還暦男、セブ島英会話留学1か月"かく闘へり"

還暦男、セブ島英会話留学1か月"かく闘へり""

なぜ還暦の年に英会話留学なのか?

1.シリコンバレーでの痛烈な出来事

2年前、シリコンバレーに研究調査に行き衝撃を受けました。

1つ目は、新たなテクノロジーが生活に浸透していること。
例えば、ウーバーや電気自動車、顔認証、あらゆる場面でのスマホ決済など、テクノロジーがごく自然に生活に定着していたことです。

2つ目は自身の英会話力です。非英語圏ではボディーランゲージを駆使し、ジャパニーズイングリッシュで何とか対応してきましたが、いざ英語圏の国に舞い降りるとビジネスマンや学者の話が早くて聞き取れず、また、通常使用している英単語は通用せず、四苦八苦しました。

つまり、通訳なしでは全く通用しなかったということです。仕事でマネジメント用語を多用している自分にとっては、全くもって痛い現実でした。

2.英語学び直しの強い動機

これらの環境や現実を鑑みて、今後の限られた人生において「No English,No Chance」という事実を突きつけられました。逃げ切るか、再挑戦するか…。自問自答した結果、再チャレンジを決意しました。

なぜセブ島なのか?なぜ1か月なのか?

1.1,000時間理論

英会話スクール業界において、まことしやかに流布している理論があります。
それが1,000時間理論です。

簡潔に言えば「英語で話したければ1,000時間勉強しなさい」ということです。
詳細は専門家に委ねますが、私はこの理論に何となくですが実感があり、「これはいいかも!」という直感が働きました。
もちろん1,000時間の勉強の質やメソッドは様々ですが、私はこの理論を信じ、2年で実現する計画を立てました。

その結果、国内だけでは(私の場合)実現不可能で、やはり留学が必須であることが判明しました。
さらに調査・分析を進めてコスト・親和性・仕事への負荷などを勘案し、友人が経験したセブ島1か月留学を選択することにしました。

また、幸いにも所属組織において勤続表彰をいただき、5月の大型連休を活用し、休暇と寸志をすべて投入しました。
そして、実行可能で効率的な条件(社会人のみ、宿舎完備、レベルに応じた対応、過去の実績など)からミライズ という学校を選択しました。

ミライズ英会話

2.百聞は一見に如かず

セブ島のイメージはリゾート地、次に魚とフルーツを愛するのんびりした島というものでしたが、現実は全く異なり大都会でした。

当然ローカルな場所に行けばイメージ通りでしたが、少なくとも学校のある場所は、先進国のBPO(Business Process Outsourcing)ビル群と巨大ショッピングモール、建設中のタワーオフィスに囲まれた大都会でした。

セブ島留学

出発前に周囲に計画を話すと、言われたことがありました。「フィリピン訛りの英語になるぞ」「食事で苦労するぞ」などなど。

結論から言えばどちらも杞憂でした。英会話スクールの教師は極めて優秀な方々でした。個人差はありましたが、美しいアメリカンイングリッシュでした。
また、フィリピン料理は極めて美味しかったです。名物がピンと来ない方が多いと思いますが、私は何を食べても口に合いました。
これはうれしい誤算でした。

フィリピン豚肉料理 レチョン
フィリピンの豚肉料理「レチョン」

英語漬けの1か月を振り返る

肝心のレッスン内容(筆者の場合)を簡潔に表記します。

1週間のスケジュール

  • 月~木:1コマ50分授業が7つ(マンツーマン5つとグループクラス2つ)
  • 金:午前4コマ、午後プレゼンテーション(任意)、3時から卒業式
  • 土日:休日(ほぼ島巡りとショッピング、食べ歩き&パーティ)

カリキュラム

  • ビジネス英会話を主としたリスニング、スピーキング、ライティング、リーディング、グラマー、グループディスカッション等

ホームワーク

  • 担当教師により異なるが3つ程度出題(1つ30分~1時間程度。翌日期限)

各週の事実と気づき
(※クリックすると各週の事実と気づきをご覧いただけます)

