DX(デジタルトランスフォーメーション)時代における環境の変化と求められる人材とは
去る2020年2月6日(木)にDX推進に関する情報交換会「DX時代における環境の変化と求められる人材とは」を開催しました。
本イベントは下記のような課題を感じている人を対象に開催しました。
- DX推進の必要性を強く認識しているが、自社としてまず何から始動すべきなのか?
- 自社内のDX人材の活用、全社的なDX人材育成をどのように進めたらよいのか?
- 限られたリソースや予算の中で、DXを推進できるのだろうか?
IDCの定義によると、企業が第3のプラットフォーム※技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること。
この記事では、下記の内容で行われたイベントの様子をリポートします。
開催概要
【日 時】
2020年2月6日(木)14:00~17:00
【会 場】
学校法人産業能率大学サピアタワーセミナールーム
【対 象】
企業・団体の経営企画・人事・教育部門責任者・担当者様
【内 容】
第1部:ユニアデックス株式会社 未来サービス研究所 所長 小椋則樹 氏による講演
第2部:DX推進上の課題を抱える参加者との意見交換
第1部 DX時代における環境変化と求められる人材とは
講演者プロフィール
ユニアデックス株式会社 未来サービス研究所
所 長 小椋 則樹 氏
※ 所属・肩書は掲載当時のものです。
1988年日本ユニシス(株)入社
メインフレームの基本ソフトウェアの主管業務に従事
2004年ユニアデックス(株)転籍後、新規ビジネスのための研究開発活動を実施
2013年4月ユニアデックスにおいて未来を見据えた次世代ビジネスを創出するため「未来サービス研究所」を設立し、未来予測活動をもとにした共創活動を行っている
産業能率大学 地方創生産学連携研究所 非常勤研究員
第1部プログラム | |
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1 | 将来のビジネス環境の変化 |
2 | 参加企業のDX推進取り組みの状況(事前アンケート結果) |
3 | 参加企業のDX取り組み状況 |
4 | DX推進人材(デジタル人材)育成アプローチ例 |
5 | 第1部の講演に対する参加者からの質問や可能の共有 |
1.将来のビジネス環境
DX推進が注目されるきっかけとなり、今も話題の経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~※1』の紹介に始まり、Society5.0と第4次産業革命が始動している今、新しい価値(ビジネス)の創出がグローバル競争の中では絶対的に不可欠であること、また、自社と対立・独立関係にあったものの融合、つまりは様々な産業の一部がデジタルサービスで重なり合う時代を迎えていることを、まずは参加者に共有しました。
- 情報社会から超スマート社会へ(Society5.0)
- 様々な産業のデジタルサービス化
- リアル空間とサーバー空間の融合
DX推進のゴールとは
「すべての経営陣や従業員がビジネスの運営や意思決定のあらゆる場面で、デジタル技術とデジタルデータを活用し、行動できるようになること」
DX推進のゴールとして、「デジタル化されたビジネスの構造」や具体例として「Amazonのデータ収集と活用の仕組み」、少額投資によるDX成功事例として「Developers.IO CAFE@秋葉原(無人店舗)」などが、紹介されました。
2.DX推進人材とは
現在および未来のビジネス環境を踏まえ、「DX推進を始動そして成功に導くポイントは何か」についてが、紹介されました。
- デジタル化の中で、”ヒト中心”にデザインをすること
- 人間中心のアプローチを根底とする「デザイン思考」の重要性(特に素早い「試作」と「テスト」が重要
DX推進において最も重視すべきこと
- 顧客中心の徹底
現状の課題解決アプローチ → 顧客体験創造型のアプローチへの移行 - スピード重視
デザイン思考に基づき、「まずはやってみる、走りながら考える!」
3.参加企業のDX推進取り組み状況
講演の中では、2018年度にユニアデックス株式会社未来サービス研究所による「企業のDXの取り組み状況(DX推進状況の指標化に基づく)」に関する調査と、その調査の3年後にあたる当日の参加者からの事前アンケート結果が紹介されました。そこには日本企業の特性とも言えるいくつかの共通点が、紹介されています。
- 重要な課題としての認識はあるが、いまだ最も重要な経営課題には至っていない。
- DX戦略に基づきビジネス構想/サービス企画・設計ができる人材が圧倒的に不足している。
- DX推進目的が、価値創造よりもコスト削減、生産性の向上に目が向けられている。
- DX推進のための社内システムの見直しの必要性は認識しているが、実施できていない。
