オンライン研修とは? 基礎知識から成功の秘訣まで

この記事では、オンライン研修の成功に欠かせない基礎知識から具体的な進め方、成功の秘訣まで、わかりやすく解説します。これから始める方でも安心して取り組める内容となっています。
オンライン研修の基礎知識
オンライン研修とは
オンライン研修とは、インターネットを介して実施される研修形式のことです。主にWeb会議システムなどを利用して実施されます。この形式は、地理的な制約を超えてどこからでも参加でき、移動時間もかからないのが特徴です。コロナ禍が落ち着き、対面研修が再び注目される現在でも、引き続きオンライン研修は活用されています。
オンライン研修が活用される背景には、企業の働き方改革が進み、社員の働く場所や時間が多様になってきていることも影響しています。リモートワークで働く人、地域・家庭の事情から移動や時間の調整が難しい人など、様々な受講者への配慮が必要になる中で、オンライン研修は柔軟な学習環境を提供する手段として重要です。また、対面研修と組み合わせることで個々のニーズに合った学習を実現することができます。
オンライン研修のメリット
オンライン研修には、対面での研修にはない以下のようなメリットがあります。研修の目的・内容や受講者に合わせてうまく活用することで、研修の効果を高めることができます。
(1)地理的な制約を受けずに、どこからでも参加できる
遠隔地の拠点やリモートワーク環境からでも参加可能です。研修会場に集まることが難しい受講者にも教育機会を均等に提供できます。
(2)移動や研修会場手配にかかるコストが削減できる
交通費・宿泊費や研修会場などのコストが削減でき、研修予算をおさえることができます。
また、移動時間による時間的コストの削減によって受講者の心理的負荷も下がります。
(3)オンデマンド配信や短時間の研修など柔軟な対応ができる
研修の内容によってはオンデマンド配信とし、受講者が都合のよい時間に学べる設計にすることも可能です。また、短時間の研修を複数回の会合で実施するような設計も、移動の負荷をかけずに実現できます。このように、対面研修と比べて柔軟な対応を可能にします。
(4)研修の記録が残しやすい
Web会議システムの録画機能を活用して研修を記録したり、演習やテストの成果物を集めたりする等、データを残しやすい特性もあります。そして、記録したデータを様々な活動に活かすことができます。例えば、研修の録画を復習や欠席者向けにアーカイブ配信したり、演習の成果物を研修成果の報告に活用したり、といったことが可能です。
- 【注意】研修を記録する際は、「講師」「研修会社」「他の受講者」などから事前に録画の許可を取るようにしてください。無断で録画をすると、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。
オンライン研修のデメリット
オンライン研修は柔軟に学習環境を提供できる一方で、いくつかのデメリットもあります。それらを理解し、研修の効果を落とさないように対策しておくことが重要です。
(1)通信環境や受講者のインターネット知識による影響を受けやすい
通信状態が悪いと、映像や音声が乱れるなどの通信トラブルが発生する可能性があります。また、事務局担当者や受講者がWeb会議システムの操作に慣れていないと、思うように研修が進められない場合があります。
そのため、事前に通信環境の確認や機器の操作確認などの準備をしっかりしておくことが重要になります。
(2)双方向のコミュニケーションが対面研修に比べて難しい
オンライン研修であってもWeb会議システムの機能を活用することで、講師と受講者間、また受講者同士で双方向のコミュニケーションをとることは可能です。しかし、受講環境や受講者の状況などによっては対面研修と比べて気軽にコミュニケーションをとりづらい場合があります。
そのため、研修目的や実施内容に適した準備が必要になります。
(3)受講者の集中力を維持しづらい
オンラインで受講していると、研修の空気感が伝わりづらいために集中力を維持しづらい傾向があります。
そのため、集中力を途切れさせない工夫が必要になります。
- 「聞くだけの講義」を長く続けない
- 適度に双方向のやり取りを入れる
- 対面と比べて休憩時間を早めにとる
などの様々な工夫をしながら、受講者が受け身にならず、飽きない状況を作ることが大切です。
オンライン研修の種類
ライブ配信型
講師がリアルタイムで講義や演習など行いながら研修を進行していく形式です。講義だけでなく、質疑応答などのやりとり、自分の意見の投稿、受講者同士のグループディスカッションなど、インタラクティブな体験の場を設けられます。オンライン研修のメリットを活かしながら双方向のコミュニケーションによる学び合いができることが特徴です。
オンデマンド型
録画された動画を配信し、受講者が各自で視聴して学習する形式です。受講者が自分の学べるタイミングや場所で視聴したり、必要に応じて見返したりと、各自のペースで学習できるため、様々な事情に配慮することができます。研修の復習や欠席者向けのアーカイブ配信などとしても活用できます。ただし、双方向のコミュニケーションができない点がデメリットです。
反転学習型
オンデマンドとライブ配信またはリアルの対面研修を組み合わせた形式です。基礎知識など個別に学べる内容をオンデマンドで学習し、応用など双方向のコミュニケーションをとりながら学んだ方がよい部分をライブ配信や対面研修で行うことで、両者のメリットを最大限に活用できます。
オンライン研修をどの形式で実施するのかは、研修の目的・内容や受講者の状況に応じて使い分けることが必要です。そのため、研修の狙い・ゴールに合わせて実施する形式・内容を設計することが重要になってきます。
