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【SANNOエグゼクティブマガジン】打たれ強い部下を育てよう!レジリエンス コーチングのススメ

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

ご存知の通り、2015年12月より労働者50名以上の事業所では、常時使用する労働者について年に1度の「ストレスチェック」が義務化されました。なぜ、このようなことが制度化されたのでしょうか? 
この背景には、日本企業のメンタルヘルスに対するあまり良好とはいえない実態があります。ある調査機関は、日本企業の労働者の約6割が「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがある」という報告をしています。加えて、1998年以降、日本における毎年6~7,000人にものぼる労働者の自殺という深刻な実態もあります。

一部には、企業がストレスチェックまでやる必要があるのか…、という疑問の声もあるのですが、労働者のストレスの発生源が「仕事での大失敗」「お客様からのクレーム」「上司との人間関係」「新しい職場の雰囲気に馴染めない」等、仕事や職場に起因するものが少なくありません。したがって企業には、その実態を把握し、改善を進めていく責任があるとする考え方が主流なのです。

しかし、ストレスチェックをすれば責任を果たしたことにはなりません。ストレスチェックの実施は、それ自体にはストレス解消の機能があるわけではないのです。ストレスの程度についての情報を与えてくれることから、未然に緩和措置をとるためのアラームになりますが、それも1年に1度のこと…、決して万全ではありません。むしろストレスチェックによって明らかになったメンタル不調者に対する個別的で医療的な対応は、ことによるともぐら叩きのような不健全な状態を職場に引き起こしてしまう可能性さえあります。

そこで今回ご紹介するのは、職場での仕事を通じた関わりの中で部下を支えながら、打たれ強い、逞しい部下を育成する「レジリエンス コーチング」の考え方です。

レジリエンス コーチングとは

「レジリエンス:resilience」とは、ここ1、2年、産業界で盛んに使われるようになってきた言葉です。もともとは物理学の「外力による歪みという意味の”ストレス“」に対する「外力による歪みを跳ね返す力」という意味の言葉です。これをポジティブ心理学では、もう少し丁寧に「逆境、辛さ、困難、変化を乗り越えるために役立つ性格特性やスキル、あるいは関係性」という意味で使っています。
したがって、レジリエンス コーチングは、「逆境や変化を乗り越えるための『性格特性』『スキル』あるいは『関係性』を高めるためのコーチング」と表現できます。これまでのコーチングは主に仕事の仕方を対象としており、レジリエンスコーチングとの違いが良く分かるだろうと思います。

レジリエンス コーチングには、「ハイ クォリティ コネクション」を大切にする特徴があります。コネクションとは、心理学で「短時間での接触」を意味します。このコネクションには2種類あり、「高い質のコネクション(以下HQC)」と「低い質のコネクション(LQC)」に分けられます。一瞬の接触とはいえども、HQCを経験すると、人はまるでエネルギーを与えられたかのように元気づけられ、相手に対して信頼と敬意を持つ効果があるそうです。加えて、HQCが豊かな職場は、労働者の意欲が高く、再起力もあり、学習する組織にもなりやすいことが言われています。

コンサルティングやコーチングの研修で企業にお邪魔することの多い筆者にとっては、日本企業の職場における関係の希薄化は大きな課題であると常々感じており、HQCを重視するレジリエンス コーチングは、まさに現在の企業に求められているアプローチであると感じています。

レジリエンス コーチングの進め方

ではここで、レジリエンス コーチングの進め方の特徴について触れておきましょう。
レジリエンス コーチングには4つの特徴があります。
それは、(1)助け合う関わり(2)敬意を持った関わり(3)信頼に基づく関わり(4)遊び心のある関わり という“関わりの4つの原則”です。既に述べたHQCを大切にするためには、この関わりの4つの原則が重要となります。
ぜひ、読者の皆様には、自分にとって参考になるものを実践していただければと思います。

(1)助け合う関わり(5つの助力)

助け合う関わりを築くには、「部下の成功を手助けする」というアプローチが何よりも大切です。部下が手柄をあげるのを手伝うという心を強く持つことです。このときに、以下の5つをうまく駆使してください。

 ◇ 教える・・・うまくいくこととその理由を分かち合う
 ◇ 助ける・・・業務支援を提供する
 ◇ 育む・・・・お手本となる
 ◇ 支持する・・リソースの提供
 ◇ 世話する・・・過大な問題に対して調整する

なお、助け合う関わりは、特に相手が仕事での助けが必要なときに効果を発揮します。

(2)敬意を持った関わり(4つの敬意)

敬意を持った関わりを築くには、「部下が自己価値を感じられる関係性を形成する」という アプローチが大切です。そのためには、以下の4点に注目すると効果的です。

 ◇ プレゼンス・・・相手を安心させ敬意を払う、目配りをする
 ◇ アテンション・・・目の前の相手の存在に注意を払う、気配りをする
 ◇ 効果的なリスニング・・・積極的に共感性をもって相手の話を聴く
 ◇ 支援型コミュニケーション・・・「~してもらえないか」とリクエストする

(3)信頼に基づく関わり

なんと言っても人と人の関係の基本は相手を信頼することです。部下を信頼するということは、「部下が期待に応えることを信じていること、そして、頼りにしている」ことを伝えることが大切です。「自ら相手を信頼する」こと、そして「誠実に向き合う」ことがポイントです。

(4)遊び心のある関わり

仕事は遊びとは違います。しかし「遊び心」や「ゲーム感覚」を仕事に取り入れることは、部下を仕事に熱中させる効果をあげます。何より親密感や悩み事も吹き飛ばす心理的軽快感を生むポジティブ感情を持たせることができます。さらには、工夫の源である創造力を拡張する効果が期待できます。ゲーム的に集団で取り組むことは、マネジメント能力、チームワーク力、時間管理力、目標達成力を学習する機会ともなります。

レジリエンス コーチングの成果

レジリエンス コーチングの効果は、上司と部下の間に質の高いつながりが生まれ、部下個人には、仕事の満足感があがり、拡大的な思考、セルフイメージの強化といったレジリエンスの形成が進みます。レジリエンスの形成とは、具体的には以下のようなことを指します。

(1)健康的な考え方・受けとめ方を育む
  ・ストレスに効果的に対処し、心の健康を維持する能力
  ・挑戦や困難でも感情が揺らぐことのない感情制御力 

(2)発展的な態度を育てる
  ・不安な状況でも自己肯定感を保ち、ポジティブ感情を維持する力

(3)エンゲージメントを高める
  ・失敗や逆境の体験から意味を見いだす教訓力
  ・さまざまな人と関わりチームとしての達成感を得る力

また、個人のみならず、チーム・組織では、助力・相互協力の強化、変化への適応力、チーム学習力の向上につながることが期待できるのです。

仕事の進め方を伝えるコーチングも大切ですが、こんな厳しい時代だからこそ、仕事を通じて部下や職場のココロを育むコーチング、つまりレジリエンス コーチングに取り組んでみてはいかがですか?

【参考文献】

久世浩司著「リーダーのための「レジリエンス」入門(PHPビジネス新書)
イローナ・ボニウェル開発「ポジティブ心理学コーチング過程 ポジティブ組織論入門」プログラム
コーチング心理学協会2014「コーチング心理学ワークショップ」
ジェーン・ダットン著「Energize Your Workplace」(Jossey-Bass)

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