- 必要なデータの所在はわかるが、それを活用できる人材が部署に不足している。
など
4.DX推進人材(デジタル人材)育成アプローチ例
日本企業や参加者のDX推進の取り組み状況を踏まえ、DX推進人材に必要なスキルとDX人材推進を支える改革のあり方について、どうあるべきか紹介されました。
DXの定義については、それぞれ会社によって異なるものの、DX推進人材に必要なスキルを概念的にまとめると以下の3つになります。
DX推進人材に必要なスキル
- プロデュース力:ビジネスマネジメント/環境分析/組織牽引
- 技術開発力:調査分析/適用技術/試行
- デザイン力:アイデア発想/企画/調整能力
このような3つの要素を全て兼ね備えた人材の確保は難しいですが、DX推進チーム内が特定の能力や経験を有する人に偏らないようにバランスを配慮し、部門・組織を越えた人材の組み合わせが必要となります。
また、DX推進を支えるための改革例が、以下の通り紹介されました。
DX推進人材を支える改革3つの視点
組織改革 × 意識改革 × 制度改革
これは掛け算であり、1つでも改革が欠けてしまうと(ゼロだと)、DX推進の実現・成果は創出できないことになる。
組織改革
DX推進部門の設置
・何らかの活動をすることが目的であり調整役ではない
意識改革
経営層を中心に全社員への危機感を共有
・危機感を起点として変革への姿勢に変える
・全社的な意識改革へつなげる
制度改革
デジタル特区を設ける
・社内の慣例や既存の規則から解放する
・スピード感と柔軟な軌道修正を可能に
5.第1部の講演に対する参加者からの質問や感想の共有
Q&A(一部抜粋)
A.すべて備わっているスペシャリストはほとんどいないと思いますので、基本的にはそれぞれの力を備えた人材を集めて推進していくことになります。一方で、これまでの事例では、スペシャリストが1人いて、推進してきたという現実もあります。
A.某大学病院では、スマホで情報管理・共有することで看護師は何度もナースステーションに戻る必要がなくなり、患者のそばにいる時間を確保することができ、業務効率化とサービスの向上につながったという事例があります。
A.まずは小さな成功事例をつくることが大事です。一部の人からでも面白がって新しいサービスやシステムに乗ってこさせるような意識や制度の改革も必要ですね。
第2部「DXを推進する上での問題と課題」に関する意見交換
第2部では、「第1部の小椋氏による講演内容」「UMUによる質疑内容」「参加者の現況」を踏まえ、約1時間にわたり参加者間で意見交換が行われました。
参加者に対して投げかけた「2つの問い」に対する、参加者の代表的なご意見をご紹介します。
問1.DX推進を進めていくにあたっての問題・課題
参加者のご意見
- 全社員に研修をしているものの、年代による熱感の差が大きい。教育を実施することが目的になってしまっている側面もある。
- こういったテーマの研修を実施して感度がいいのは、海外から戻ってきた社員や新規事業系の部署に所属する社員。逆に長年同じ部署で育ってきた社員は、新しいことに踏み切りづらい人が多い。
- わが社では、一人ひとりが達成感を得られるような指標を設定している(個人では、資格取得など)。また、プロジェクトリーダーを中心に育成もしている。最も大事にしていることは、達成できたという小さな成功体験のステップを小刻みに積ませている。
問2.DX推進に向けて、自分たちが今後取り組むこと
参加者のご意見
- これから社内で、デジタル推進室を作っていくことになっている。その部署と連動しながら、一般層のデジタル教育や意識付けに取り組んでいきたい。
- 現在、全社の教育を設計している。DXも推進組織があるものの、各事業部の戦略にあわせた人材をどうやって育成していくかが急務となっている。全社の一般ユーザーのリテラシーをどうやってあげていくか、教育体系をいかに組むか、今日の内容も活かして検討していきたい。
DX推進を実現するためのまとめ
『まずは「試行」をスピード感を持って取り組み、小さな成功体験の積み重ねと共有のサイクルを回していくこと』
最後に、本学よりDX推進人材の育成とDX推進アプローチに関する切り口についてご紹介しております。
ご希望の方は、以下リンク先のお問い合わせフォームにて、『「DX時代における環境の変化と求められる人材とは」の資料を送付いただきたい』という旨をご記載ください。
本学のアドバイザー(担当者)が訪問して、資料をお渡しすると同時に、内容についてご説明いたします。
※法人向けの資料のため、競合他社や個人事業主・個人(一般)の方の場合はお断りをさせていただく場合がございます。
まずはお気軽にお問い合わせください。
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