学び合いなどによって学習効果を引き上げ、「学習の質」や「学習後の定着度」を高めたい場合には「ライブ配信型」および「反転学習型」の研修を推奨しています。
一方で、受講者を一律の時間に集めることが難しいなど「受講者への配慮」を優先すべき状況であれば「オンデマンド型」やeラーニングの導入を検討した方がいい場合もあります。そうした配慮が必要な場合も、学習効果の面を踏まえて研修ゴールを適切に設定することが重要になります。
オンライン研修を成功させるための準備のポイント
オンライン研修は準備がとても大切です。ツール・設備、環境、PC操作に関する知識などを揃えておくことで効果的な研修が実施できます。これらの前提が揃っていないと、余計な対応に時間をとられてしまう可能性があるので注意が必要です。
必要なツールと設備を揃える
オンライン研修を成功させるためには、以下のツールと設備が必要です。実施条件を揃えられるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
安定したインターネット環境
事前に動作確認し、安定的に実施できる環境になっているか確認しておきましょう。特に講師側の配信会場は研修全体の運営に関わるので高画質を安定的に配信できる環境になっている必要があります。
PC等のデバイス
機器の状態により、USBカメラやマイクなどの用意が必要になる場合もあります。
ヘッドセットやイヤホンマイク
PCのスピーカーやマイクでも通信可能ですが、場所によって雑音が入ったり、近くに他の人がいて音が出しづらかったりする可能性があるため、用意しておくことをお勧めします。
Web会議システム
受講者が、ZoomなどのWeb会議システムを使える環境を整えましょう。そうすることで、講義スライドの画面投影、チャット投稿、ブレイクアウトルーム機能によるグループディスカッションなどが可能になります。
受講者の受講形態を揃える
「全員が一人1台のPCで参加」など、受講形態を揃えることを推奨します。受講者全員に同じ条件で受講してもらうことで、研修がスムーズに進行しやすくなります。
それとは逆に、「オンライン参加者と対面の参加者が同時に受講」など受講形態が不揃いだと、それぞれに合わせた配慮のために余計な時間がかかってしまうことがあります。また、環境の違いによる受講者の不満が発生する可能性もあります。バラバラな受講形態を混在させることはできる限り避けるようにしましょう。
受講者のPC操作の知識を揃える
受講者がWeb会議システムの操作に慣れていないと、余計な問い合わせ等が発生して、研修に集中できなくなる可能性があります。操作マニュアルの整備や、事前に各自で操作確認をさせておくなど、できる限り前提を整えておくようにしましょう。
オンライン研修の効果を高める設計
双方向性の高い研修にする
学習効果を高めるには、「受講者自身が考え発言する」「他の受講者と意見やナレッジを交換する」などの、双方向性の高い研修の設計が大切です。また、そのような設計は受講者の集中力の維持にもつながります。
そのために、以下のような工夫を取り入れながら、受講者を積極的に研修に参加させるようにしましょう。
- チャット機能等を活用して意見や質問を促す
- ブレイクアウトルームを活用してグループディスカッションを行う
- クイズや投票機能などで理解度を確認する
教材や演習の説明の分かりやすさを意識する
教材や演習説明の分かりやすさは、受講者の集中力の維持や活発な議論のためにとても重要です。図解やポイント整理などで分かりやすい教材を作る、演習でやってほしいことや手順を丁寧に説明する、といったことを意識して用意しましょう。
目的に合った効果的な研修方法を組み合わせる
オンライン研修の特性を活かして、以下のような設計が可能です。目的に合わせて柔軟にプログラムを考えていくようにしましょう。
- 個別に学べる部分をオンデマンドやeラーニングで学び、受講者同士のやり取りを通じて学ばせたいことをライブ配信で学ぶ反転学習の設計
- オンライン研修を複数回に分けて、会合と会合の間に職場での実践課題を課すアクティブラーニングの設計
オンライン研修の失敗例と回避法
よくある失敗例
思うように進まず時間が足りなくなる
技術的なトラブルなども含めて、対面の研修と比べて一つ一つの進行に時間がかかってしまうことがよくあります。
一方向的な講義を続けてしまう
重要な話でも分かりやすい話でも、受講者自身が考えたり質問したりする機会が少ないと集中力が維持できず理解が深まりません。
操作に不慣れなまま研修を進行してしまう
不慣れな受講者が操作に戸惑ったりすることで進行が滞り、クラス全体の集中力が低下してしまうことがあります。
失敗を回避するためのヒント
時間の余白をとっておく
対面研修と比べて余裕をみた時間でプログラムを組み立てるようにしましょう。
講義を長く続けない
こまめに受講者のリアクションを求めるしかけを入れるようにしましょう。
事前確認や研修の導入を丁寧に行う
事前の操作確認などを各自でやっておくように段取りしましょう。さらに必要があれば研修の開始時に簡単に操作を確認して不安を取り除いておくとよいでしょう。
まとめ
オンライン研修を成功させるためには、メリット・デメリットなどの特性を理解したうえで、しっかり準備と設計を行うことが大切です。
対面研修への回帰が進む中でも、オンライン研修は企業の成長や社員のスキルアップに引き続き重要な役割を果たします。柔軟な学習スタイルを提供し、地理的な制約を超えて参加できるオンライン研修を活用し、より多様な学習機会を提供しましょう。成功には技術的な準備と、受講者のニーズを理解した設計が不可欠です。研修で得た学びを実務に活かすことを意識し、効果的なオンライン研修を実施していきましょう。

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