クレッシェンドの人生【第7回 Win-Winを超えた「第3の案(R)」~シナジーでチャンスをつかめ!】

クレッシェンドの人生

20世紀最大のチェリストといわれ国連平和賞も受賞したパブロ・カザルスは、97歳で亡くなる日まで演奏をやめることはありませんでした。
自らの能力を開発し、力を高め、息を引き取るその瞬間まで最善を尽くしました。人生ももう晩年なのに、なぜもっとゆっくりしないのかと人々が不思議がると、彼はこう言うのでした。「引退するのは死ぬことです」

音楽が徐々に弱まっていくのをデクレッシェンドといい、逆に生命力を増していき、大きくなっていくのをクレッシェンドと言います。彼はそのことを言いたかったのでしょう。人生をデクレッシェンドにはしないと彼は決意していました。カザルスは、クレッシェンドの人生を送ったのです。

コヴィー博士が最も好きな言葉の1つが、この「クレッシェンドに生きる」です。

コヴィー博士も、79年の人生を終える直前まで、まだ本を書き、教え、コンサルティングをし、世界を旅していました。そして、常に第3の案を探す考え方を実践していました。

ある年齢になったら仕事を引退し、老後の人生を楽しむ。この二者択一の視点から人生全体を見るように、私たちはずっと教えられてきました。

しかしこれは、古い時代の考え方です。
コヴィー博士はそれよりも圧倒的に良い第3の案があると考えます。

貢献をすることです。
仕事を引退してからも、ライフワークを持ち続けられます。立派な貢献をし続けられます。
自分の身の周りにある重要なニーズに応えれば、第二のキャリアとして家族や社会に有意義な貢献をすることができます。
貢献の中身は、人によってまちまちでしょう。何に対して何をすれば貢献できるのかを考えること自体が、「第3の案」を探すことになります。

ミッションに従って生きる人生は活力に満ちています。有意義な貢献は私たちの免疫系を強くし、身体の再生力を活発化させます。ミッションがあるという意識が内面を膨らませるのです。

第3の案の人生を選ぶ人は、他者の幸福のためにより高い、より良い貢献をしようと、生きている限り努力します。
これこそが、人生において「為すべきこと」なのです。・あなたなら、貢献をしてクレッシェンドの人生を生きるという第3の案を選ぶでしょうか?
・それとも、年齢と共に人生をしぼませていくのでしょうか?
・あなたが残す遺産は何でしょうか?
・過去を振り返らず、まだやっていない貢献を探すでしょうか?
・この先にある刺激的な冒険は何でしょうか?
・堅固な何かを築けるでしょうか?
・周りの人々のために使える時間があり、何かの知識と経験を持っていたら、どのような貢献ができるでしょうか?
・あなたにとって、築くべき関係、あるいは修復すべき関係は何でしょうか?

あなたの周りにいる人々は、この世界の難題にあなたが答えを出すことを期待しています。

知性と情緒のシナジーによって答えを出したとき、あなた自身も有意義で目的のある人生に恵まれるはずです。