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開発者インタビュー:仕事センスを高めるために(体感型研修Beyond ~新入社員編~)

新入社員だからこそ、身につけるべき 『仕事センス』とは何か。

近年、有効求人倍率が1974年以来の高水準(2018年8月現在)を保ち、ゆるやかな景気回復を実感する反面、採用の現場では、新入社員を含めた人材の確保に苦慮されているところも多いのではないだろうか。

せっかく採用した人員を人材に育て上げ、組織に貢献する人材として成長させるのは、一朝一夕になることではないが、それでも人を育てる効率的な方法というものはたしかにあるようだ。

それは、スキルや知識を教える以前に『仕事センス』を身につけるという方法である。
思い浮かべていただきたい。優れた社員や管理職たちが持つ、あの仕事の進め方、周囲への配慮、合意の取り方、課題の解決法、高い目標設定等々を。
そうした言葉で言い表わすことができ、また言い表わすことのできない何かこそ『仕事センス』というものではないだろうか。
この『仕事センス』は中堅社員や管理職だけに限ったことではなく、新入社員のいまだからこそ身につけておくべきものだ。本学経営管理研究所のスタッフはそう考え、数々の試行錯誤や議論を積み重ねて、ICTを活用した研修教材Beyond(ビヨンド)を開発した。

その開発の背景やねらいについては本学経営管理研究所のスタッフにインタビューした。
新入社員をいかに育てていくかという課題に向けた取り組みのヒントに満ちているのではないだろうか。

与えられるのではなく、自分で考え抜くプロセスを通じて 『仕事センス』を身につける。

Beyond開発者インタビュー
(左)本学経営管理研究所 研修企画支援センター プロジェクト・マネジャー
  瀧澤 琢哉(たきざわ たくや)
(中)本学経営管理研究所 副所長 研修開発センター長
  川口 啓 (かわぐち けい)
(右)本学経営管理研究所 研修開発センター プロジェクト・リーダー
  森 格(もり かく)

社会人に必要とされるマナーや仕事のルールに対する基礎知識は、新入社員が身につけるべき必須条件だ。しかし、実際のビジネスの現場においては、そうした知識とスキルだけでは太刀打ちできない状況の方が圧倒的に多いことは、入社数年を経たビジネスマンなら誰もが身をもって知っているだろう。早い段階で『仕事センス』を身につけ、磨き、仕事をうまく進めるための総合的な力を養うことこそ、いまの人事・教育担当者のニーズに応えるものではないだろうか。いまどき世代の新入社員が、『仕事センス』を身につけ、状況に即した行動をとれるようになるには、どのような研修が有効なのか。ICTを活用した研修教材Beyondの開発に携わった本学経営管理研究所の川口、瀧澤、森の3人に開発の背景や意図などについて話を聞いた。

あいさつやマナーよりも、新入社員こそ 『仕事センス』。それをどう学び、身につけるか。

─ Beyondの開発に至るまでの経緯やねらいを聞かせていただけますか。
川口 人は自発的に学ぼうと思わない限り、何かを身につけることはできないし、自分自身が心底、納得しないと動けないものだと思います。受講者が本気で学ぼうと思う研修とはどういうものかという問題意識をずっと抱えており、それを実現させる手段を常々考えていました。そこに、ICTを活用した新しいこと、そして新入社員のための新サービスという2つの開発課題が設定されたのです。スタッフ間の活発な議論のうちに行き着いたのが、いままでのように知識やスキルを技能的に身につける研修とはまったく異なった研修という一つの方向性でした。新入社員研修というと、基本的な仕事の仕方を学ぶことをメインにすえがちですが、そこをあえて捨て、もっと本質的なものを学びの成果として得られる研修にしようと。その後、企画を磨いていく中で『仕事センス』というものにたどり着きました。新入社員がどんなことをどれだけ学んだとしても、それを使いこなせるかどうかは本人次第です。この、自分次第ということの大切さを体験できる研修教材としてBeyondの開発が進みました。
 仕事ができる社員やマネジャーは、スキルや知識以外のどんなところに“できる要因”があるのだろうかと、育成課題を引き出し、その部分を学びに変えることに取り組みながら検証を重ねてきました。『仕事センス』は伝えることも、身につけることもできるものです。身につければ10年経ってもできる人でいられるでしょうし、ないと逆にずっとできない人のままでしょう。だからこそ、新人のうちに『仕事センス』を磨くことが重要なのだということをコンセプトにしました。

ICT活用が受け身の新入社員を いかに能動的に変えていくか。

─ 企業の人事・教育担当の皆さまからの好評価をどう感じていますか。
瀧澤 いま、採用の現場では売り手市場と言われていますが、その影響か、新入社員は受け身意識で入社してきています。そうした新入社員に対して、これまでの延長線上の手厚い教育を行うことに潜在的な問題意識を感じていらっしゃるお客様もいました。別のやり方を模索していた方たちに、Beyondはこれまでとは全く異なる、新しい切り口で学びの場、学びの形を提供できたのではないかと感じています。時代の流れ、そして企業の課題にうまくフィットしたことがありがたい評価につながっているのではないでしょうか。
 面白いのは、研修中に出てくるミッションは新入社員にとっての不条理であって、われわれにとっては何でもない、ただの常識ということです。例えば「コピーをとってきて」と言われ、指示通りコピーをすると怒られます。なんのためにこのコピーが必要なのか、どういうコピーの仕方がベストなのか。目的や状況を捉え、その先のことを考えて行動することは社会人の常識でありますが、経験のない新入社員にとっては、言われたことをやって怒られるなど不条理以外何ものでもありません。それを不条理だと思ったままにせ ず、自分なりの正解を考えて導き出し、不条理を乗り越えていくことが、社会人には非常に大事なのだという、わたしたちの思いも評価されたのかなと思います。
川口 もうひとつ面白い点はICTの位置づけを変えたことです。いまの新入社員というのはクリックひとつ、画面にタッチするだけで欲しい情報をすぐ入手できる環境で育ってきました。自分で考えずとも答えがあり、逆を言うと考えなくても答えはある、なら考えなくてもいいと思っているのではないか、用意された答えを見て分かった気になっているのではないかと仮説を立てて開発を進めてきました。ICTを使うけれども、いつも彼らがするように単純な情報を取るだけの作業ではなく、考えるためにICTを使う仕組みです。これはなかなか他では見られないパターンではないでしょうか。

