【事例紹介】ブリヂストンソフトウェア株式会社 ビジネススキルと⾼い技術⼒をあわせ持つシステムエンジニアの育成を⾏うブリヂストンソフトウェアの取り組み

はじめに

ブリヂストングループ唯⼀の情報システム会社として基幹業務システムをはじめ、国内外のグループ企業に対して幅広い業務⽀援システムを提供するブリヂストンソフトウェア株式会社。
社員の多くをSEが占める同社の⼈材育成体系と公開セミナーの活⽤について、管理部門として労務、⼈事、教育など幅広い業務を担当する業務部⻑の⼭崎彰⽒に話を聞いた。
ブリヂストンソフトウェア株式会社 業務部⻑ ⼭崎 彰 様

⾼度な技術⼒と同時にマネジメント⼒の習得をめざした独⾃の⼈材育成システムを構築

同社の⼈材育成システムは、『あるべき⼈材像』として「ユーザーのウォンツを吸い上げ、全体最適の観点から業務とシステムに関する提案ができる」「顧客サービスの⾼度化のために、IT技術の評価・活⽤、標準化、継続的改善が推進できる」の2つを最上位概念とし、さらに職種ごとのあるべき⼈材像を定義した上で構築されている。

「⾼度化するIT業界にあって、SEにはこれまで以上にスピードと技術の⾼度化が求められています。当社では⼈材育成システムの構築にあたり、⾼い専門性を持つSEとはいかなるものかを『あるべき⼈材像』として定義。その上で⼈材タイプを4分類8タイプに分け、それぞれの業務に即した育成目標を経験ごと年数別に設定しています」(⼭崎⽒)。

育成目標となるスキルは、各⼈材タイプ共通のビジネススキルを基礎としてテクニカルスキル、プロジェクトマネジメントスキル、業務知識・専門知識に分類される。各社員は年⼀度⾏われるスキルアセスメントにおいて⾃らのスキル習得状況を⾃⼰申告した上で、上⻑との話し合いにより次年度のスキルアップ計画を⽴てていく。

「SEをはじめとした専門職では、⼀般的なビジネススキルが疎かになりがちですが、プロである以上原価や利益を視野に⼊れるのは当然と⾔えるでしょう。そのためにもビジネス全般に関わるスキルを⾝につける必要があるとの考えから、育成目標では全職種共通でビジネススキルを基礎としています」(⼭崎⽒)。

なお、スキルの習得にあたっては外部教育機関が主催するセミナーの中から、個々⼈が⾃分の業務やスケジュール、目的などに合わせて選択していく。

「産業能率⼤学主催の公開セミナーでは、マネジメントに関わるものが⼈気です。受講するセミナーについては、各⾃WEBサイトやガイドブックなどを参考に選択していますが、先輩社員の『あのセミナーが良かった』といった声が社内で継承されているようです」(⼭崎⽒)。

昇進昇格時研修として公開セミナーを取り⼊れることで中堅層社員および管理者が果たすべき役割を明確化

同社では昇進昇格時の必修研修として公開セミナーを取り⼊れている。

「当社では5段階からなる資格等級制度を導⼊していますが、4等級および3等級昇格時に産業能率⼤学主催の『中堅社員実践研修』と『係⻑実践研修』を受講させています。社員には好評で、『中堅社員や管理者という⾔葉だけでは漠然としていて何をしていいか分からなかったが、セミナーを受けたことで⾃分のやるべきことが明確になった』などの声も上がっています」(⼭崎⽒)。
係長実践研修・通学

中堅社員実践研修

マネジメントについて多角的に学ぶ機会を得ることは、⾃分が会社から何を期待されるのかを客観的に理解するためにも有効となる。
「また、研修内で⾏われる各種ワークにより、リーダーシップやフォロワーシップを⽣⾝の体験として学べるのも魅⼒です」(⼭崎⽒)。
さらに公開セミナーの魅⼒の1つとして異業種交流が挙げられる。

「私⾃⾝、以前に産業能率⼤学主催の公開セミナーに参加しましたが、同じ⽴場にある他業種の⽅々との交流はたいへん刺激になりました。社内では同じようなレベルの社員が中堅職となるため、どうしても対外的なレベルを把握しにくい。社外を知り⾃分のレベルを知ることは、さまざまな気づきにつながります。また、ほとんどの時間を社内で過ごしている当社の社員にとって、代官⼭というまったく違う環境に⾝をおきながら、社外の⽅々と共に学習するという経験は、業務から離れて⾃分を⾒つめ直すよい機会となっているようです」(⼭崎⽒)。
他者との対⽐の中で⾃分の⽴ち位置やレベルを認識していく。それこそが公開セミナーの⼤きなメリットの1つになっている。
年度始めに⽴てた研修計画を淡々とこなすだけになってしまう企業も多い中、同社ではタイムリーな教育実施にこだわり続けている。そこには、“必要に応じた教育こそが⾼い成果を⽣み出す”という同⽒の思いが込められている。さらに、同社では常に今後の市場動向を予測しながら、近い将来に必要となってくるであろう研修ニーズを先読みし、いつでもタイムリーな研修を提供できるよう先⼿を打って研修準備を進めるなど、より⾼い成果を⽣み出す⼈財育成のあり⽅を追求し続けている。

研修で得た知識を⾁体化するため各部門との連携による計画的なOJTを実施

研修で得た知識を、仕事の中でどのように活かしていくか。その⼿段の1つとして、同社ではOJTに紐づけたしくみを構築・運⽤している。

「当社では⼊社3年目の社員に、俗にいう修羅場体験を積ませるしくみを取り⼊れています。目的はそれまでに得た知識をもとに実践経験を積んでもらうことです。具体的には、先輩社員をつけた上で難易度の⾼いプロジェクトの⼀部(もしくは全て)を任せます。社員は⾃らの責任においてプロジェクトを進めるわけですが、完遂するためには技術研修やビジネススキル研修で得た知識を効果的に使っていく必要があります。そうした試⾏錯誤を通して知識を⾁体化していきます」(⼭崎⽒)。
研修とOJTをうまく組み合わせることで社員の能⼒向上の最⼤化をめざしている。対象となった社員からは「⼤変だったが良い経験ができた」との声が上がるという。

「研修で学んでもらった内容を現場でどう活かしてもらうかは、社員教育を⾏う上で最も⼤切な部分であると同時に、担当者として最も踏み込みにくい部分でも あります。各部門としっかりとした連携をとることで、より⾼い精度で知識を⾁体化していくことができると考えています」(⼭崎⽒)。