今求められる管理職の役割とは?~2003年と2023年の新入社員が選ぶ理想の上司の変化から読み解く~

今求められる管理職の役割とは?~2003年と2023年の新入社員が選ぶ理想の上司の変化から読み解く~ 今求められる管理職の役割とは?~2003年と2023年の新入社員が選ぶ理想の上司の変化から読み解く~

時代とともに変化するビジネス環境と働き方。
そのような変化の中、職場運営の鍵を握るのが管理職、いわゆる「上司」の存在です。激しい変化の中でも組織の持続的な成長を維持するために、管理職と呼ばれるビジネスパーソンにはどのような役割が求められているのでしょうか?

本記事では、産業能率大学総合研究所が1993年から実施している「新入社員が選ぶ理想の上司ランキング」のうち、2023年2003年の結果を比較し、20年間の変遷から見えてきた「現代に求められる管理職像」を探ります。

2003年と2023年のランキング結果

2003年には、理想の上司として「北野 武(ビートたけし)さん」が男性部門で1位に選ばれ、「黒木 瞳さん」が女性部門で選出されました。
当時、北野 武さんはテレビ番組での活躍だけでなく、2002年に公開された映画「Dolls」で映画監督として国際的な評価を受けるなど、幅広い分野での活躍が特に注目されていました。
同様に、黒木 瞳さんも「仄暗い水の底から」など様々な映画やドラマに出演し、広く人気を集めていました。

一方、2023年はメジャーリーグで活躍中の「大谷 翔平選手」が男性部門でトップに輝きました。大谷選手といえば、2023年のWBC(World Baseball Classic)での活躍が記憶に新しいかと思います。
また、女性部門では、日本テレビアナウンサーの「水卜 麻美さん」が3年連続通算5度目のトップとなりました。

男性部門
2003年と2023年の男性部門ランキング結果の画像拡大
女性部門
2003年と2023年の女性部門ランキング結果の画像拡大

2003年と2023年の比較(男性上司像)

カリスマ性から協調性へ

2003年にトップで選出された北野 武さんは漫才師から俳優、映画監督など、さまざまな分野で強烈な存在感を放ち、時に苛烈な表現や描写が話題になりつつも、そのカリスマ性と挑戦的な姿勢は多くの人々を魅了し続けています。
一方、大谷選手はチームの一員として、2023年WBCにおける7戦全勝優勝に打者と投手の両面から大きく貢献しました。彼はチームの勝利のため、個人での活躍を重ねつつも、チームメイトとの協調を大切にするシーンが多く報じられました。
これは、現代のリーダーには、個人の能力が高いだけではなく、協調性も重要視されている面があると言えます。

大胆さから謙虚さへ

北野 武さんは、他人の意見に流されることなく、自分の信念に従って行動する独立した精神を持っており、その大胆さが大きな魅力の一つです。これはリーダーとしての強い意志を示していると言えるでしょう。
対して、大谷選手は非常に謙虚であり、周囲のサポートへの感謝を示し、成功を分かち合います。彼は個人の成果を誇示することなく、チームと共に成功を享受する姿勢を持っています。
これは、現代のリーダーが共感や感謝を表現し、他者を尊重することが重要とされていることを示唆しています。

2003年と2023年の比較(女性上司像)

落ち着きから活気

黒木 瞳さんは、落ち着いた雰囲気と優美で深みのある演技が広く知られています。かつて宝塚歌劇団ではトップ娘役として活躍するなどキャリアも含め多くの経験を積んでおり、確かな実績が信頼に繋がっていると考えられます。彼女の佇まいは静かでありながらも存在感を放ち、発する言葉には気品と重みを感じさせます。
2003年当時のリーダーシップにおいて、信頼性や品格が求められていたことを象徴していたと言えるでしょう。

一方、水卜 麻美さんは、その明るさと優しさ、親しみを感じるキャラクターで広く知られています。華やかでポジティブなエネルギーを発信し、テレビ番組全体を一緒に盛り上げるような雰囲気を持っています。
2023年の職場環境においては、チームの士気を高め、生産性を向上させる明るさや活気が重要な要素となっていると言えます。

上品で洗練された雰囲気からオープンで関わりやすい雰囲気

黒木 瞳さんは、当時TBSドラマ「GOOD LUCK!!」にて誠実で信頼の厚い上司役を演じていました。その上品で洗練された雰囲気や優雅さ、知的で華やかな雰囲気は、多くの人に頼れるリーダーとしての印象を残しました。

また、水卜 麻美さんはそのオープンで関わりやすい雰囲気が特徴で、優れたコミュニケーション能力で知られています。朝の情報番組の司会やアナウンサーとしての活動では、視聴者やゲストとのスムーズなコミュニケーションが要求されますが、水卜さんが進行役として、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、場を活性化しています。
彼女のスタイルは現代のリーダーシップに求められるオープンなコミュニケーションとチーム内の関係構築の重要性を物語っています。

まとめ

これらの要素から、管理職に求められる役割が、「大胆な挑戦」や「上品で洗練された雰囲気」といったカリスマ的なリーダーシップから、「協調性」や「オープンで関わりやすい雰囲気」など、親身になって相談に乗る態度であったり、対等に話したりするといった「寄り添い型」「対話型」の姿勢に移り変わったと言えるでしょう。

これからの時代は、職場における個人の価値観が多様化し、個への配慮が求められる一方で、チームとして一体感のある場の醸成も求められます。管理職にはソフトスキルである対人関係の構築力が一層重要になると考えられます。

新入社員の意識の変化を踏まえ、管理職に求められる役割を再定義することは、組織の持続的な成長にとって必要不可欠です。
これまでの価値観や方法に固執することなく、時代に即したマネジメントを模索することが、管理職の重要な役割とも言えるでしょう。

イベント情報 【ご好評につき再配信!】

これらの変化に管理職が対応できる助けとなるよう、産業能率大学総合研究所では、「管理職に求める役割を問い直す」イベントを開催します。人事部門や教育部門の皆様はもちろん、管理職の皆様や、これから管理職を目指す方にも参加いただき、多角的な視点から管理職の役割について考える機会としていただければ幸いです。

2023年7月19日(水)に開催したライブ配信イベントの再配信となります。
※講演者の所属・肩書きは初回配信時のものです

管理職に求める役割を問い直す
~多様性の時代に適応する職場運営の秘訣とは~

【参考リンク】