だってお母さん大変でしょ」と言ってくれることに、感動しました。

赤ちゃんが元気なら大丈夫。あとはお母さんもゆっくりやすみなさい。

そんなふうに接してくれるケアセンターでの生活は、本当にゆったりと過ごせましたし、他の人と協力して育児をするということの姿勢を学んだような気がします。

産後ケアセンターのサービス

食事は、月子食と呼ばれる、薬膳を基本とした食事が提供されます。この食事は、専門業者から配達されるのですが、私が滞在したセンターでは、3軒の業者から選べて、飽きることなく楽しめました。(月子食は、自宅へのデリバリーもできます)

3度の食事のほかに、間食には薬膳スープを、また、飲み物も日替わりでいろいろな効能のお茶が用意されていました。毎日メニューを見ながら、日頃食べたことのない食材をインターネットで調べながらとる食事も楽しみの1つでした。

月子食の写真
月子食

ケアセンターの特徴としてほかには、医療者が近くにいてくれること、母親教室が開催されていて、ママたちとの交流ができる点があります。

ベビールームには看護師が常駐しており、小児科医や中医(東洋医学の医師)が回診をしてくれます。母子ともに体の観察・ケアをしてもらえることで、心配や困りごとをすぐに解決できる安心感がありました。私も滞在中に、子どものヘルニアが発症したのですが、医師が発見し、すばやく処置をしてくださったおかげで、何の心配もありませんでした。

母親教室では、小児科医から「アレルギーの話」、看護師から「赤ちゃんとの生活の話」、インストラクターによる「産後ヨガ」などのプログラムがありました。同じ施設に滞在していても、意外と会わない同居者の方々と、この教室を通して話ができたりして、楽しむことができました。
今でもここで知り合った台湾人のお友達とは家族ぐるみで仲良くしています。

今回、台湾での妊娠・出産を無事に乗り越えられたのは、夫が産後約3か月間、時短勤務で上の子どもたちの世話を引き受けてくれたり、義理の両親が異国の地まで来て助けてくれたり、周りの台湾人・日本人のお友達がサポートしてくれたりと、たくさんの協力があってのことでした。

海外出産・育児を経験してみて、日本での行政からの支援(受け身で得られるサポート)のありがたみも感じました。

今は、

  • 自分で抱え込みすぎずにサポートを依頼していく
  • 出産も育児も家事もプロの手をうまく借りていく

ということを台湾人の姿勢を通して学び、3人の子育てを楽しんでいます。