【事例紹介】東リ株式会社における "⾃⼰成⻑⼿段"としての通信教育の活⽤
はじめに
“すべての学びの起点となるのは職場である”という考えのもと、2007年度より全社的な教育研修体系の改⾰を図ってきた東リ株式会社。
今回は、当社における教育研修体系の確⽴や当社の重要視する「⾃⼰成⻑サイクル」推進における通信教育の活⽤について、東リ株式会社総務⼈事部⼈材開発グループの笹原英⼤様にお話を伺いました。
今回は、当社における教育研修体系の確⽴や当社の重要視する「⾃⼰成⻑サイクル」推進における通信教育の活⽤について、東リ株式会社総務⼈事部⼈材開発グループの笹原英⼤様にお話を伺いました。
※本編は2010年11⽉26⽇の学校法⼈産業能率⼤学主催「企業事例を通じて学ぶ-通信研修を活⽤した学ぶ組織づくり」にて講演いただいた内容を編集したものです。
東リにおける⼈材育成理念・ビジョン、教育研修体系
「これからの会社の経営指標を達成していくためには、何よりも⼈材育成に注⼒する必要がある。とにかく⼈材戦略を特化してやっていく」という経営トップの強い思いにより、2007年4⽉に総務⼈事部⼈材開発グループが発⾜。
そして、「会社が⼈材育成に⼒を⼊れていくんだ」という思いを形にするものとして、翌年12⽉に東リ研修センターが完成しました。
組織と建物が整うと、「当社は何を目指して社員の教育研修を⾏うべきか」という考え⽅の軸となるものが必要であると強く思い、およそ半年にわたる議論により⼈材育成理念、ビジョンを作り上げました。
これは、われわれ育成側にとってもそうですし、また教育研修を受ける側にとっても「こういうことを目標にしながら東リは社員の教育研修を⾏っているんだ」ということが、はっきりとわかるような形にしようということで、⽐較的シンプルな体系図に表しています。
そして、「会社が⼈材育成に⼒を⼊れていくんだ」という思いを形にするものとして、翌年12⽉に東リ研修センターが完成しました。
組織と建物が整うと、「当社は何を目指して社員の教育研修を⾏うべきか」という考え⽅の軸となるものが必要であると強く思い、およそ半年にわたる議論により⼈材育成理念、ビジョンを作り上げました。
これは、われわれ育成側にとってもそうですし、また教育研修を受ける側にとっても「こういうことを目標にしながら東リは社員の教育研修を⾏っているんだ」ということが、はっきりとわかるような形にしようということで、⽐較的シンプルな体系図に表しています。
今回のテーマの⼀つである「教育研修体系を確⽴する」という⽅針については、“すべての学びの起点となるのは職場である”という考えのもと、東京⼤学准教授・中原 淳⽒の「経験学習モデル」や「ワークプレイスラーニング」という考え⽅を参考に、新しい教育研修体系を作りました。
その中では、⾜りないスキルや考え⽅を集合研修や通信教育などで補完し、実務に活かしていくという⾃⼰成⻑サイクルを回すことが⼀番のポイントと位置づけています。
そして、職場の学びを中⼼とした教育研修体系を考えていく中で、通信教育というものが特に効果的な学習ツールなのではないかと当社では考えています。
その中では、⾜りないスキルや考え⽅を集合研修や通信教育などで補完し、実務に活かしていくという⾃⼰成⻑サイクルを回すことが⼀番のポイントと位置づけています。
そして、職場の学びを中⼼とした教育研修体系を考えていく中で、通信教育というものが特に効果的な学習ツールなのではないかと当社では考えています。
通信教育の浸透を目指した2008年からの取り組み
ポイントは「知ってもらう」「興味を持ってもらう」「申し込んでもらう」の3つです。
まずは通信教育について、すべての社員に知ってもらうこと。知ってもらったら次に内容に興味を持ってもらい、最終的に申込につなげる。申込までのプロセスを3つに分けた上で、段階ごとにさまざまな取り組みを仕掛けてきました。
プロセス1「知ってもらう」
募集冊⼦の⾒直し
また、表紙の⾊とデザインにもこだわりました。例えば、2009年版では、研修に対する⼼構えを記した研修センターの記念碑をキービジュアルに⽤いることで、会社が教育研修に本気で取り組んで いるのだという思いを発信しています。
また、中期経営計画の社内ポスターと同じグリーンを使い“改⾰”への統⼀感を表現しました。2010年版では、会社創⽴90周年を過ぎた今、次の⼤きな節目となる100周年に向けて頑張っていこうというメッセージを掲載。表紙はコーポレートカラーである東リブルーを基調としました。
社内メールの活⽤
対象者へダイレクトにメッセージを送ることができる効果的なツールとして社内メールを活⽤しています。2010年度は左図のようなテーマ・内容で6回のメールをタイミングよく順次送信。注意喚起から動機形成、申込⾏動、アフターフォローを⾏っています。
