生成AI活用のカギ:必要なマインドセットとスキルとは ~プロジェクトで得た実践知見をもとに~

生成AI活用のカギ:必要なマインドセットとスキルとは~プロジェクトで得た実践知見をもとに~

筆者プロフィール

藤原 隆明 (Fujiwara Takaaki)

学校法人産業能率大学 総合研究所 マーケティング部 マーケティングセンター
プロジェクト・リーダー
データサイエンティスト

藤原 隆明
(Fujiwara Takaaki)

本学の生成AI活用推進プロジェクトの開発担当。生成AIを活用したWebアプリケーションの開発や環境構築に従事。また、生成AIと学内データを連携させるための環境(RAG:Retrieval-Augmented Generation)の構築にも取り組んでいる。

※所属・肩書きは掲載当時のものです。

はじめに

生成AIは、業務効率化や意思決定の迅速化といった即効性の高い効果をもたらす一方で、企業の競争力を抜本的に変える可能性を秘めた技術です。この技術革新によって、従業員の働き方だけでなく、必要とされるスキルやマインドセットも大きく変化すると予想されます。こうした変化に対応するためには、企業や組織の人事・教育担当者も、研修内容や方法を柔軟に見直し、変化に適応していくことが求められるでしょう。

学校法人産業能率大学総合研究所(以下「本学」といいます)では、生成AIが事業・組織・仕事に大きな影響を与える可能性が高いことから、2023年7月に組織横断的な「生成AI活用推進プロジェクト」を立ち上げました。本プロジェクトでは早期の実践活用を目指して、本学専用の生成AIチャットWebアプリケーション「SANNO GAI」を開発し、現在職員が生成AIを実際に様々な業務で活用しながら、その効果や課題を検証しています。

本稿では、本プロジェクトの実践活動を通じて得られた知見をもとに、生成AIを「使いこなせる人」と「使いこなせない人」の特徴、生成AIを効果的に活用するために必要なマインドセット・知識・スキル、さらに生成AIを活用した効率的・効果的な研修運営について詳しく解説します。

SANNO GAIの画面イメージ
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1.「使いこなせる人」と「使いこなせない人」の特徴

生成AIを「使いこなせる人」には、いったいどのような特徴があるのでしょうか。この章では、「使いこなせる人」と「使いこなせない人」それぞれの特徴を整理しました。

「使いこなせる人」は、新しい手法を積極的に試そうとする柔軟な発想と好奇心を持ち、たとえ期待通りの結果が得られなくても試行錯誤を重ねて改善していきます。さらに、生成AIが出力したアイデアや情報をそのまま鵜呑みにせずアウトプットを精査し、質を高めることができる点が特徴です。

一方、「使いこなせない人」は従来の手法やプロセスに固執してしまい、生成AIの可能性を十分に引き出せません。具体的な指示(プロンプト)を与えられずに曖昧なまま依頼してしまい、期待通りの結果が得られないケースも多いでしょう。また、即効性を求めて諦めが早いと、段階的に効果を引き出す生成AIの本質を活かしきれなくなってしまいます。

「使いこなせる人」と「使いこなせない人」の対比表

✔ 使いこなせる人の特徴 ✕ 使いこなせない人の特徴
柔軟な発想と好奇心を持つ
新しい手法を積極的に試し、業務を改善するパートナーとして生成AIを活用する
硬直的な考えで現状を維持しようとする
既存プロセスを変えたがらず、生成AIを単なるツールとしてしか見られない
試行錯誤を通じて改善する
期待どおりの結果が出なくても失敗と捉えず、得られた知見をもとに使い方を工夫し続ける
即効性を求めて早く見切る
はじめの段階で期待外れだと感じるとすぐに断念し、学習や試行錯誤をせずに終えてしまう
アウトプットの正確性や質を見極めて修正する
生成AIの提案を鵜呑みにせず、誤りや情報不足を的確に補う知識・スキルを持っている
アウトプットを鵜呑みにしてそのまま使う
生成AIが出した結果をチェックせずに利用し、誤情報を見逃す
求める成果に必要な手順や条件を整理し、具体的に指示する
プロンプト(生成AIへの指示)内容を明確化し、生成AIの能力を最大限引き出す
望む成果だけをあいまいに指示する
「何をどこまで求めるのか」などの要件が明確でないまま、雑な指示を与える

