事例紹介:オンライン研修でも確かな学びと安心を提供! 「新入社員ビジネス基本研修」オンライン版公開セミナー

事例紹介:オンライン研修でも確かな学びと安心を提供! 「新入社員ビジネス基本研修」オンライン版公開セミナー

コロナウイルスの影響を受け、この1年でWeb会議ツールを活用したオンライン研修が急速に普及しました。 一方で、「オンラインになっても学習効果は維持できているのだろうか」「演習での相互理解や気づきが不十分ではないか」など、人事・教育ご担当者様のお悩みや不安をよく耳にします。

例えば、リアル(対面型)の新入社員研修は、ビジネスマナー習得のためにロールプレイングを行ったり、仕事におけるコミュニケーションのあり方等を学ぶゲームを用いたり、体感型の進め方が一般的です。しかし、オンライン環境下では、対面と同じやり方での演習はできません。 それでは、オンライン環境下での研修は、どのように進めるのが効果的なのでしょうか。

2021年4月5~6日の2日間にわたり実施された、オンライン版「新入社員ビジネス基本研修」では、主要な学習内容を変える事なく、リアルに匹敵する学習効果(認識と行動の変化)をあげるために、様々な工夫が施されていました。

本レポートでは、オンライン版「新入社員ビジネス基本研修」を例に、オンラインで学習効果をあげるためのポイントをご紹介します。

▼ご関心のある章をクリックしてご覧ください。

オンライン版「新入社員ビジネス基本研修」のプログラムはこちら
1日目
 9:30~17:00
2日目
 9:30~17:00
1.オリエンテーション
・自己紹介
・ビジネスプロフェッショナルとしての意識を持とう
2.企業(組織)のしくみ
・組織活動とは
・組織の一員としての役割
・自社紹介
3.職場生活のルールとマナー
・職場の人間関係
・ビジネス上の基本的な身だしなみ
・言葉づかい(敬語の使い方)
4.仕事の進め方
・P→D→C→Aのサイクル
・指示、命令の受け方、報告の仕方(実習)
・チームワークとコミュニケーション(研修ゲーム)
5.電話応対の基本
・電話応対の知識
・電話の受け方、かけ方(実習)
・携帯電話等の使い方・マナー
6.来客応対、訪問マナーの基本
・おじぎの基本
・来客応対・訪問マナーの知識
・さまざまなお客様との応対
・名刺交換の仕方(実習)
7.ビジネスプロフェッショナルとして仕事をしていくために
・組織における新人の役割
・仕事に創造力を生かす
8.受講レポートの作成

今回の担当講師

学校法人産業能率大学
経営管理研究所 技術経営&コミュニケーション研究センター
主幹研究員 山田弘道

山田弘道 研究員の写真

事前準備 ~安心して参加いただくために操作ガイドを事前送付~

Zoom操作ガイドを事前送付

学生時代にオンライン授業を経験した新入社員も増えていますが、職場で初めてオンライン研修に、不安を持っている方も多くいます。本学の公開セミナーでは、オンライン研修が初めてでも安心してご参加いただけるように、受講に必要な全ての操作を画像を交えて解説した「Zoom操作ガイド」をお送りしています。
操作ガイド

受講者入室後に事務局と音声・映像状況のチェック

本学のオンラインセミナーは、Zoomを用いて、職場やご自宅から参加者1人1台のPCでご参加いただきます。研修開始の約30分前から、順次案内されたURLよりZoomミーティングにアクセスいただき、音声と映像に問題がないかを確認していきます。次々にZoomミーティングに入場する参加者の中には、やや緊張した様子の方も見受けられますが、事務局からの呼びかけには全員から元気な返答があり、まずは問題なくセミナーが開始しました。

セミナー開始時画面
続々とZoomミーティングに入室する受講者に事務局が呼びかけ、音声やカメラに問題がないか確認

セミナー開始 ~クラス全員で通信環境や操作確認~

通信環境やチャット上のファイル送受信可否を確認

セミナー開始時には、講師の自己紹介を兼ねて、音声と映像の状態を確認します。参加者にはZoomの反応アイコンやオーバーアクションでOKで返答をしてもらい、 双方向での通信環境も確認していきます。

次に、オンライン研修中の課題提示と提出に必要となる、チャット上のファイル送受信可否を確認します。講師からチャット上に、最初のグループワーク(自己紹介)の方法を記載したファイルをアップロードし、それがダウンロードできたかを確認。さらに、受講者が自己紹介文をメモ帳アプリやWordで作成し、チャットにアップロードできるかも確認します。

アクシデントにも柔軟に対応

操作確認を行ったところ、2名の方がチャットでのファイルダウンロードができませんでした。また、1人1台のPCでの参加が前提ですが、一人のPCに不具合が発生し、同じ会社の方が1画面で2人参加する状態になりました。こうした場合は、演習に支障が生じないように、代替の手段の提示やグループ編成を即時に変更します。