1週目の事実・事象・感情と気づき
事実・事象・感情 気づき
1.先生の言っていることの半分も理解できなかった やはりインプットしてから留学を。
備えあれば憂いなし
2.読むのが遅く、回答まで至らず 英語は英語脳で読む
3.先生はレベルに応じて教え方を変えてくれて、とても丁寧であった 先生には動機や志を伝え、すべてをさらす
4.バッチメイト(同じ週の入学生)に恵まれ、楽しい週末を味わえた 親子に近い年齢差を却って利用する
2週目の事実・事象・感情と気づき|この週に新たな戦略を立て実行した
事実・事象・感情 気づき
1.宿題は翌朝5時に起床し実行 英語で溢れかえる脳は1度寝てリセットしてから宿題に臨む方が効果的
2.グループクラスでは、ペアの人に答えてもらう 友に頼り、ストレスを軽減する
3.話す時には主語から これが“単語会話”から脱出の道
4.ハイスピードで記事を読む WAW メソッド(※)で記事をとにかく速く読むと主張が見えてくる

※ W:Who A:Action W:Whatの略。基本的な文法

3週目の事実・事象・感情と気づき
事実・事象・感情 気づき
1.テレビはいつもCNNニュース(半分くらい理解できるようになる) アナウンサーが頻繁に使う単語を調べ、理解できると点と点が線になってくる
2.簡単な自炊に取り組む 日本食は恋しくないが、食物繊維不足を補う必要がある
3.毎日“party people”(英語圏ではparty animal) 毎晩、誰かの祝賀でパーティーになるが、つき合いはほどほどに
4.メンタルとフィジカルの疲労がピークに 3週目に入ると脳と肉体が悲鳴を上げる(友人も同感)
4週目の事実・事象・感情と気づき
事実・事象・感情 気づき
1.週末は離島で一人魚釣り オーシャンビューを眺めながら、魚とも英会話
2.Grab Taxi(アプリによる配車サービス)、トライシクル(3輪タクシー)に慣れて使いこなす 鉄道インフラがないので、タクシーの手配は必須
3.前週よりフィジカルが良くなる 4週目はなぜか体調が回復する
4.2回目のプレゼンテーション実践 結局2回、英語でプレゼンテーションを実施、任意だが留学では必須のレッスン(1回10分:質疑含む)
2回目のプレゼンテーションの様子

英語は学び直しできる

1.学びに年齢は関係ない

還暦の年にセブ島で4週間、英会話スクールの学生を体感し、どのくらい上達したのかはわかりませんが、確実に言えることは、「年をとると記憶力が衰え、語学習得は無理、という言い訳を払拭できたこと」です。

語学力を上げることはテストの点数を上げることではありません。
「英語を学ぶ」のではなく、「英語で楽しむ」ことです。
楽しむためには、聞けないと前に進めないし、話せないとつまらないし、読み書きできないと非効率です。
楽しむためにはインプットとアウトプットを繰り返すことです。

年齢は一切関係なく、必要なのは情熱でした。ある先生に言われた言葉が印象に残っています。
「英語はサウンド。音楽と同じ。それは感情であり、感覚であり、生活そのものです」と。
実感として納得できました。

2.最後は自学自習

今回は突撃留学で、ある一定の成果は得たと思いますが、肝心なのは継続です。
継続がなければすぐ元に戻ってしまうことは間違いありません。

やはり、地道にコツコツと自学自習することが必要です。

幸い日本にいても英会話スクールはたくさんあり、オンラインスタディも充実しています。
私は1,000時間理論を信じ、還暦を過ぎても「英語で楽しむ」生活を邁進していきたいと思います。

執筆者プロフィール

学校法人産業能率大学 総合研究所
経営管理研究所 主席研究員
豊田 貞光

※筆者は主に成長戦略実現のための風土変革、
 人的資源管理システム再構築、
 リーダーシップ養成ワークショップ等の指導を担当
※所属・肩書は掲載当時のものです

プロフィールの詳細はこちらから

豊田 貞光

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