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データで読み解く“働き方改革”【第2回 長時間労働発生のメカニズムとは】

はじめに

 第1回は、働き方と経営成果の関係について確認しました。調査結果から、働き方改革を進めるにあたり、戦い方そのものを見直して働く時間の長さと売上との連動を一旦断ち切ること、働き方の「量」だけではなく「質」的な側面にも着目し、「働きがい」も同時に追求する必要があることがわかりました。
 第2回は、長時間労働の背景にある事業特性や組織の状況について確認し、長時間労働発生のメカニズムについて考えてみたいと思います。

「仕事観」や「仕事上の時間的・物理的な制約」が、長時間労働を生み出す可能性がある

 回答企業から、実労働時間と有給休暇の取得率を用いて良好群・非良好群を抽出し、両者の事業特性や組織の違いを確認しました。非良好群が良好群を上回った要素のうち、差の大きかった上位5つをまとめたものが表1です。最も差が大きかったのは、40.3ポイント差の「就業時間内に仕事を終らせる意識が低い人が多い」でした。また、「長時間働くのは良いことだという価値観を持っている人が多い(25.6ポイント差)」、「頼まれた仕事を断れない人が多い(25.3ポイント差)」も差が大きいことから、社員一人ひとりの仕事との向き合い方や仕事に対する意識が、働く時間の長さや有給取得率の低さに影響を及ぼしている可能性があることがわかります。また、「休暇の日でも対応しなければならない仕事がある(27.8ポイント差)」、「所定の勤務場所に行かなければできない仕事である(24.7ポイント差)」のように、仕事上の時間的・物理的な制約もまた、長時間労働を生み出す可能性があることがうかがえます。

【表1 働き方良好群<非良好群であった要素】

【表1 働き方良好群<非良好群であった要素】

基本的なマネジメント活動の実践状況が、長時間労働を抑制する可能性がある

 一方、良好群が非良好群を上回った要素のうち、差の大きかった上位5つを整理したものが、表2です。最も差が大きかったのは、「メンバーの能力に応じた仕事の割り振りが行われている」で、その差は26.7ポイントです。次いで、「管理職が自職場の仕事の範囲(業務分掌)を見直している(24.1ポイント差)」、「管理職が自職場の仕事の効率化を行っている(16.7ポイント差)」「管理職とメンバーのコミュニケーションは密接に取れている(14.7ポイント差)」と続きます。これらの結果から、管理職が基本的なマネジメント活動を実践できていると、長時間労働が抑制される可能性がある、ということが読み取れます。

【表2 働き方良好群>非良好群であった要素】

【表2 働き方良好群>非良好群であった要素】

事業プロセスは基本的なマネジメント活動と関係があり、ひいては働き方に影響をもたらす可能性がある

 さらに、上述した働き方に影響を及ぼしていた「メンバーの能力に応じた仕事の割り振りが行なわれている」「管理職が自職場の仕事の範囲(業務分掌)を見直している」「管理職が自職場の仕事の効率化を行っている」「管理職とメンバーのコミュニケーションは密接に取れている」に相関のあった要素をまとめたものが、表3です。表からは、「取引先や下請け会社との調整が煩雑で必要以上に時間がかかる」ほど、「管理職とメンバーのコミュニケーションは密接に取れている」傾向がないことが読み取れます。また、「製品・サービスの質を維持するために必要な人的リソースが不足している」ほど、「メンバーの能力に応じた仕事の割り振りが行われている」「仕事の範囲(業務分掌)の見直している」「管理職が自職場の仕事の範囲(業務分掌)を見直している」「管理職とメンバーのコミュニケーションは密接に取れている」傾向がないこともわかります。さらに、「中核業務とそれ以外の業務の切り分けができていない」ほど、「管理職が自職場の仕事の効率化を行っている」「管理職とメンバーのコミュニケーションは密接に取れている」傾向がないことも明らかになりました。コア/ノンコア業務の明確な区分、煩雑業務の効率化、人的リソース不足の解消等の事業プロセスの状況は基本的なマネジメント活動の機能状況と関係があり、ひいては働き方に影響をもたらす可能性があることを示唆する結果です。

【表3 基本的なマネジメント活動に影響を与える要素】

働き方改革に取り組むにあたり、事業特性や組織の状況の確認は必須

 今回の調査の結果からは、働き方に影響を及ぼす要因は複数あり、かつ複雑に絡み合っていることが明らかになりました。翻って現実に目を向けてみますと、着手されているのは残業の削減、有給休暇取得・在宅勤務の促進といった表面的な取り組みが中心で、それ以外にはあまり着手されていないという企業も少なくありません。
 働き方改革に取り組むにあたり、事業特性や組織の状況といった、長時間労働の背景にある要因も含めて確認することが必要であると考えます。

 次回は、これまでの議論を整理し、働き方改革を成功させるための鍵について議論したいと思います。

(学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 組織測定研究センター
プロジェクト・リーダー 田島 尚子)

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連載 テーマ 公開日
データで読み解く“働き方改革” 連載TOP 2018年1月22日
第1回 働き方と経営成果の関係 2018年1月22日
第2回 長時間労働発生のメカニズムとは 2018年3月6日
第3回
(最終回)
働き方改革を成功させるための鍵 2018年3月27日
テーマは若干変更することがあります。予めご了承ください。
著者の所属・肩書きは掲載当時のものです。

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