2.生成AIを効果的に活用するためのマインドセット・知識・スキル

前章では、生成AIを“使いこなせる人”が持つ柔軟性や試行錯誤を厭わない姿勢、具体的な指示力などの特徴を整理しました。本章では、より実践的にビジネスの現場で成果を出すために必要な「マインドセット」「知識」「スキル」の3要素について解説します。

【マインドセット】柔軟な発想と継続的な改善意識

生成AIを効果的に活用するには、新しい方法を取り入れる柔軟性と、試行錯誤を重ねながら最適な活用法を見出す姿勢が求められます。しかし、単に「柔軟に考えましょう」と言われても、実際の業務では難しいものです。
そこで、従業員一人ひとりが柔軟な発想を持ち続けられるようにするためには、以下のようなアプローチを意識して組織的に取り組むことが効果的です。

(1) まずは小さく試す

新しいツールを導入する際、いきなり全社的に展開しようとすると抵抗が生まれます。
まずは一部の業務で試し、得られた知見をもとに適用範囲を広げることで、スムーズに導入を進めることができます。

(2)段階的に精度を高め、成功事例を共有する

たとえば、議事録作成に生成AIを活用する場合、最初は簡単な要約から始め、少しずつ精度を向上させるプロセスを組み込むことで、自然に改善サイクルが生まれます。また、顧客対応メールの自動生成でも、「どのプロンプトが最も適切な出力を生むか?」をチームで共有することで、組織全体のスキル向上につながります。

【知識】生成AIの出力を正しく判断するための専門知識

生成AIの活用には、単に使い方を覚えるだけでなく、出力された情報が正確かどうかを適切に判断する知識が欠かせません。
特に、生成AIの特性を理解し、出力結果を検証するための知識を持つことが重要になります。

(1) 生成AIの特性を理解する

生成AIは、膨大な学習データをもとにテキストを生成しますが、その情報が必ずしも正しいとは限りません。
次の特徴を理解しておくことで、出力結果をより適切に扱うことができます。

ハルシネーション(誤情報)が発生する可能性がある

  • 生成AIは、もっともらしく見える誤情報を含む出力を生成することがある
  • 具体的には、存在しないデータを生成したり、誤った事実を提示したりすることがあるため、そのまま業務に適用するのは危険。

出力結果にバイアスが含まれることがある

  • 生成AIは、学習データに基づいて出力を生成するため、特定の偏り(バイアス)が含まれる可能性がある。
  • たとえば、「〇〇業界に関する分析」を依頼した場合、過去のデータが多い分野に偏った情報が生成される可能性があるため、注意が必要。

(2) 生成AIの出力を評価する視点

生成AIの出力結果を業務で活用するには、事実と推測を見極める知識が必要です。
そのため、出力結果を評価する際には、次のポイントを意識するとよいでしょう。

情報の出典を確認する

  • 出力された情報に、信頼できる出典やデータの根拠が示されているか?
  • 参考文献やデータのソースが実際に存在するか?

事実と推測を切り分ける

  • 生成AIの出力が「事実」に基づいているのか、「推測」に基づくものなのかを見極める。
  • 断定的な表現が使われている場合、それが確かな情報かどうかを検証する。

専門知識を持つ人が最終確認を行う

  • 重要な業務や対外的な情報発信に関しては、必ず専門知識を持つ担当者が確認する。
  • 人の判断を加えることで、生成AIの出力の信頼性を高める。

【スキル】目指す成果を的確に言語化するスキル

生成AIを効果的に活用するためには、「目指す成果を明確にし、適切な指示を与えるスキル」が必要不可欠です。
生成AIは、与えられた指示(プロンプト)に応じて出力を生成するため、指示が曖昧だと期待する成果が得られず、出力の品質も不安定になります。
そのため、どのようにプロンプトを設計するかが、生成AIを使いこなせるかどうかの重要な分かれ道になります。

