~優秀なリーダーは「分析」ではなく「問題意識」から課題をつくる~ 実践的なリーダーになるための「習慣」をつくろう

~優秀なリーダーは「分析」ではなく「問題意識」から課題をつくる~ 実践的なリーダーになるための「習慣」をつくろう

※この記事は2017年に執筆されたものです。本文の一部に現在の社会状況と異なる表現・見解が含まれますが、人材育成に関する普遍的なテーマを取り扱っている点、本学の知見として重要な内容が含まれているという点から、執筆当時のまま掲載しています。

大切なのは「問題意識」が根底にあるかどうか

これまで実践的なリーダーシップを磨く⽅法論として、「課題形成とは、現状を分析し、問題点を明確にした上で設定するもの」といった「分析型アプローチ」が重視されてきました。
もちろん分析型アプローチも重要です。客観的な根拠なくして組織を動かすことはできないからです。
しかし分析だけでも組織を動かすことはできません。 どんなに分析が精緻にされていても、本⼈の「問題意識」が感じられない企画書は、誰の⼼も打たないからです。

優秀なリーダーは、いつも「問題意識」を⾃分の中で温めています。「今、我々(⾃分)は何をすべきか?」を考えています。 それを⾃分の中に留めておくのではなく、周囲の⼈にオープンにして意⾒を求めます。 そこで予想もしなかった考え⽅や賛同者(あるいは反対者)に出会い、さらに⾃分の考えを深めていくことができるのです。

最近、仕事が終わって居酒屋に⾏くと、アベノミクスの影響もあり、仕事帰りのビジネスパーソンがたくさん居ます。どのような話をしているのか⽿を傾けていると、「当社はもっと○○すべきだ」といった熱い談義をされているグループも少なくありません。
興味深いのは、お酒の席にもかかわらず、話の内容が具体的で、⾃分の想いがこもっている素晴らしい内容であることが多いことです。
「○○が変われば、当社はもっと良くなるのに」「⾃職場はもっと連携を強化すべきだ。なぜならば~」
といった話を皆さんもしたことがあるのではないでしょうか。

しかし、この居酒屋談議にはもったいない点が2つあります。⼀つは、この話は居酒屋で完了してしまうということです。居酒屋を出た瞬間に話の内容は忘れ去られ、「さぁ、明⽇からも現実に戻って仕事をしよう」となってしまいます。これではせっかくの「問題意識」が無駄になってしまいます。

もう⼀つは、話の主⼈公はたいてい「他⼈」だということです。つまり、「私は○○すべき」といった⾃分起点の発⾔が少ないのです。

誰もが⼀度は経験している居酒屋談議を、リーダーとしての「問題意識」として活⽤する⽅法を学ぶ必要があります。

受講者が真に参加する研修

これは研修でも同じことが⾔えます。例えば本学が提供している「実践リーダーシップ研修」は、受講者に知識を提供したり、スキルを⾝につけてもらったりする研修ではありません。
⽅法論として、「分析型アプローチ」を取るものでもありません。実践的なリーダーとしての「習慣」を⾝につけてもらうことを意図しています。そのために、以下のような環境を提供します。

1.受講者同⼠が学びの協⼒者(「受講者」対「受講者」)

職場の実際の状況を持ち寄り、⾃分⾃⾝の「問題意識」に照らして共有します。それに対して、他の受講者が同じ社員の⽴場からさまざまな意⾒を投げかけます。
この研修で⼤切にするのは、この受講者同⼠の指摘です。他者の異なる考え⽅や意⾒を通じ、お互いが思いもよらない発⾒を得るような仕掛けを組み込んでいます。

これらの体験を通じて、研修後、職場に戻ってからも、周囲のメンバーに「問題意識」を投げかけてみるという習慣をイメージできるようになります。

2.講師は良質な問いの提供者(「受講者」対「講師」)

講師は、受講者同⼠の意⾒交換を促進するために、さまざまな観点から質問を投げかけます。それはときに上司の視点であったり、他部署の視点であったり、あるいはトップの視点であったりするかもしれません。受講者同⼠ではなかなか気づけない視点を受講者に提供することで、⾃分の「問題意識」とより深く向き合ってもらえます。

とはいえ、研修が終われば指摘してくれる⼈は社員しかありませんので、極⼒受講者同⼠でさまざまな視点が得られるよう、あらかじめ「視点のサンプル」を提供するなど、さまざまな⼯夫をしています。

実⾏に移せない課題形成は全く意味がありません。実⾏に移すためには、実⾏者の「想い」が⼤切になってきます。
また、実⾏するには、⼀⼈の「想い」を周囲に伝播していく必要があります。
⾃らの課題を磨き、周囲を巻き込みながら実⾏に移していく、そのような機会として、数々の研修プログラムを開発しましたので、ぜひ貴組織での実践的なリーダーの育成にご活⽤いただきたいと思います。

実践リーダーシップ研修 プログラム例

研修プログラム例(2日版)
時間 内容(1⽇目) 内容(2⽇目)
9:00~ ・オリエンテーション
・事前課題共有
・昨⽇の振り返り
10:00~ ・リーダーシップとは
リーダーシップ研修の歴史から学ぶ

・変⾰の時代のリーダーシップ
・実践演習
課題(アジェンダ)を深める(1)
12:00~ 昼⾷ 昼⾷
13:00~ ・実践演習
リーダーシップ持論を磨く
・実践演習
賛同者(ネットワーク)を増やす
15:00~17:00 ・問題解決とは
問題解決の変遷から学ぶ
・実践演習
課題(アジェンダ)を深める(2)

研修プログラム例(1日版)

時間 内容
9:00~ ・オリエンテーション
・事前課題共有
10:00~ ・リーダーシップとは
リーダーシップ研究の歴史から学ぶ
12:00~ 昼⾷
13:00~ ・実践演習
課題(アジェンダ)を深める
15:00~17:00 ・実践演習
賛同者(ネットワーク)を増やす

※時間は目安です。