機能するKPIマネジメントサイクルによって"グリーン企業"を目指そう【第3回 KPIに よるマネジメントのPDCAサイクル】

前回は、マネジメントコントロールのフレームをベースとした業績管理の考え⽅を紹介しました。第2回は、KPI(Key Performance Indicator)を核にした指標化するマネジメントを取り上げ、KPIを機能させるポイントについてお話します。

KPIは仮説にすぎない

KPIによるマネジメントのPDCAサイクルについて触れていきます。【図1】をご覧ください。

【図1】 KPIによるマネジメントのPDCAサイクル

「Plan」では、上位目標に貢献する指標を設定します。「Do」では、モニタリング、適時にチェックがうまくできるようになっているかどうかです。「CA」では、検証と⾒直しがしやすいかということです。ここで強調したいのは、KPIは、仮説にすぎないということです。指標の決定には責任が伴うことですが、つい構えすぎてしまい、途中で息切れしてしまいがちです。もう少し気楽に、仮説だと割り切ってまずやってみる、1回⾏動に移してみる。これが⼤事です。そして、PDCAサイクルを回すことで、機能するKPIになってくるのです。あくまでも最初に設定するKPIは仮説に すぎない、ということを意識して、実務に適応してほしいと思います。

KPI導⼊による効果

KPIの導⼊によって、以下のような効果が期待できるようになります。

・マネジャーの指導⼒が⾼まる(指⽰がシャープになる)
・メンバーが⾏動に確信を持つ
・マネジャーとメンバーの間でコミュニケーションが密になる
・業績貢献へのスキルアップになり、⼈材育成につながる
・⾏動の順位づけができ、業務軽減につながる。

現在のマネジャー層の多くが、プレイングマネジャーとして、目の前の業務に忙殺されています。KPIのマネジメントをロジカルに展開していくことで、業務の優先順位づけが必然的にできるようになります。
業績管理というテーマからすると、財務知識の必要性を訴える⽅がいますが、結論的にはその⼼配はいりません。積み上げ型の網羅的学習は不要で、⽂脈学習により、限られた項目を理解いただければ⼤丈夫です。ただし、業務とのつながりがどこにあるか、深く理解するようにするとよいでしょう。

本コラムでは、全3回に渡って、業績管理の考え⽅とアプローチをご紹介してきました。KPIによるマネジメントは、中期経営計画を確実に実現していくために有効な⽅法論です。ノルマとしての指標ではなく、「業績貢献のツボ」としてKPIを設定し、マネジャーもメンバーも充実感をもてるマネジメント状態を作り出すことで、“グリーン企業”(働く⼈が目標達成も目指しながらハピネスを 感じることができる組織)の実現に近づくことができます。

最後に、このテーマでの研修プログラム例をご紹介します。モデルプログラムは⼀例です。目的に応じて柔軟にアレンジが可能です。ご興味のある⽅は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

<ご参考> モデルプログラム

【研修のねらい】

(1)部門業績管理の考え⽅とマネジャーとしてのスキルを習得する
(2)業績のブレイクダウンや業績貢献に向けた着目点を⾒極める

(学校法⼈産業能率⼤学 経営管理研究所 主幹研究員 総合研究所准教授 本村 秀樹)