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写真専門誌と本学との関わり

雑誌『風景写真』との出会い

私が本学の教員になった年、写真好きな学生を中心に写真同好会を立ち上げました。学生達と奥ゆかしく風景を愛で撮影を楽しみたいという思いからでした。

ある時、学生達を風景写真の専門誌である『風景写真』の編集長に会わせる機会を設けました。
そこで、学生達は意気揚々と「私たち、風景撮ってるんですー」と編集長にひとこと。それを聞いた編集長はとても驚いていらっしゃいました。
風景写真なんてものを撮るのは、高齢者ばかりと思いこんでいたようでしたが、「こんな若い人たちが風景に魅力を感じているなんて!」と、驚きと感動の瞬間だったようです。

この時の編集長と学生達の出会いが、雑誌『風景写真』と本学写真同好会(現在は写真部)との深い関係のはじまりとなりました。

『風景写真』誌
写真1:隔月で刊行されている『風景写真』誌 自由が丘キャンパス図書館にも蔵書している

以来、学生達はプロ写真家らによる本格的な指導を受けたり、活動内容を雑誌に掲載していただいたり、通常の部活では到底考えられないほどの協力をいただくことになりました。
これらに応えられることはないだろうか。私たちは考えました。

受賞作のデータベース化

この雑誌のコンテスト受賞作は、日本の風景をさまざまな作者が捉えた集大成といえます。であるならば、この受賞作をデータベース化すれば何らかの価値を生むのではないか。
そう考えました。

『風景写真』誌は隔月刊であり、1号あたりコンテスト受賞作が約70~90作あります。手元にあるのは出版された本誌と、そこに掲載された作品の画像ファイル群です。受賞作ごと、本誌を参照しながら画像ファイル群から作品画像を選択し、作者名、選者、画題、撮影年月日と時刻、撮影場所、使った機材などの撮影データをPCに入力します。

例として私の受賞作と撮影データを写真2に示します。

写真2:受賞作とデータの一部例 「雪のさざなみ」、長野県南佐久郡北相木村、2018年1月3日午前7時、カメラFUJI X-E2/レンズ10mm、2019年1-2月号冬部門準優秀賞

入力は『風景写真』誌の編集が電子化され画像ファイルとして得られる2003年の号から始めました。1号の入力には早い者でも10時間近くかかります。春休みと夏休み、部活の宿題として多くの部員に協力してもらいました。
入力のあとは本学短大OGの手で本誌と再チェック、更に私が再々チェックして入力作業は完了しました。いまは現発行号とほぼ同期してデータベースは最新状態に更新されつつあり、入力されたデータは8,000件を超えました。
これらの入力作業を通じて、学生達にとっても本物の題材に触れ、それがどのような場面で、誰によって、どのように撮影されたのかをインプットできる機会にもなりました。

写真部員の様子
写真3:春休み開始直後、写真部員を集めて入力練習。このあと本誌を各自持ち帰り入力続行

そして活用にむけて

このデータベースは全国のさまざまな風景が場所、季節、時間ごとにわかるようになっています。またどんな機材が使用されているか、更に誰がどんな作品を撮っているかなどが発行の時期を追ってわかるようになっています。

風景写真の表現の推移を概観してみると、表現の主点や方法が変化している現象がみてとれます。これは機材の進化や撮影場所の環境・風土の変化だけでなく、感覚に鋭い日本人の感性が変化していると考えています。
さて、これらの活用をどうするか。私は海外から訪問した観光客への情報提供にこのデータの利用を考えつきました。次号でその内容を紹介しましょう。

日本文化 発信の研究

公開日:2019年07月16日(火)