グローバル時代の仕事と働き⽅

はじめに

本コラムは、主にこれから海外赴任される⽅を対象に「グローバル時代の仕事と働き⽅」をテーマに連載していきます。

コラム執筆にあたり、インドネシア、中国、ベトナムなどに進出した現地の⽇系企業に対して、私が直接関わった最近の研修および指導プロジェクトを振り返ってみました。

インドネシアでは、⼀年間にわたりインドネシア⼈の課⻑と部⻑と向き合い、現地マネジメントの最適化(ローカリゼーション)の取り組みの⽀援をさせていただきましたが、特にこのプロジェクトから重要な教育的知⾒を得ることができました。

私のさまざまな主張は、上記のアジア⼈管理職者に対する教育、指導の実体験が根拠となっています。本学の調査報告書「グローバル⼈材の育成と活⽤に関する実態調査」も参考にしております。
学校法⼈産業能率⼤学
総合研究所 経営管理研究所
主幹研究員 内藤 英俊
※所属・肩書は掲載当時のものです

グローバル化の枠組み

今回のコラムをわかりやすくご理解いただくために、以下の枠組みを使ってご説明いたします。
 
図表1はグローバル化以前の事業プロセスをモデル化しています。
図表2はグローバル化時代の事業プロセスを表しています。

グローバル化は、国境はもちろんですが、組織、業界、市場の際(きわ)をあいまいにしました。
図表1の実線が図2では点線になっていますが、際(きわ)のあいまいさを意味しています。際(きわ)があいまいになった結果、企業の事業プロセスは次のように変化しました。

 購買部門はどこの国(業界)から調達してもよい
 開発部門は社内シーズにとらわれることなく、⾃由に他国(他社)と連携してもよい
 営業部門はどこの国(業界)に売りに⾏ってもよい
グローバル化した時代において、⽇本企業は⾃由度の⾼い事業を⾏うことができるのですが、多くの⽇本企業は次のような状況に苦しんでいます。
  • 調達⼒の低下
  • 開発⼒の低下
  • 営業⼒の低下
グローバル化による「拡⼤し続ける⾃由」は⽇常の業務をあいまいにします。このような状況に対処するために、組織はメンバーの役割を具体的に定義します。そうすると、⼈はまじめに与えられた役割を、義務感を持って果たそうとします。
しかしながら、グローバル時代では「明⽂化された職務」をきちんと果たす義務感ではなく「拡⼤し続ける⾃由」に⾒合った責任感が求められます。

このように、グローバル時代では、私たちの仕事に対する姿勢や思考の仕⽅など、仕事をより本質的なレベルまで掘り下げて⾒直す必要があります。

コラムを読んでいただきたい⽅

グローバル化は国境を越えてビジネス活動を⾏う⽅にとって無視できない、⼤きな環境変化です。
仕事の仕⽅、思考の仕⽅を変える必要に迫られています。

海外赴任予定者ならびに海外赴任を⽀援する部門の⽅々には、ぜひ本コラムをお読みいただきたいと思います。

グローバル化は単に国境という際(きわ)をあいまいにしただけではなく、組織、業界、市場の際(きわ)もあいまいにしました。そのことによって主要な経営機能の低下・不全に直⾯している企業も多いと思います。

ご⾃⾝の会社の調達⼒・開発⼒・営業⼒が低下したとお感じになっているのならば、本コラムに状況を打開するヒントがあると思います。

なぜなら、「国境を越えるためのグローバル化」のコンセプトが主要な経営機能の低下に苦しんでいる企業に、そのまま応⽤することができるからです。

グローバル化は、私たちに思考のプラットフォームの変⾰を迫っているのです。
  • 本コラムは「繊研新聞」(繊研新聞社)での連載を⼀部修正して掲載しています。
  • 著者の所属・肩書きは掲載当時のものです。
グローバル時代の仕事と働き⽅【第1回】

公開日:2017年06月21日(水)

グローバル時代の仕事と働き⽅【第2回】

公開日:2017年06月21日(水)

グローバル時代の仕事と働き⽅【第3回】

公開日:2017年06月21日(水)