ここでいよいよ最初のグループワークです。Zoomのブレイクアウト機能を用いて、グループ内で自己紹介を行います。グループワークで多用するブレイクアウト機能に慣れてもらい、円滑にグループワーク用ルームに移動できるかをしっかり確認します。

今回そこで、アクシデントが発生しました。「ブレイクアウトルームに移動できません。」

まずは参加者のチーム割り振り設定や、受講者の通信環境など、想定される原因を1つ1つ確認します。講師から「一時的な通信容量の問題かもしれないので、一度全員カメラをオフにしてください」と案内し、再度ブレイクアウトを開始。その結果、無事にブレイクアウトが起動し、各ルームに移動できました。

こうしたアクシデントへの即応と柔軟な展開の組み換えは、オンライン研修における講師の重要な専門性となります。本学では、講師向け学習会の実施やマニュアル整備を行い、さまざまなアクシデントやその対応事例を共有し、安心してオンライン研修にご参加いただけるような体制を構築しています。

講義を配信している講師の様子
大画面で各参加者の様子を確認しながら進行することで、 アクシデントや参加者の挙手を見落とさないようにします

研修中 ~オンラインで学習効果を高める5つのポイント~

リアルで実施していた内容と進め方をオンライン研修にそのまま焼き直すだけではなく、「オンラインだからこそできる事、できない事」を十分に理解した上でプログラムを設計していく必要があります。また、ちょっとした配慮や工夫で受講者の学習効果を高めることができます。

新入社員研修ビジネス基本」では、「職場生活の基本マナー」「報告・連絡・相談」「電話応対」「来客応対・訪問マナー」「名刺の受け渡し」等が学習内容です。

リアルの同研修ではロールプレイングなどを繰り返しますが、オンライン研修ではどのように進めるのが効果的でしょうか。また、対話や発言へのフィードバックによる新たな気づきや自己発見を、どのように促進すれば良いのでしょうか。

今回の「新入社員研修ビジネス基本」に登壇した山田講師は、特に以下の5つのポイントを意識して、インストラクションをしていました。

1.オンラインの特性を活かした進行と教材

チェックボックスのアイコン 参画度向上と集中力維持のために個人への問いかけを多くする

ワークや講義の後に、講師から複数の受講者へ数多く問いかけをすることで、研修の参画度が高まるだけでなく、集中力の維持にもつながる。

チェックボックスのアイコン リアル以上に丁寧に演習の進め方を説明する

ブレイクアウト機能を用いた演習は、講師がリアルのように各グループ進捗を観察しながら即座にフォローをすることに限界がある。そのため、リアルの研修以上に演習の進め方やルール、まとめ方、終了時間などを丁寧に説明しておく必要がある。

研修ゲーム実施中の画面
データ化して配布することで、オンラインでもグループで回答を記入し、クラス全体に共有できる

チェックボックスのアイコン 演習用ツールはオンライン用に改良・データ化する

ねらいはそのままに、演習は進め方を工夫し、ツールをデータ化する。(本セミナーではコラボレーションゲーム「特等席を探せ」) ハンドアウト類は、事前にExcel・PowerPoint化しておき、チャット上で配布。回答を記入したファイルは、チャットや画面共有機能で、講師とクラス全体に共有できる。リアルの研修と異なり、座席位置や声の大きさは関係ないため、じっくりと他グループの回答を閲覧できるメリットもある。

チェックボックスのアイコン タイムスケジュールに余裕を持たせる

通信環境のアクシデントへの対応や、休憩を多くとる等の配慮が求められるため、タイムスケジュールに余裕をもたせておく必要がある。

2.キーワードを視聴覚に固定化させ記憶の定着率を高める

チェックボックスのアイコン ポイント伝達はホワイトボードを活用する

要点や大切なキーワードは、パワーポイントで投影するよりも、リアルなホワイトボード等に講師が直接記入しながら説明した方が、印象や記憶に残りやすい。

チェックボックスのアイコン 自己の意見やグループ見解をチャットに記入させる

受講者の口頭での発表や電子ファイル上の投影だけでなく、チャットへの記入を促すことで、これまでの意見や情報の一覧性が高まる。さらに、書いた内容が残っているので振り返りにも活用できる。