(1)プロンプト設計のコツ

プロンプトを設計する際は、目標を明確にし、具体的な条件を提示することが重要です。
以下のように、シンプルな指示ではなく、詳細な要件を含めたプロンプトを作成することで、精度の高い出力が得られます。

悪い例(不明確な指示) 良い例(具体的な指示)
「報告書を作って」 「1,000文字以内で、データ分析の結果を要約した報告書を作成してください。背景情報として以下のデータを活用してください。(データ分析の結果をコピペ)」
「研修アンケートの分析結果をまとめて」 「新入社員研修のアンケート結果(数値データと自由記述)を基に、主な傾向や課題を分析し、改善点を提案してください。文字数は800文字以内で、上司に提出するレポート形式でまとめてください。」

このように、目標・条件・フォーマットを明示することで、より適切な出力が得られます。

(2)プロンプトの改善を繰り返す

生成AIの出力は、1回の指示(プロンプト)で完璧な結果を得られるとは限りません。
そのため、様々なプロンプトを何度も試しながら、どのような表現が適切な結果を導くのかを学ぶことが大切です。

ここでは、異動1年目の教育担当者が新入社員研修を企画するケースをもとに、生成AIを活用したプロンプト改善のサイクルを示します。

ケース:異動1年目の教育担当者が新入社員研修を企画

初回プロンプト

プロンプト(初回)

「新入社員研修を企画したいので、アイデアを出してください。」

生成AIの出力例(初回)

「新入社員研修のアイデアとして、以下のようなプログラムが考えられます。

  • ビジネスマナー研修
  • コミュニケーションスキル研修
  • 業務理解のためのOJT
  • チームビルディングワークショップ

問題点

  • 一般的な研修テーマが列挙されただけで、企画の方向性が見えてこない
  • 過去の研修と比較して何を改善すべきかが分からない
  • 対象者(新入社員)の特徴や研修の目的が考慮されていない

2回目:プロンプトの修正

プロンプト(改善版)

「今年の新入社員研修を企画しています。
昨年のプログラムでは、受講者から『実務とのつながりが分かりにくい』というフィードバックがありました。
この点を改善し、実践的な内容にするためのアイデアを提案してください。」

生成AIの出力例(2回目)

昨年の課題を踏まえ、以下のような改善策が考えられます。

  1. 業務シミュレーションの導入:実際の業務フローを体験できるワークショップを実施
  2. OJTとの連携強化:座学だけでなく、現場での体験学習を増やす
  3. 先輩社員との対話セッション:業務のリアルなイメージを持てる機会を提供

改善点

  • 昨年の課題(実務とのつながりが分かりにくい)を考慮した提案になった
  • 研修の具体的な改善策が提示された
  • 実践的な要素が含まれるようになった

さらなる課題

  • 研修の具体的な進め方が知りたい
  • 時間配分やプログラムの詳細が不足している

3回目:最終版のプロンプト

プロンプト(最終版)

「今年の新入社員研修を企画しています。
昨年の研修では『実務とのつながりが分かりにくい』という課題がありました。
これを改善するため、業務シミュレーションやOJTとの連携を強化したいと考えています。
1日あたり6時間、5日間の研修スケジュールを想定しています。
効果的なプログラムの構成案を、具体的な進行例を含めて提案してください。」

生成AIの出力例(最終版)

「以下のような5日間の研修スケジュールを提案します。

研修スケジュール(例)

1日目:組織理解とビジネスマナー

目的:会社のビジョン・ミッションを理解し、新入社員としての基本姿勢を身につける。

午前(3時間)

