今こそ、求められる「コネクティブ・リーダーシップ」
第2回 協働をガイドするコネクティブ・リーダー

プロフィール

中村 浩史
(Hiroshi Nakamura)

学校法人産業能率大学 総合研究所
経営管理研究所 主幹研究員 総合研究所准教授

  • 九州大学 教育学部 教育心理学科 卒業
  • 九州大学大学院 人間環境学研究科 行動システムコース 修士課程修了

現在は、様々な業種において、職場マネジメント研修、リーダーシップ研修、組織改革推進指導に従事。リーダーシップや職場活動向上に寄与する国内外の知見を研究中。

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中村 浩史

これからのリーダーに求められるもの

前回触れた通り、今、様々なものがICTで繋がるなど、各種技術が駆使され、つながりのある時代が訪れています。技術進化は、今後もさらに速度を上げるでしょう。そのような中、今までであれば、別々に活動していた組織が協働したり、異なる業界で活動していた組織が同じフィールドで協働したりするような場面も見られるようになってきました。世界中が、様々な業界が、様々な立場や年代の個々人が、今までとは異なり、つながりをもつ場面が増えてきています。

つながりは、協働を含め新たな活動を生み出す可能性を提供するとともに、対立や葛藤、関係性のこじれを生み出す可能性をはらんでいます。このような時代には、その状況を的確にとらえ、よりよい方向へ活動を展開するリーダーシップの発揮が問われます。それが、「コネクティブ・リーダーシップ」です。

「コネクティブ・リーダーシップ」を発揮するリーダーを「コネクティブ・リーダー」と表現します。「コネクティブ・リーダー」は、異なる考えや目標、価値観、経験を持つ者同士、極端な場合では、相容れずに競合してしまう者同士をうまく協働するように活動をガイドします。

コネクティブ・リーダーは、「コネクティブ・アイ(眼)」を持っている!

効果的に活動をガイドする際、コネクティブ・リーダーは、「コネクティブ・アイ(眼)」を持っていると、ジーン・リップマンブルーメン教授は表現します。

「コネクティブ・アイ(眼)」とは、協働したことのない、互いの関心も違ったりする、そんな人たちが協働する道を見出すような眼です。各人をいかに繋げたらよいのかが分かる眼であり、言いかえれば、異なる目標や価値観、技術などを持つ人たちを効果的につなぎ合わせることができる“レンズ”を通して見ているというのです。
そこにはそれぞれの関心や目標の共通性を見出していくことも含まれます。メンバー間にいくつかの側面で大きな相違があったとしても、共に働くことは可能です。共に働く新たな方法を、コネクティブ・リーダーがコネクティブ・アイ(眼)で見出していくのです。

こういった「コネクティブ・アイ(眼)」をもって効果的に協働をガイドすることは、危機的状況ではなおさら必要となってきます。なぜなら、危機的状況では、組織活動を進めるうえでの各種資源が十分ではなく、限られた中で、組織は活動を進めていかなければならないことが多いからです。

資源を取り合い争うのではなく、限られた資源を共有しながら、活用していく道を見出し、選択していく必要があります。知っている者同士よりも、知らない者同士が一緒に働くことの方が活動のハードルは高まります。互いのことをあまり知らない者同士が共に働き、信頼関係の構築方法を学びながら、活動を前進させ成果を出していこうという動きです。

危機的状況こそ、革新的な行動が必要となる

危機的状況こそ、革新的な進め方が必要とされます。通常期とはその様相を異にする危機においては、通常期にとられていた方法は時に適さず機能不全に陥ります。危機的な状況においてはそういった通常期の方法にとらわれない革新的な方法をとっていくことが求められます。
コネクティブ・リーダーは、コネクティブ・アイ(眼)を持ったうえで、各人をうまく協働するように活動をガイドし、新しい仕事の仕方、革新的な進め方を生み出していきます。

次回からは、ジーン・リップマンブルーメン教授の考えを軸に、新しい時代のリーダーシップについてさらに掘り下げます。