公開セミナー体験レポート「課長実践研修」

人を通じて成果を出す歯がゆさを喜びに変えて ~講師からのメッセージ~

1.受講生の多くは、「課長の役割とは何か」をぼんやりととらえているのですが、現実の忙しさで深く考え、答えを出さずにいる場合が多いです。この研修を通じて、組織・メンバーにとって頼もしい課長の役割を探求する足場を提供したいと考えています。

2.この研修では課長になったら、人を動かすために自分の表現力、知識、考え方を磨く必要があることを強調しています。人を通じて、成果を出していく歯がゆさを感じつつ、人を通じて成果を出す喜びとその大きさを深く理解していただくことに力点を置いています。
学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 戦略・ビジネスモデル研究センター 主席研究員 北山 勝英
初夏の風が清々しい2018年5月16日~18日、2018年度の課長実践研修の初会合が代官山で開催されました。
当日は、食品、情報システム、百貨店、メディカル、金融、家電など様々な業種業態の方々が全国から集い、総勢11名のご参加をいただきました。
本セミナーは、毎年20会合以上開催され、環境変化に対応できる管理者の養成を目的とした産能マネジメントスクールの看板コースとなっています。
今回、18年度、初会合の模様をリポートさせていただきます。

【1日目】

オリエンテーション

あなたは職場にどんな資産を残したいのか︖

・管理者として常に自問自答して欲しい問いを講師が受講者に投げかけ研修がスタートしました。 ・この問いかけにより教室がいい意味での緊張感に包まれ受講者が自分なりに問いにこたえるために研修を通じて何を得たいのか︖のマインドセットができたようです。

尽きぬ話と深い共感~相互学習の土壌づくり

・グループ内自己紹介では、異なるバックグランドを持つ管理者への尽きぬ興味から質疑応答が活発に行われました。
・一方、業界・会社が違えど管理者として直面する共通の悩み・課題への深い共感から仲間意識が醸成されグループワークによる相互学習の土壌が形成されました。

真剣勝負で受講者に向き合う~直面課題の糸口探求

・グループ内自己紹介の中で課長として直面する切実な課題をホワイトボードに書き出してもらいました。
・年上の部下、産休明けの部下のマネジメント、業務の標準化でいかに残業を減らし職場の生産性を高めるか、など働き方改革・ダイバーシティといった今日的な課題が浮き彫りになりました。
・そうした課題を講師は真正面から受け止め、その場で講師が持つ知見と問題提起を行い、クラス全体で課題解決の糸口を探索していきました。

第2章 職場構想

環境適応企業の成功要因を炙り出し、職場構想を描くヒントを得る

・職場構想を描く呼び水として、具体的な組織名を挙げながら環境変化に適応できた組織、適応できなかった組織の違いをグループワークを通じてクラス全体で吟味していきました。
・ここで炙り出された環境適応企業の成功3要因を念頭にご自身の職場構想を描くヒントにしていただきました。

職場構想とは

3年先を目安とする環境変化等による職場への影響を認識し、どのような課題を形成し、活動し続けるかということを関係者に提示するもの

ビジネスはストーリーである︕~管理構想のプレゼン・共有

・プレイヤーであれば自分の業務を扱うのみでしたが、管理者として職場構想を描くことに戸惑う方もいらっしゃいました。
・しかし、職場構想のステップ・観点を掲載した参考資料と講師の丁寧な解説を手がかりに職場構想シートにある環境変化、自職場の使命まで記述いただきました。
・講師から周囲の納得・共感を引き出すために管理職に必要となるストーリーで物語る力のワンポイント講義がありました。
・その後、トリオワークで作成した職場構想シートのプレゼン・質疑応答が活発に行われました。