  • 会社のビジョン・ミッション理解(講義 + ケーススタディ)
    → 会社の成り立ちや経営方針を学び、グループでディスカッション。
  • ビジネスマナー基礎(実践ワークショップ)
    → 挨拶、名刺交換、メール作成のロールプレイング。

午後(3時間)

  • 社内ルール・就業規則の説明(Q&Aセッション付き)
  • 研修全体の目的共有とアイスブレイクワーク
    → 研修の流れを説明し、同期同士の関係性を築くワークを実施。

2日目:業務の基礎とシミュレーション

目的:各部門の業務内容を理解し、実務を想定した課題解決を体験する。

午前(3時間)

  • 各部門の業務紹介(現場担当者が登壇)
    → 具体的な業務内容と期待される役割を説明。
  • 業務フローの解説(ワークシート活用)
    → 各部門の業務プロセスをシミュレーション形式で学習。

午後(3時間)

  • 仮想プロジェクト体験(グループワーク)
    → 営業・開発・バックオフィスの役割を分担し、ミニプロジェクトを実施。
  • 振り返り&発表(フィードバック付き)
    → 体験を通じて学んだことをグループで発表し、改善点を議論。

3日目:OJTとの連携

目的:実際の業務を観察し、実践的なスキルを学ぶ。

午前(3時間)

  • 現場業務のシャドーイング
    → 先輩社員に同行し、実務の流れを観察。
  • 先輩社員とのディスカッション
    → 「なぜこの業務が重要なのか?」を理解するためのQ&Aセッション。

午後(3時間)

  • OJTスケジュールの設定(個別プラン作成)
    → 3ヶ月間のOJT計画を作成し、上司と共有。
  • フィードバックを受けて内容調整
    → 研修担当者・OJT指導員と個別相談。

4日目:実践ワークショップ

目的:研修で学んだ知識をもとに、実際の業務で活かせるスキルを習得する。

午前(3時間)

  • 「1週間後に実務をこなせるようになるために」ワークショップ
    → 研修の学びを整理し、実務にどう活かすかを考える。
  • ケーススタディ:業務課題を解決せよ!
    → 研修内容を活かし、グループで業務改善策を提案。

午後(3時間)

  • 発表&フィードバック
    → 先輩社員・上司が評価し、改善点をアドバイス。
  • 学びの振り返り&次のステップへ
    → 個々の課題を明確にし、OJTで実践する準備を行う。

5日目:総括と成長計画の策定

目的:研修全体を振り返り、今後の成長プランを明確にする。

午前(3時間)

  • 研修の振り返り(KPT法を活用)
    → Keep(良かった点)、Problem(課題)、Try(次に試したいこと)を整理。
  • 個人の強みと課題の洗い出し
    → 自己評価+フィードバックを基に成長ポイントを明確にする。

午後(3時間)

  • 1年間の成長プラン作成
    → 各自がOJTでの目標とアクションプランを策定し、上司と共有。
  • 研修修了式&同期との振り返りディスカッション

まとめ:プロンプト改善の流れ

対話回数 プロンプトの改善点 生成AIの出力の変化
1回目 ざっくり「研修のアイデアを出して」と依頼 一般的な研修テーマが列挙されただけで、具体性がない
2回目 昨年の課題を提示し、「実務とのつながりを強化したい」と指示 課題に基づいた具体的な改善策が提案された
3回目 研修の目的・時間配分・進行例を明示し、実行可能なプランを求める 5日間のスケジュールや内容が明確になり、実践的な提案になった

このように、プロンプトを段階的に改善することで、より具体的で実用的な回答を得ることができます。
生成AIを効果的に活用するには、「どんな情報が必要か」を明確にしながら、プロンプトをブラッシュアップしていくスキルが不可欠です。

(3)補足情報:プロンプトジェネレーターの活用

最近では、プロンプト設計を補助するツールも登場しており、プロンプトの作成をサポートすることができます。
たとえば、OpenAIのプロンプトジェネレーターなどを活用すれば、簡単なキーワードを入力するだけで、適切なプロンプトの例を自動生成することが可能です。
こうしたツールは特に初心者に有効ですが、最終的には「どのような成果を求めているのか」を明確に言語化するスキルが必要不可欠です。

