【SANNOエグゼクティブマガジン】全ての組織人は10年のプロフェッショナル・ビジョンを描こう!~最近の傾向・ご支援から見えること

自己選択感の低い組織人はモチベーションが低い

人生も仕事も、自分では何も選択できないと思っている人が多いのです。モチベーションとは “自己選択の原則” です。人生は自分で選択できないと思えば、あとは運命に身を任せ、人の要求に対応するだけの人生になります。

社員の方に「自分で仕事をどの程度選択できるか」と聞くと、「ほとんどできない」と答える人が少なくありません。仕事だけでなく、人生そのものに選択の余地はないと考えているのかもしれません。

確かに、短期的に見ると、我々は選択できないことが多いでしょう。手帳は数ヶ月先の予定で一杯です。しかし、10年といった長期的な視点で考えれば、キャリアも人生もかなりの割合で自己選択できます。

今日では、10年の期間を費やせば、習得できない技術は存在しないといわれています。21世紀は、17世紀の人が一生かけて得た情報を1日で得られる時代なのです。

しかし、自身の10年のビジョンを描く人などほとんどいません。現代は、人も組織も、極めて短期思考なのです。目先の短期的な苦痛を避けるためだけに行動するパターンなのです。人生でもビジネスでも問題の多くは、短期思考がもたらしているのです。

自身のライフビジョンを描かないリーダーは、組織の長期ビジョンも描けない

今日の管理職の問題は、長期ビジョンを描かないということです。ビジョンを描く能力のない人はいません。その力を実感していないだけなのです。

管理職研修で自身の人生の長期ビジョンを尋ねると、まず出てきません。自身の長期ビジョンを持っていないリーダーが、組織の長期ビジョンを描くことはありません。人は自分にできないことを、周囲の世界に行うことはできないのです。

だから私は、管理職の研修で、いつもリーダー自身の人生の長期ビジョンを描いてもらいます。自身の長期ビジョンが描けたときにはじめて、部下やチームの長期ビジョンを描くことを忘れてきたことに気づくのです。

プロフェッショナル・ビジョンが人と組織を変える

私のクライアント企業でも、社員全員に10年のプロフェッショナル・ビジョンを描かせる企業が増えています。プロフェッショナル・ビジョンとは、「課長になる」といった、組織が押しつけるキャリアビジョンではありません。一流のプロを目指すといった、人生を変えるようなビジョンです。一人ひとりがプロになるという目標があれば、部下育成の研修なんか必要ありません。自分で勝手に本を読み、自費でセミナーに行くのです。

プロフェッショナル・ビジョンを描けば、「10年後には独立したい」という人も出てくるでしょう。それでも、10年間、今の組織で全力を尽くしてくれれば、御の字です。困り者は、明確なビジョンもなく、定年までたいした仕事もせず、ミスだけはしないで生き延びようとする社員です。しかし、彼らは決して怠け者なのではありません。ワクワクするようなビジョンが描けていないだけです。ワクワクするビジョンを描くことができた瞬間に、彼らの目の色と行動は180度変わってしまうのです。

プロフェッショナル・ビジョンを描くためには “技術” が必要だ

実現したいことは何かと尋ねられると、ほとんど人は実現しては困ること、避けたいことを答えます。「リストラされたくない・・」「今のプロジェクトで失敗したくない・・」「病気になりたくない・・」だからワクワクしないのです︕でも仕方ないのです。ワクワクする技術を知らないのですから。

人がワクワクするためには、ちょっとした技術が必要なのです。上司が部下に仕事で何を実現したいかと聞くと、部下は目標を達成したいというでしょう。正確にいうと、目標未達成は欲しくないといっているのです。

「目標を全部達成したら何をやりたいか」と尋ねたらどうでしょうか?「こんな商品を作ってみたい」といった、欲しいものがどんどん出てくるのです。

ワクワクするビジョンを描くためのトレーニングを、今すぐ始めましょう。それが、社員を幸せにするために不可欠なのです。