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53.品質機能展開【QFD: Quality Function Deployment】 - 5.構造化の手法

53.品質機能展開 【QFD: Quality Function Deployment】

1.目的

QFDは、新製品の開発において、顧客ニーズと設計特性とをリンクさせることにより、課題や問題点を明らかにし、主に開発設計段階で確実な品質を作りこむことを目的とした設計のアプローチです。QFDは製品企画で構築された製品コンセプトにおいて表現されている顧客ニーズを、設計上の品質特性へと展開します。さらに製造工程まで展開することで、設計意図を上流から下流へ確実に伝え、品質を向上させることを狙います。

2.考え方

QFDは設計で定められる製品の設計特性値が顧客ニーズに的確にリンクできていれば、顧客ニーズを満たす設計品質を維持できるという考えのもと、品質表の作成を通じて、設計上の課題や問題点を明らかにします。品質表は主に顧客ニーズを構造化した要求品質展開と、設計の特性を構造化した品質特性展開の2つで構成される表で、両者の関係性を明らかにします。

1 )品質表
企画段階で構築された製品コンセプトは、一般的には言葉で表現されています。言葉で表現された顧客ニーズ(要求品質)を製品の設計で実現するには、言葉を具体化していく必要があります。そのために、要求品質を階層状に構造化したものを要求品質展開表といいます。例えば図表6のようなデジタルカメラの場合、カメラの基本機能である写真の撮影において、美しい写真を撮りたいというニーズを、「映像の美しさ」や、「適切な撮影モード」、「手振れの補正」などのように言葉で具体化し構造化します。

また、製品の設計は、4章の事例で用いたデジタルカメラの場合、「画素数」「ズーム倍率」「製品寸法」などの具体的な設計の特性値を決めることであるといえます。この特性を具体化するために階層状に構造化したものを、品質特性展開表といいます。

品質表は、要求品質展開表で具体化した顧客ニーズと、品質特性展開表で具体化した設計特性の関係をマトリクス状で明らかにしようとするものです。例えば、図表6のように、デジタルカメラの写真の美しさを規定する品質特性には、画素数、撮像素子、レンズのF値の値があります。このように関連の深い要求品質と品質特性を関連付けしておくことにより、製品企画担当者と設計担当者のお互いの意図を確認しあうことができ、検討を行う中でアイデア出しや合意形成を行うための、議論の土台として役立てることができます。

品質表の例

2)要求品質展開表
一般的に製品コンセプトは、製品を通じて実現される顧客にとっての効用(ユーティリティー)や、新しい生活スタイルの提案等を表すものであるため、そこに表現されている言葉は、抽象度が高くなります。要求品質展開表は、このような抽象度の高い製品コンセプトの言葉を、顧客ニーズとしてとらえ、製品として具体化するために階層構造で展開していくものです。要求品質展開表はその作成プロセスにおいて、顧客要求を実現するアイデアを強制的に抽出し、具体化していくねらいがあります。

3)品質特性展開表
製品の設計は、定量的な設計特性値を決めることであるため、顧客要求は、測定可能な単位のある言葉に置き換える必要があります。品質特性展開表は要求品質展開表で具体化された要求品質を、計測可能な単位を持つ品質特性に具体化し展開していくためのものです。品質特性展開表はその作成プロセスにおいて、要求品質を実現する方式や手段のアイデアを強制的に抽出し、具体化していくねらいがあります。

4)品質機能展開表
品質機能展開表には様々なものが存在します。製品の品質特性が定まっても、機能と品質特性の関連が明確になっていないと製品の構造を決めることができません。図表7のようにこの品質特性と機能を関連付けたものが品質機能展開表の一例です。品質機能展開は要求品質や製品の構造から作成した機能系統図の機能と品質特性を関連付けていきます。例えば図表7のように、デジタルカメラの基本機能は「撮像を形成する」であり、その手段として「撮像を記録する」機能等があり、さらには「光を集める」機能等があります。このような機能系統図の各機能と品質特性とを関連付けます。これは機能系統図の作成における、機能の制約条件(機能の達成レベル)を設定するのと同じで、VEへの展開を図る事が可能です。

品質機能展開表の例

3.実施手順

1)要求品質展開表の作成
 ステップ[1] 要求品質の抽出
 製品企画で作成された製品企画書(企画構想書)から顧客ニーズを表す言葉を抽出します。ここでは言葉の抽象レベルを統一するために、抽出した言葉を一度抽象化します。言葉を抽象化する方法には、親和図法(※1)を用いる方法があります。親和図法とは、テーマの要素をラベルに記載し、関連する項目をグルーピングして、グループの見出しをつけるプロセスで抽象化を図る方法です。

 ステップ[2] 要求品質の展開
 抽象化された要求品質を表す言葉を最上位に設定し、ステップ①で実施した抽象化の結果を参考にして、今度は逆にそれぞれ具体的な言葉に展開します。

 ステップ[3] 要求品質展開表の作成
 ステップ[2]の結果を展開表の形に整理します。要求品質展開表は品質表の一部になるため、図表6のように品質表の左端部に記載します。

 ※1)親和図法についてはこちらのページを参照下さい。

2)品質特性展開表の作成
 ステップ[4] 品質特性の抽出
 ステップ[3]で作成した要求品質展開表の最下位の項目から、それぞれ製品を設計するための、定量的に測定可能な品質特性を検討し、抽出します。

 ステップ[5] 品質特性の構造化
 ステップ[4]で抽出した品質特性が、要求品質を満たすかどうかの評価が可能なものか確認し、品質特性を階層構造で整理します。整理の方法はステップ[1]と同様に親和図法等を使う方法があります。

 ステップ[6] 品質特性展開表の作成
 ステップ[5]で構造化した品質特性を、ステップ[3]で部分的に作成した品質表の上端部に記載します。

3)品質表の作成
 ステップ[7] リンクの記載
 要求品質と品質要素をそれぞれ比較できるようにマトリクスを作成し、すべての要求品質と品質要素の組み合わせにおける関係性(リンク)を確認します。関係性があると認められる場合は○、強い関係性があると認められる場合は◎、関係性が想定される場合は△をセルの中に記入します。

4)品質機能展開表の作成
 ステップ[8] 要求品質から
         機能系統図への展開

 企画書に示されている要求仕様から機能を定義します。例えば図表8のように要求仕様が「電球の交換可能」とする場合、「電球の交換を容易にする」というように機能を定義します。その定義をもとに機能系統図を作成します。

要求仕様から機能を定義する例

 ステップ[9] 品質機能展開表の作成
 機能系統図の各機能を確認しながら、対応する品質特性値を明確にし関連付けた表を作成します。

以上の手順で品質表を作成することで、製品企画担当者と設計担当者とで、品質の高い設計のためのアイデアを出し、製品設計に役立てることができます。しかし、実際の製造の検討を行うと、製造設備の能力が不足するなどの理由で、設計特性が実現できない場合もあります。そのため、過去の製造工程に関する情報か ら、製造上重要だと考えられる品質特性を抽出しておき、品質表の作成時に加味しておくのが望ましい進め方です。


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