【2日目】

第2章 職場構想

管理者は背中ではなく言葉で人を動かす︕
個別指導で言葉への感度と文章力を磨き上げる
・環境変化(予測)→上位目標・方針→自職場の使命(ミッション)の問い直しの後、職場の取り組み課題を「外攻め」と「内固め」の2つに分けて検討いただきました。
「外攻め」課題・・・環境変化に適応し、ミッションを実現するための課題
「内固め」課題・・・「外攻め」課題の実現にむけて職場を活性化するための課題
(課題は3年程度先をにらんだものを考える)
・受講者が職場課題をワークシートに記述するにあたり、上司、他部門、メンバー、取引先、お客様といった関係者にミッション・課題を納得させ動かすための最大の武器は言葉への感度と文章記述力であると講師から受講者にメッセージがありました。
・その後、受講者に課題1つをホワイトボードに書き出していただき、課題づくりの4要件の観点から講師による個別指導がありました。
・指摘を受ける本人はもとより、他の方も間接学習が促進され管理者としての言葉への感度が高まりました。
黒が受講者の記述、赤が講師の指摘部分です。課題記述が4要件を満たしているか、具体的な記述になっているか、ロジックがあるかを1人ひとりに時間をかけて質問、指摘を行いました。

第4章 課長に必要なリーダーシップのあり方

板ばさみ状態を打破し、変革推進のリーダーシップのあり方を探求する

・管理構想を描き、課題を整理し、職場目標をメンバーに落とし込むことができても、実際に行動する段階で、多くの管理者は上下左右から板ばさみの状態に陥り、おもうように物事が進まないことがあります。
・このような板ばさみ状態を打破し、成果実現に向けて人や組織に影響力を発揮するため、課長としてのリーダーシップのあり方を生々しいケースワークを通じて探求してもらいました。

【3日目】

第5章 課長に必要なタイムマネジメント

職場の生産性を決めるのは、仕事の優先順位づけ・会議運営の巧みさにあり︕

・タイムマネジメントを考える始点として日常的に行っている業務を網羅的に洗い出し整理した仕事マップを作成いただきました。
・そのうえで、業務を管理職としての「本来業務」と「非本来業務」に区分してもらいました。
・「本来業務」とは、職場使命に密接に関連する業務、あるいは職場の明日の飯をつくる難易度の高い業務です。
・その上で、自分が管理者としてやるべき仕事の全体像をトリオで紹介・意見交換していただきました。
・「本来業務」に注力する時間捻出のために、「非本来業務」をECRSという方法論で見直していただきました。
・加えて、管理職になればプレイヤーと比し、会議時間が大幅に増えます。
・管理者として会議運営の巧拙が職場の生産性の鍵を握るといっても過言ではありません。
・会議運営チェックリストでご自身の会議運営の弱点を可視化いただき、グループで共有後、会議運営の課題を発表いただきました。
・特に会議の準備、設計面については管理者として最低限の知識を学ぶ必要性を痛感された方が多かったようでした。

第6章 チームづくり

管理職としてチームづくりの勘所を演習を通じて押さえる︕

・管理者に求められるチームづくりの要諦を理論で学んだ後は、ケースワークを通じて管理職としてのチームづくりの着眼点と具体的な施策を検討し学びを深めました。
・チームづくりの基本単位となるメンバー個々をいかに把握するのか︖その上でモチベーションを高めつつチームへの貢献をいかに引き出すかの具体的なイメージをもっていただきました。

第7章 職場メンバーの育成

部下に仕事への主体性と責任感を持たせる管理者の必須スキルを学ぶ︕

・職場を取り巻く環境変化に対応するためにはメンバーが主体的に仕事をするよう管理者の働きかけが必須です。
・このセッションでは、管理者必須のスキルである「コーチング」の考え方と具体的な3つのスキルを学習してもらいました。
・その上で、学んだスキルをフル活用し、実際に部下に仕事を依頼する状況の総合ロールプレイングを行い、相互フィードバックを通じて多くの気づきを得ていただきました。
ここまでが受講レポートとなりますが、受講者のみなさまには3日間にわたり熱心かつ意欲的に研修をご受講いただきました。
最後に、最終日に配布されたCSシート(受講後アンケート)の記述から受講者の皆様の声を抜粋でご紹介させていただくとともに、研修後、職場で具体的なアクションにつなげていただくために講師からの後押しさせていただくための研修報告書サービスをご紹介させていただきます。

参加者の声(CSシートから抜粋)

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