ホワイトボードを使って、講義の要点を箇条書きで説明することで、記憶の定着を図る

チェックボックスのアイコン 講師も関連情報を積極的にチャットにアップする

受講者が関心を示した情報や質問への回答に関連した情報源や書籍などをチャット上にアップする。それによってさらなる情報への深堀りと学ぶ姿勢を後押しする。

3.原理原則のパターン学習で行動変容を促す

チェックボックスのアイコン ポイント伝達はホワイトボードを活用する

オンラインでは、リアルのようにさまざまな状況の演習を数多く同時に実施し、講師がフィードバックしていくには限界がある。敬語の使い方や報告連絡相談、固定電話の応対など、新しい習慣・行動を素早く身に着けるには、原理原則やコツを短いワードで、2~3つの箇条的に整理して伝える。そのポイントに集中して演習したり考えさせることで、基本の習得は十分可能。

4.オンラインだからこそリアリティ感を大切に

チェックボックスのアイコン ロールプレイングでは実践に近い状況を作る

オンラインでのコミュニケーションが増える昨今では、対面よりオンラインでのロールプレイングの方が、実践に近い状況を作れることもある。 例えば、ビジネスにおける電話応対は、双方の顔は見えない状態で行われることが一般的。オンラインでのロールプレイングは演習用電話機は使用せず、逆に映像を消して行う。声だけで演習した方が、リアリティと適度な緊張感が保てる。

電話応対ロールプレイングの実演画面
Zoom のカメラをオフにして、 講師が電話応対ロールプレイングの実演をしている様子

5.“自分ゴト”として腑に落とす

チェックボックスのアイコン HOWよりもWHYを考えさせる

オンラインでは、体感的な情報伝達には限界がある。そのため、ロールプレイング場面では方法(HOW)を繰り返すのではなく、なぜ(WHY)を考えさせることで理解を深める。例えば、来客応対の動画を視聴した後に「動画の主人公はなぜ今このような行動・対応をしたのか」などを深く考えさせる。それをチャットなどで言語化して共有した後にロールプレイングをさせた方が、実感を持って演習できる。

チェックボックスのアイコン 心理学の理論をふまえて、自身や他者の行動を考えさせる

人間関係やコミュニケーションの重要性の理解を深めるために、心理学的な理論を身近な事例を交えて紹介する。それがビジネスや私生活でも汎用性が高いことがわかると、「今の理論ってこんな時にも使えそう」と、主体的な気づきが広がっていく。

ご紹介した上記のポイントは、新入社員研修に限らずオンライン研修全般でも広く活用できます。

リアル研修をオンライン研修に置き換える際には、内容と進め方をそのまま転用することはまず不可能です。だからと言って、単に「学習項目を削る」「演習を飛ばす」のではなく、学ぶべき要点をしっかり押さえた上でプログラムを再設計し、進め方や仕掛けも工夫し、さらに教材もオンライン用に仕立て直しておくことが必要です。また、講師には「展開やアクシデントに応じて柔軟に組み立かえできるスキル」もオンライン研修においては重要であることを再認識しました。

受講者の声

今回のオンライン研修では、チャットに受講後の感想をアップしてもらいました。
受講者からの感想を、一部紹介します。

  • ビジネスマナーの学習を通じて、電話応対や適切な敬語、職場生活のルール、マナーなどの基本的なことをはじめ、人間関係の心理学など、たくさんの事を学ぶことができ、とても自分のためになる時間でした。(製造)

  • 山田先生が素晴らしい先生だと思いました。研修前は正直あまり期待していなかったのですが(笑)、すごく話が分かりやすくてユーモアがあって、この研修がないのとあるでは、新社会人としてのスタートダッシュが変わったと思います。それと一緒にうけてくれた皆さん本当にありがとうございます。頑張りましょう!(製造)

  • 研修の前と後で、早く会社の利益に貢献したいという気持ちが強まりました。まずは周囲の方々とより良い関係を築きたいと思います。(電子機器)

  • 2日間とてもいい知識を学ぶことができました。グループワークではいろいろな方とお話をすることができ、価値観を共有することができました。先生の講義とても分かりやすく、楽しく学べました。参考本の紹介もありがとうございました。(家庭用資材)

  • 人と付き合っていくにはという項目で心理学を紹介していだきましたが、健全な自己開示や行為の返報性以外にも、何か心理学ってビジネスおいて色々役立ちそうだと思いました。(サービス)

  • ポイントを説明をしていただき、そしてすぐにグループワークを行うというスタイルだったので、分かりやすく楽しく勉強させていただきました。(食品関連)

オンラインセミナーへのこだわり

産業能率大学では、研修のオンライン化の推進を支援するために、より良い学びにつなげるためのさまざまな工夫に取り組んでいます。オンライン型のプログラムでも、対面型のプログラムと同様に、集合研修という「場」がもたらす効果として、参加者や講師との対話を通じて行われる「相互学習」と「実践知」による行動変容を重視しています。

本レポートでご紹介したオンライン版「新入社員ビジネス基本研修」以外にも、約70のオンラインセミナーをご用意しておりますので、ぜひご活用ください。

公開セミナーに関するご相談はこちらから(産能マネジメントスクール)

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