研修効果を高め、 研修そのものの可能性を広げるICT。

─ ICT活用で生まれる新たな研修効果について聞かせてください。
川口 ICT活用のメリットの一つは、膨大な情報を扱えた点です。RPG機能を入れる際、紙ベースであれば何十ページものテキストが必要ですし、ビデオであれば何十分も眺めて、それでも一方向の情報しか得られません。それらをいろいろな形で見せられるようになったのは大きかったです。もう一つは、ネットワーク機能をうまく活用することで、教室内で講師を中心とした情報のやりとりが通常の研修よりも円滑に進めることができた点です。非常に活発なインタラクションも起き、研修効果を高めています。

瀧澤 即時フィードバックができる点も研修を有意義にしています。自分たちが演じた姿をその場ですぐ見られるので、内省を深めることに大変役立っていますし、もう一つ臨場感というのもポイントです。どんな職場で、どんな人物で、どういう関係なのか、紙の教材ではなかなか伝わりにくい設定事項がICTだとすんなりと頭に入ってきます。これまでそこに費やしていた時間を対話の時間に割けるようになり、受講者もこの場で学ぶこと、この場で対話することに集中しやすくなった気がします。
 受け身で指示待ちと言われている昨今の新入社員ですが、この研修で見ている限りは、大変前向きで、チームで一体感を持ちながら取り組んでいると感じました。ICTをうまく活用できた結果だと感じています。

 ICTというとeラーニングのような知識学習型のようなものが多かったのですが、私たちにはICTを使い、能動的な学びの促進を実現させたいというこだわりがありました。iPadを操作することが、受講者同士の対話を促進し、講師を含めてクラス全体が話し合いに移っていく。Beyondではそれが非常にスムーズに実現できました。これをきっかけに、ICTを対話や議論を促進させる一つの手段として役立てていく道筋ができたのではないかと思います。

本気で考え抜く経験が、 『仕事センス』を磨く第一歩。

─ 『正解がない仕事のリアルを実感できる職場体験型演習』というのがBeyondの特長の一つですが、それ以外のBeyondならではの訴求ポイントとは何でしょうか。
瀧澤 『考え抜く研修』ということです。この研修は知識やスキルをインプットする研修ではないということを一番初めに言い切ってしまいます。研修の中では、とにかく自分で深く考え、考え抜いたことを他者と共有し、発表するというアウトプットの機会もあります。コミュニケーション能力がとても鍛えられたという反応もありました。

川口 いまの若い世代は、情報がいつでもどこでも手にできるせいで、考えないわけではなく、考える機会がないのかもしれません。きっかけをつくってあげさえすれば考えるであろうと推測し、プログラムでは考えることを諦めない工夫をこらしました。
 Beyondは『仕事センス』を磨くことをテーマにしているにも関わらず、ナビゲーターは気づきを促し、背中を押してあげるだけで、「『仕事センス』とはこういうものです、覚えておきましょう」とは一切言いません。『仕事センス』が何かは誰も教えてくれませんし、正解もありません。自分で考え、自分なりの答えをつくるので、各自が違う答えを持っています。そういう点もまたBeyondのひとつの醍醐味だと思います。

 受講者は、学生時代に考える経験はしてきているはずです。それでもこの研修を受けると、「考え抜くということがよく分かりました」という感想が出てきます。
 川口も言ったように、デジタルネイティブないまの世代は、ナビゲーターが答えを指し示せば、物事には必ず正解があるという考え方から抜け出せないままです。この研修は、『いかに自分の言葉で答えをつくり出せるか』ということにこだわってつくり上げました。
 いまどきの若手社員は納得感というものを強く求めています。行動するには、なぜそうなのか納得できる理由が欲しい。しかし、理由を説明されて納得することと、自分で考え導き出して納得することでは、意味が全く違います。どちらも納得という同じゴールにたどり着いたように見えますが、プロセスの違いは、その後に生かせるかどうかという点で大きく異なります。だからこそナビゲーターは、受講者が自分の考えで導き出し、自分の言葉で表現することへのアシストに徹します。ここもBeyondが他の研修とは異なる点です。

さらなるブラッシュアップと、 幅広い層への提供を目指して。

─ こうしたICTを利用した研修の今後の可能性や新たな展開へ寄せる期待などがあれば聞かせてください。
川口 『仕事センス』や『不条理』は、新入社員に限ったことではありません。管理職には管理職の、日々直面する深い『不条理』が多々あります。何らかの形で、Beyondのような斬新な学びの機会を上位の階層にも提供できるようになればと思っています。
 おかげさまで、現状のBeyondは皆さまからご評価をいただいておりますが、私たちはこれが100%だと思って満足しているわけではありません。利用者の声を聞きながら、さらに良い研修へと育て、問題意識を持っているお客様に幅広く届けていきたいと考えています。