【SANNOエグゼクティブマガジン】目標による管理・人事評価制度を定着化させる運用ノウハウ抽出・共有化アプローチ 「日々評価のマネジメント」

前回、目標による管理・人事評価制度を定着化させるスキル習得アプローチのひとつとして、「目標明確化スキル」を紹介しました。今回は、運用ノウハウ抽出・共有化アプローチの一つ目として、「日々評価のマネジメント」を紹介いたします。

1. 評価は「日々」伝える

評価の納得性を上げるには年に1~2回の評価面接をきちんと進めることが大事だと誰もが考えますが、それ以上に重要なものがあります。毎日のコミュニケーションの中で評価を伝える「日々評価」です。某メーカーの所長はルール通り年2回面接し、評価面接で目標達成に向けて問題点を指摘し改善を求めました。しかし部下から思わぬ反発を受けたそうです。
 部下「所長は評価面接で初めてここが問題だから直せとおっしゃるが、なぜ普段から言ってくれないのですか。最後の最後になって指摘なさるなんて、単なる嫌味ですよ」。 

この一言に愕然とした所長は、日々のコミュニケーションの大切さを自覚し、この日を境に毎日会話することにしました。所長は多忙な中で時間を割き、担当者が戻ってくる夕方に事務所で待ちます。担当者が帰ってくると、「ご苦労さま」と声をかけ、一言「今日はどうだった︖」と添えます。注文が取れた部下には「君の努力が実ってよかった」と賞賛の言葉を返します。一方、無言でうつろな目をした部下には「何かあったのか、大丈夫か︖」と問い掛け、「クレームか。どういう状況だ︖ 話を聞こう」と真相を聞きます。
このようなコミュニケーションが取れるようになってから、部下の評価に対する納得性が高まったそうです。部下の働きぶりを把握し、その場で指導したり助言したりする。これが「日々評価」なのです。

2.日々評価のマネジメントの5つの機能

上述の通り、マネジメントの場・手段を上手に活用すれば評価の納得性を高めることができます。その「日々評価」のマネジメントには5つの機能があります。

①部下の目標の進捗状況、働きぶりを把握する
部下に報告をさせたり、観察等で目標の進捗状況、働きぶりを把握したりします。ここで大事なことは、目新しさはありませんが、しっかりと「メモ」をしておくことです。管理職は忙しく、どうしても具体的な事実を忘れがちだからです。

②部下の目標達成に向けて指導する
目標達成の遅れが判明すれば、助言や協働により、目標達成に向けて指導します。

③やってみないとわからない目標を明確にする
新規の取り組みや調査分析が必要な目標は、年度初めに明確に設定できません。このような場合は、期の途中で部下の取り組み状況をふまえ、目標を明確に設定できるよう指導します。

④報連相を行う
まさしく日々の報告・連絡・相談です。申すまでもありません。

⑤評価する
部下の取り組みの良い・まずい事実を把握し、改善点を指摘・指導する過程を踏まえて、部下の働きぶりを評価します。

3.日々評価のマネジメントを「マネジメント活動体系表」で見える化する

このような日常的な評価を実現するためにも、管理職は、一年間の主なマネジメント活動を意図的に進めることが必要です。それに役立つのが「年間のマネジメント活動の体系表」です。意図したマネジメント活動を「場・手段」「目的」「参画メンバー」「時期・時間・頻度」「進め方の工夫」に分けて具体化します。以下の図表は、総務課長の年間マネジメントのうち、朝会、月例課会、勉強会、中間評価面接、評価面接、部長報告を整理したものです。こちらを参考に、ぜひ活用してください。
総務課長を想定した年間の主なマネジメント活動体系表