  • ユーザーが入力した簡単な指示やキーワードをもとに、AIが最適なプロンプトを自動生成するツール。専門的な知識がなくても高品質な出力を得ることができる。

3.生成AIを活用した効率的・効果的な研修運営

これまで、生成AIの特性や、活用に必要なマインドセットとスキルを解説してきました。本章では、それらを踏まえ、研修の各フェーズにおける生成AIの活用方法に焦点を当てます。
研修を効果的に運営するためには、研修の企画・準備・実施・振り返りの各段階で適切な対応を行い、PDCAサイクルを回すことが不可欠です。しかし、多くの企業では、研修の設計に時間がかかる、準備が煩雑で負担が大きい、実施後の振り返りが不十分といった問題を抱えています。
こうした問題を解決するために、生成AIを活用することで、業務の効率化と質の向上を両立させることが可能です。

以下では、研修の主要な4つのフェーズ(企画・準備・実施・振り返り)ごとに、内製化した研修の社内インストラクターを想定した具体的な生成AIの活用方法を解説します。

(1)研修の企画段階での活用

(目的:研修のコンセプト設計、ゴール設定、ニーズ分析)

研修を企画する際には、対象者の学習ニーズを正しく把握し、研修の目的やゴールを明確に設定することが求められます。
特に、研修の方向性を決める初期段階では、関係者との意見交換(壁打ち)が重要ですが、情報整理や議論の前準備に時間がかかることが課題となります。

生成AIの活用例

  • 過去の研修データをもとにニーズを整理
    → 「昨年の新入社員研修ではどのスキルの定着率が低かったか?」といった質問に対し、アンケート結果や受講者のフィードバックを分析し、改善点を抽出。
  • 上司・関係者との議論用の質問リスト作成
    → 例えば、「次年度の研修ではどのスキルを重点的に強化すべきか?」といった議論を深めるための質問を自動生成。
  • 業界の最新動向を反映した研修テーマ提案
    → 生成AIが業界トレンドを分析し、「最近の市場変化に対応するために、〇〇のスキルを強化すべき」といった示唆を提供。

(2)研修の準備段階での活用

(目的:教材・演習ツールの作成、チェックリストの作成、運営準備)

研修の効果を最大化するには、受講者が主体的に学べるような教材や演習ツールを整備することが不可欠です。しかし、教材の作成や準備には多くの時間とリソースが必要となり、担当者の負担が大きいのが現状です。

生成AIの活用例

  • 研修準備のチェックリスト自動生成
    → 「研修前に準備すべきこと」をAIがリスト化し、運営の抜け漏れを防ぐ。
  • スライドやワークシートのドラフト作成
    → 研修内容に応じたパワーポイントのスライドや、グループワーク用の資料を生成し、時間短縮。
  • ロールプレイシナリオの作成
    → 例えば、「クレーム対応研修」では、顧客対応の実例をもとにしたリアルなロールプレイ用シナリオを自動作成。
  • 受講者への事前課題の作成
    → 生受講者への事前課題を作成し、研修の事前学習を促進。

(3)研修の実施段階での活用

(目的:研修中のファシリテーション支援、受講者の理解度チェック)

研修を円滑に進めるためには、受講者の理解度を把握し、適切なフィードバックを行うことが重要です。
しかし、講師が個々の受講者に細かく対応するのは難しく、一方的な講義になりがちという課題があります。

生成AIの活用例

  • グループディスカッションのテーマ生成
    → 受講者の理解度に応じて、適切なディスカッションテーマを提案し、研修のインタラクティブ性を向上。
  • リアルタイムの理解度テスト作成
    → 研修内容を基に、受講者が即座に取り組める簡単なクイズを作成し、学習の定着度を測定。
  • 研修中の意見・フィードバックの自動整理
    → 受講者が書いたコメントや質問をリアルタイムで整理し、講師が適宜フィードバックできるように支援。

