「第3の案」に達するための4つのステップ(2)【第6回 Win-Winを超えた「第3の案(R)」~シナジーでチャンスをつかめ!】

「第3の案」に達するための4つのステップ(2)

「第3の案」に達するための4つのステップの続きをご紹介します。

(3)創造:第3の案をつくる

基準を決めたら、その基準を満たす解決策を検討し始めます。プロトタイプをつくり、新しい枠組みをブレーンストーミングしたり、自分たちのアイデアをひっくり返してみたりしてみます。とりあえず判断は差し控えます。
極端な可能性を検討できるかどうかが、シナジーの成功の鍵となります。

シナジーのサイクルを動かすには、たった1人、あなたがいれば良いのです。あなたが他の人たちに「あなた方の考えは、私のとは違うようだ。話を聞かせてほしい」と言えば、シナジーは始まります。
自分の話を聴いてもらえたと全員が感じたら、「第3の案を一緒に探さないか」と促します。答えが「イエス」なら、成功基準を満たすさまざまな解決策を出し合い、検討を始めるのです。
「さまざまな解決策」ということが重要です。考えられる解決策はいくつもあります。「第3の案」を探すときは、多くの可能性が浮上するものです。解決策はたくさんあると信じて、自由闊達に話し合います。
知的興奮に包まれ、シナジーに達したと全員が実感できる瞬間まで、一切の判断は差し控えます。

「第3の案」によってシナジーを生み出すことの大切さについては、誰もがその通りだと賛成します。しかし、新しいアイデアやモデルが最も重要なことは誰でもわかっているにもかかわらず、そのアイデアを本当に実践し挑戦する人は稀です。

組織やチームによっては、ひどく硬直し、変化や新しいアイデアの導入に対して大きな抵抗感が存在する場合があります。むしろ、そのような組織のほうが多いのかもしれません。その場合、シナジーを試そうとする人は誰でも、大きなリスクを負うことになってしまいます。

しかし、シナジーのパラダイムとプロセスに従えば、より良い道は必ずあります。
私たちは全く新しい解決策を探すのですから、「第3の案」という創造的なアイデアが生まれる余地を創るために、自分の立場は一切捨てる覚悟がなければなりません。これはそう簡単にできることではありません。ですから、立ち止まってよく考え、「第3の案」を探すことを意識的に、覚悟して選ぶことが重要なのです。

(4)到達:第3の案に達する

どうなれば「第3の案」が見つかったとわかるのでしょうか?あるいはどうすれば確認できるのでしょうか?

それが「第3の案」であると判断するには、参加者がなすべきことをなし、全員が求める結果を実現し、成功基準を満たし、全員に勝利をもたらすことができると判断できた場合です。
アイデアに全員が深く満足すれば、シナジーに到達したと思っていいでしょう。躊躇や意見対立はなくなっています。この状態を維持していくと、あるとき創造的な躍動感が湧き上がります。それが「第3の案」が見つかった瞬間です。
「第3の案」だとわかると、お互いが知的興奮を感じます。不機嫌な態度や防御的な態度はすっかりなくなっています。第3の案が見つかったその瞬間に、創造的な躍動感に満ち溢れます。それは理解が「飛躍的」に高まった瞬間であり、「至高体験」であり、「流れ」に乗った状態です。

本来、「第3の案」は、徐々に良くなっていくのではなく、抜本的に変化し、飛躍的に前進するものなのです。
対立を解決しようとするとき、ほとんどの場合は、争いを止めるために、一時的な休戦や妥協といった低いレベルでの和解を交渉してしまいがちです。
しかしそれは、新たな結果を生み出す「第3の案」ではありません。

「第3の案」とは、どちらの側の現実よりもはるかに素晴らしい、新しい現実を創造することなのです。