プロセス2「興味を持ってもらう」
知ってもらった次は、とにかく冊⼦を開けてもらうこと、そして通信教育に興味を持ってもらうことが⼤切になってきます。
⾒た目の充実とともに、テーマやメインのターゲットを想定しながら、明確な特徴を打ち出すことで、「今年の冊⼦ってどんなものなのか」という期待感を持たせるよう努めています。
例えば、2009年は短期間低料⾦をテーマとした資格取得コースを充実させ、努⼒の成果がカタチとして残る喜びを伝えました。また2010年には、リピート層の増加を目指して資格・語学コースを中⼼とした新講座の充実を図っています。
さらに、会社の思いや私⾃⾝の担当者としての思い、また⼈材開発グループとしての思いなども、特集や開講挨拶、編集後記などに盛り込むよう⼼がけています。
⾒た目の充実とともに、テーマやメインのターゲットを想定しながら、明確な特徴を打ち出すことで、「今年の冊⼦ってどんなものなのか」という期待感を持たせるよう努めています。
例えば、2009年は短期間低料⾦をテーマとした資格取得コースを充実させ、努⼒の成果がカタチとして残る喜びを伝えました。また2010年には、リピート層の増加を目指して資格・語学コースを中⼼とした新講座の充実を図っています。
さらに、会社の思いや私⾃⾝の担当者としての思い、また⼈材開発グループとしての思いなども、特集や開講挨拶、編集後記などに盛り込むよう⼼がけています。
プロセス3「申し込んでもらう」
所属⻑への働きかけ
⼈事部からのメッセージ
例えば、時間管理術サイトのアドレスをメールに添付したり、「通勤時間を有効に使ってみては?」といったチラシを制作しメール配信しました。
また2010年には、「こんなスキルを伸ばしてほしい」というメッセージを込めて、英語・中国語・韓国語講座の受講希望者に対し、先着30名受講料無料キャンペーンを実施しました。これは本来の学びの趣旨からずれるのかもしれませんが、そんな盛り上げるような応援策も実施しています。
最後に最も⼿軽で効果の⾼い取り組みとして紹介したいのが、申込状況速報の配信です。
要は⽇本⼈の⼼に響く「みんなやってますよ」というひと⾔です。周囲の状況を知って、「⾃分もやってみようかな」とやる気になるようです。
2010年度受講率41.6%、修了率は例年80%以上
さまざまな取り組みの結果、受講者数は年々増加傾向で推移してきましたが、2010年度は受講料補助額をこれまでの8割から7割に変更した影響もあり、受講者数は若⼲ですが減少しました。
とはいえ、全社員の4割以上が取り組んでおり、役員からも数名の受講申込があります。
⼀⽅、修了率は例年80%程度で推移しています。
そして、受講者の全体数が増加するとともに、その内訳においても、お⼿軽な「OA関連講座」から「資格関連講座」や「語学講座」へ受講者がシフトしてきています。ちなみに応援策を実施した語学講座は、2009年の20名から⼀気に50名まで増えています。
とはいえ、全社員の4割以上が取り組んでおり、役員からも数名の受講申込があります。
⼀⽅、修了率は例年80%程度で推移しています。
そして、受講者の全体数が増加するとともに、その内訳においても、お⼿軽な「OA関連講座」から「資格関連講座」や「語学講座」へ受講者がシフトしてきています。ちなみに応援策を実施した語学講座は、2009年の20名から⼀気に50名まで増えています。
また、申込書の下半分に簡単に書けるアンケート項目を掲載しています。その中でも、⾃由記述部分にはプラスの意⾒・マイナスの意⾒含めて、さまざまな意⾒があり、社員の⽣の声を聞くよい機会となっています。
2010年でいえば、「開講⽉を選びたい」「開講を年2回にしてほしい」というリクエストや、「どの講座にしようか迷うほど、魅⼒度がアップした」などの温かい感想など、通信教育受講に積極的な意⾒が多く寄せられています。これらの意見は、今後の展開を決める上で参考にしています。
2010年でいえば、「開講⽉を選びたい」「開講を年2回にしてほしい」というリクエストや、「どの講座にしようか迷うほど、魅⼒度がアップした」などの温かい感想など、通信教育受講に積極的な意⾒が多く寄せられています。これらの意見は、今後の展開を決める上で参考にしています。
通信教育における課題と今後の取り組み
メッセージの発信⽅法
専⽤パソコンを持たない社員に、どうやってメッセージを伝えていくかが⼀つの課題となっています。この問題に対しては現在社内ポスターやチラシを効果的に使った施策を検討しています。
“学び”と、会社の“制度”との連動
リピート受講者への応援施策
(2010年11⽉26⽇公開、所属・肩書きは公開当時)