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「意味変革型」アプローチによる業務革新

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

1.業務革新活動の基本的な考え方

技術革新、系列の崩壊と業界の再編、競合間の競争と協調、雇用形態の多様化による労働市場の流動化、規制緩和やグローバリゼーションの進展など事業を取り巻く環境は、多くの要因が絡み合って変化し続けています。
このことから、イノベーション(革新)という言葉がどの組織にも当てはまる今日です。
このような非連続・不確実性の強まる経営環境下においては、経営者主体の今までの経験や見識に頼るだけでは対処が難しく、事業に関わる多くのメンバーの固有の能力や異質な価値観を上手く引き出し、組織内に分散する意思を結集した独自性のある企業行動の創造が必要とされています。

『業務革新』の定義は多々ありますが、ここでは「経営環境との関わりにおいて、ステークホルダー(利害関係者)との良好な関係の維持・改善・発展に向けて、組織のマネジメントに関する諸活動を刷新していくこと」というようにしてみます。

ここで取り上げて考えようとする組織とは、事業や経営機能を担う部門やプロジェクトチームになります。他組織との関わりにおいて、ある組織内の諸活動を刷新し、より良い状況へと導くための基本的な考え方は何かということが業務革新の基点となります。

先の『業務革新』の定義によるように、事業を取り巻く環境や組織全体としての進むべき方向性が変わればそれに応じて組織の構造や担うべき機能を変革しなくてはなりません。

2.業務改善から業務革新へのアプローチの変遷

では、まず、これまでの業務改善活動から業務革新へと推移するアプローチ方法の変遷を見ることにします。その変遷は下図のようになります。

「意味変革型」アプローチによる業務革新 図1

(1)【現状肯定型】「効率的ツールへの置き換え型」アプローチ

対象システムの業務処理方法およびその処理に必要な情報については現状を肯定し、その情報をつくりだすための情報(事務)システムをより効率的な手段で処理する方法を探ろうというものです。
給与計算システムなどが良い例です。給与計算業務は、給与規定が変わらない限り、どんな手段を探ろうとも変わらないし、かつ業務で必要な情報も変わることがないはずです。

したがってシステム化への取り組み方は、コンピュータなどのインフォメーションテクノロジー(IT)機器のようなより効率的な手段をどのように現状に適用するかを検討することになります。
このアプローチ方法は、初期のコンピュータ化を検討する時に、ほとんどの組織が採ったものです。現在でも多くのシステムは、このアプローチ方法で問題解決をすることが可能であると言えます。

(2)【現状批判型】「機能重視型」アプローチ

この方法は、既存の組織・業務の目的やその達成水準を変えることなく、手段としての業務遂行の効率化を図るものです。
組織の目的と達成水準に照らして、現状の仕事を目的と手段の関係で評価し、不要な仕事を減らし、効率的な仕事の仕組みを構築しようとするものです。
さらにこの結果をふまえて、現状肯定型のアプローチを取り入れ、コンピュータなどのIT機器の利用を検討することはいうまでもありません。

(3)【現状打破型】「意味変革型」アプローチ

この方法は、環境との関わりにおいて、既存の組織や業務の目的とその達成水準を問い直すことにより、手段としての業務遂行の刷新を図るものです。
対象業務の現状はとりあえず不問に付し、「組織目的や対象業務の目的を達成するために必要な仕事は何か」ということを理論的に導き出そうという方法です。

したがって設計されるものは、現状に拘束されない理論的な仮説になります。
理論的な仮説と現状とをすりあわせ、現状で活かせる部分は活かし、無駄な部分はこれをやめ、仮説を定着させる受け皿をつくることで、新たに必要となる業務を追加し定着化を図ることになります。

【現状打破型】「意味変革型」アプローチ

3.業務革新活動の基本的なスタンス

他の部門との関わりの中で、自部門内の諸活動を刷新し、より良い状況へと導くための基本的な考え方は何か。それは、【現状打破型】「意味変革型」アプローチを基本スタンスとします。

将来の事業状況に目をやり、自部門の意味そのものの妥当性を吟味します。
さらに推し進めて、顧客の立場に視座を移し、顧客が何を求めているか、どのような思惑をもって行動しようとしているかを探索することによって、組織の「意味をつくりだす」ことになります。言い換えれば、意図的に組織の「意味を変革」するのです。
再定義された「意味」を核にして、それを満たすように仕事のやり方を変える「機能変革」と対応する組織や仕組み・ルールの有様を変えていく「構造変革」を行うことになります。

例えば、運送事業における引越し業を考えてみます。
現状では、引越しという事業を「ある場所からある場所へと家財道具を運搬する」と定義して業務を遂行しているとすれば、改善の方向は単に運搬に必要な組織と諸活動の効率化を目指せばよいでしょう。
しかし、「新しい住居地ですぐに生活したい」という利用者側の視座に立てば、引越しという事業を「生活空間を移動する」というように意味づけ、再定義できます。

このように意味づけの再定義による「意味変革」を行えば、客である住人は直ちに生活できなくてはならないということから、単に家財道具を傷つけることなく運搬することから、「整理整頓、家具の配置、配置換えなどのアフターフォロー、生活必需品のネット販売、必要な手続きの代行サービス」等の生活支援サービス活動も新たな業務として設定することになります。
業務そのものの革新を図るとともに、それに合わせた組織や仕組み・ルールを設定することができるのです。

このように、意味づけが変われば、仕事としての諸活動も組織や仕組み・ルールといった構造も異なるものとなります。つまり、組織の新たなる意味づけを明らかにすることで、その枠組の中でメンバー自らが革新・改革の当事者として「何をなすべきか」を思考することができるようになるのです。

詳細は以下の書籍をご参照ください。

「確実に成果を生み出す 業務革新 理論と実践」
産業能率大学総合研究所 業務革新研究プロジェクト編著
産業能率大学出版部(2007)


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