(4)研修の振り返り段階での活用

(目的:研修のコンセプト設計、ゴール設定、ニーズ分析)

生成AIの活用例

  • アンケートの自由記述分析
    → 受講者のコメントを「ポジティブ」「ネガティブ」「改善提案」などに分類し、主要な意見を要約。
  • 満足度スコアの背景分析
    → 例えば、「この研修項目の評価が低かったのは、〇〇が不足していたため」といった要因を自動分析。
  • 研修報告書のドラフト作成
    → 生成AIがアンケート結果を基にレポートの草案を作成し、時間を短縮。
  • 次回研修の改善点の提案
    → 過去の研修データをもとに、「次回は〇〇を強化すべき」といった示唆を提供。

最後に:とにかく使ってみることが大事

生成AIは現在も急速に進化を続けており、その進化のスピードは目覚ましいものがあります。インターネットやスマートフォンが「特別なツール」から「誰もが当たり前に使うインフラ」へと変化したように、生成AIも社会や業務の一部として定着していく未来が見えています。その普及によって、従業員一人ひとりの業務プロセスや意思決定の質が向上し、結果として企業全体の競争力を高めることになるでしょう。

しかし、どのような技術にもリスクと課題が伴います。生成AIの活用には、情報の正確性、セキュリティ、倫理的な側面を十分に考慮する必要があります。例えば、ハルシネーション(誤情報の生成)やバイアス(特定の価値観や偏り)が組み込まれる可能性があるため、出力結果をそのまま鵜呑みにするのではなく、適切に検証する体制を整えることが求められます。また、機密情報の取り扱いや著作権の問題にも注意が必要です。生成AIを効果的に活用するには、リスクを管理しながら適切に運用していく視点が不可欠です。
本学の生成AIプロジェクトでも、導入当初から試行錯誤を繰り返しています。実際に運用を開始してみると、当初の想定どおりに進まない場面も多くあり、課題を一つひとつ解決しながら前進してきました。生成AIは万能なツールではなく、適切なマインドセットとスキルを持った人が使いこなすことで初めて、その真価を発揮するものです。私たち自身も実践を重ねる中で学び、試行錯誤を繰り返しながら、より効果的な活用方法を模索し続けています。

こうした試行錯誤を通じて、一つ確実に言えることは、とにかく使ってみないと何も始まらないということです。何ができるのか、どのような課題が生じるのかも、実際に試してみないと分かりません。そのため、まずは実際に使い、試行錯誤を重ねながら最適な活用方法を見つけていくことが重要です。すでに多くの企業や組織が生成AIを活用し始めており、早い段階でノウハウを蓄積した組織は競争優位性を築くことができるでしょう。
新しい技術に対して抵抗を感じがちな組織もあるかもしれませんが、実際に使ってみることで、その可能性や業務への具体的な応用方法が見えてきます。

生成AIは、まだ発展途上の技術だからこそ、今のタイミングで積極的に試し、学び、試行錯誤の経験を積み重ねることが将来の成功へ向けた大きなアドバンテージになります。新しいツールに慣れ、それをどのように業務に統合していくかを考える姿勢を持つことが、今後の競争力を左右する鍵となると思います。

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いかがでしたでしょうか。生成AIをはじめとする新たな技術を効果的に活用することで、企業や組織は業務効率化や競争力向上など、大きなチャンスをつかむことができます。しかし、そのためには従業員が必要なスキルやマインドセットを身につけ、実践できる環境を整えることが不可欠です。
本学では、「日本企業・組織におけるリスキリング実態調査」を実施し、DXを推進する企業へのインタビューや支援活動を通じて課題を整理しました。その内容をもとに、DX推進における人材育成のヒントや生成AIを活用するための具体的なソリューションを1冊の冊子にまとめています。ぜひこの機会にダウンロードしていただき、貴社・貴組織におけるDX推進やAI活用人材育成の一助としてご活用ください。

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