第3の案を探すプロセス【第4回 Win-Winを超えた「第3の案(R)」~シナジーでチャンスをつかめ!】

第3の案を探すプロセス

「大いなる中間層」や二者択一思考の人と異なり、シナジーのマインドセットに到達している人は強い影響力を持ち、実に創造的で、生産的です。
彼らはパラダイムを変え、ゲームを変え、新しいものを創出します。

しかし、残念ながら、このようなシナジーのマインドセットに到達している人はそれほど多くはいません。
彼らのように「第3の案」を探そうとするなら、私たちのパラダイムを根本的に変えなければなりませんが、それはなかなか容易ではありません。

その理由のひとつは、「第3の案」を探すパラダイム(見方・考え方)が直観に反しているからです。

まず、エゴイズムを捨て、他者を本心から尊重しなければなりません。また、自分が「正しい」と思う答えを探そうとするのではなく、お互いにとって「より良い」答えを探し出すことに専念しなければなりません。
さらに、「第3の案」がどのようなものになるのか最初は誰もわからないのですから、先の見えない道を進んでいく勇気と度胸も必要となります。
このように「第3の案」を探すには、パラダイムから変える必要がありますが、ここで重要なことは、パラダイムには順序があるということです。

相手の意見を求め、シナジーを起こすには、自分と相手のお互いを肯定し、それに基づいた信頼関係が成り立っていることが必要です。そのためには、まず第1に、自分を客観的に自覚し、次に、相手を1人の人間として尊重しなければなりません。

それでは、第3の案を探すパラダイムについて、順番に見ていきましょう。

■パラダイム1.私は、自分自身を見る――自分の「側」とは無関係に自分を見る。

1番目のパラダイムは「自分自身を見る」です。
これは自己認識の状態であり、自分の心を探索して、動機、不安、偏見を突き止め、自分の思い込みを明らかにします。
これによって、他者に対して誠実になる準備ができるのです。

■パラダイム2.私は、あなたを見る――あなたの「側」の一員ではなく、一人の人間としてあなたを見る。

2番目のパラダイムは、相手を受け入れ、大切にし、尊重することです。
相手の態度や行動、信念ではなく、1人の人間として尊重しているからこそ、相手に肯定的な感情を持つのです。相手をモノではなく、人間として見ます。家族や兄弟姉妹のように見ることです。

■パラダイム3.あなたの考えは私とは異なるから、私はあなたの考えを求める。

3番目のパラダイムは、共感的理解です。
1番目と2番目のパラダイムを身につけていなければ、この状態には到達できません。共感とは、相手の考え方の根本まで肉薄し、真に理解することです。2人の人間が共感し合える状態はそうあるものではありません。
それどころか、私たちは「あなたが間違っていることはわかる」などと考えてしまいがちですが、これと対照的なパラダイムが「あなたの考えを求める」です。
相手について判断を下すのではなく、相手の感情、心、精神の内にあるものをしっかりと掴もうとするのです。新しいアイデアは、真の相互理解があって初めて生まれるものなのです。

■パラダイム4.あなたとシナジーを起こす――二人で協力し、お互いに考えたことのない素晴しい未来を創造する。

ここでようやく、両者がそれまで経験したことのない真の解決策に向かって共に学び、成長していくことができます。
相手と自分自身に対して真に肯定的な関心を持たなければ、「あなたとシナジーを起こす」パラダイムには到達できません。

2つの選択肢しかなく、どちらかが間違っていると思い込むマインドから脱却し、刺激的で創造的で、両者にプラスになる選択肢が無限にあると考えるマインドを獲得して初めて、相手とシナジーを起こすことができるのです。