開発者インタビュー:仕事センスを高めるために(体感型研修Beyond ~新入社員編~)
新入社員だからこそ、身につけるべき 『仕事センス』とは何か。
せっかく採用した人員を人材に育て上げ、組織に貢献する人材として成長させるのは、一朝一夕になることではないが、それでも人を育てる効率的な方法というものはたしかにあるようだ。
それは、スキルや知識を教える以前に『仕事センス』を身につけるという方法である。
思い浮かべていただきたい。優れた社員や管理職たちが持つ、あの仕事の進め方、周囲への配慮、合意の取り方、課題の解決法、高い目標設定等々を。
そうした言葉で言い表わすことができ、また言い表わすことのできない何かこそ『仕事センス』というものではないだろうか。

その開発の背景やねらいについては本学経営管理研究所のスタッフにインタビューした。
新入社員をいかに育てていくかという課題に向けた取り組みのヒントに満ちているのではないだろうか。

与えられるのではなく、自分で考え抜くプロセスを通じて 『仕事センス』を身につける。


瀧澤 琢哉(たきざわ たくや)
(中)本学経営管理研究所 副所長 研修開発センター長
川口 啓 (かわぐち けい)
(右)本学経営管理研究所 研修開発センター プロジェクト・リーダー
森 格(もり かく)
あいさつやマナーよりも、新入社員こそ 『仕事センス』。それをどう学び、身につけるか。

ICT活用が受け身の新入社員を いかに能動的に変えていくか。

研修効果を高め、 研修そのものの可能性を広げるICT。
瀧澤 即時フィードバックができる点も研修を有意義にしています。自分たちが演じた姿をその場ですぐ見られるので、内省を深めることに大変役立っていますし、もう一つ臨場感というのもポイントです。どんな職場で、どんな人物で、どういう関係なのか、紙の教材ではなかなか伝わりにくい設定事項がICTだとすんなりと頭に入ってきます。これまでそこに費やしていた時間を対話の時間に割けるようになり、受講者もこの場で学ぶこと、この場で対話することに集中しやすくなった気がします。
受け身で指示待ちと言われている昨今の新入社員ですが、この研修で見ている限りは、大変前向きで、チームで一体感を持ちながら取り組んでいると感じました。ICTをうまく活用できた結果だと感じています。
森 ICTというとeラーニングのような知識学習型のようなものが多かったのですが、私たちにはICTを使い、能動的な学びの促進を実現させたいというこだわりがありました。iPadを操作することが、受講者同士の対話を促進し、講師を含めてクラス全体が話し合いに移っていく。Beyondではそれが非常にスムーズに実現できました。これをきっかけに、ICTを対話や議論を促進させる一つの手段として役立てていく道筋ができたのではないかと思います。
本気で考え抜く経験が、 『仕事センス』を磨く第一歩。
川口 いまの若い世代は、情報がいつでもどこでも手にできるせいで、考えないわけではなく、考える機会がないのかもしれません。きっかけをつくってあげさえすれば考えるであろうと推測し、プログラムでは考えることを諦めない工夫をこらしました。
Beyondは『仕事センス』を磨くことをテーマにしているにも関わらず、ナビゲーターは気づきを促し、背中を押してあげるだけで、「『仕事センス』とはこういうものです、覚えておきましょう」とは一切言いません。『仕事センス』が何かは誰も教えてくれませんし、正解もありません。自分で考え、自分なりの答えをつくるので、各自が違う答えを持っています。そういう点もまたBeyondのひとつの醍醐味だと思います。
川口も言ったように、デジタルネイティブないまの世代は、ナビゲーターが答えを指し示せば、物事には必ず正解があるという考え方から抜け出せないままです。この研修は、『いかに自分の言葉で答えをつくり出せるか』ということにこだわってつくり上げました。
いまどきの若手社員は納得感というものを強く求めています。行動するには、なぜそうなのか納得できる理由が欲しい。しかし、理由を説明されて納得することと、自分で考え導き出して納得することでは、意味が全く違います。どちらも納得という同じゴールにたどり着いたように見えますが、プロセスの違いは、その後に生かせるかどうかという点で大きく異なります。だからこそナビゲーターは、受講者が自分の考えで導き出し、自分の言葉で表現することへのアシストに徹します。ここもBeyondが他の研修とは異なる点です。

さらなるブラッシュアップと、 幅広い層への提供を目指して。
おかげさまで、現状のBeyondは皆さまからご評価をいただいておりますが、私たちはこれが100%だと思って満足しているわけではありません。利用者の声を聞きながら、さらに良い研修へと育て、問題意識を持っているお客様に幅広く届けていきたいと考えています。