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サッカー日本代表監督ハリルホジッチ氏にみるマネジメントコントロール

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

マネジメントコントロールとは

今回の原稿では「マネジメントコントロール」についてお伝えしたいと思います。
本稿では学術的な説明ではなく、身近なスポーツ、サッカーの事例によってマネジメントコントロールの意味を理解いただければ幸いです。

題して「サッカー日本代表監督ハリルホジッチ氏にみるマネジメントコントロール」。私の趣味の一つであるサッカーというスポーツと企業経営にはいくつもの類似点があると考えています。
その最たる例は人材を活かしチームの成果を高めるというチームマネジメントの場面です。

代表選手はそれぞれの所属クラブに籍を置いており、選ばれて日本代表に参加する形となるため、日本代表は一種のプロジェクトチームです。監督は1秒たりともプレーしない典型的な専任マネジャーです。監督によってチームの成績が良くなったとすれば、それはマネジメントの成果と言えます。
成果を上げるためにはチームというシステムを機能させる(個人の総和を超える効果を発揮させる)ためのマネジメントが必要です。この点を「マネジメントコントロール」の観点から考察したいと思います。

マネジメントコントロールはR.アンソニーが提唱した経営における概念を原点とし、極めて単純化して言えば「戦略実現のために効果的な業務遂行を引き出す仕掛け」と定義できます(アンソニーは、戦略的計画、マネジメントコントロール、オペレーショナルコントロール、の3つを明確に区別して論じました)〔※1〕。
さらに、マーチャント(Kenneth A. Merchant)はアンソニーの概念を発展させて、マネジメントコントロールを、結果のコントロール(Results Controls)、行動のコントロール(Action Controls)、環境のコントロール(Personnel and Cultural Controls)、の3つに分けて論じています〔※2〕。

3つのコントロールの特徴

「結果のコントロール」は文字通り結果をターゲットとします。サッカーでは試合結果が典型的な例です。勝利(勝ち点3)、引き分け(勝ち点1でもいいというケースも)、得点何点以上、失点ゼロ、などが挙げられます。
結果のコントロールが強い組織は、達成すべき結果を明示し、いかに達成するかはメンバーに任せる度合いが強くなります。企業経営においては業績が対象となり、売上、営業利益、予算などの例があります。
極端なケースは必達目標だけ示し、あとはすべて任せるスタイルです。メンバーがスーパープレーヤーばかりなら可能ですが現実的ではありません。他のコントロールも必要となってきます。

「行動のコントロール」は、成果を出すために具体的にどのような行動をとるべきかを明確にする点に特徴があります。
ハリルホジッチ監督は、“デュエル”(競り合いでの玉際の強さ)を高める、ボールキープ時間を短くする、安易にショートパスをつながない、縦に速く攻める、など具体的な指示をしました。
企業経営では、顧客訪問を増やす、顧客フォローを充実させる、○○スキルを磨く、などが具体的行動を示す例と言えます。
一つひとつは当たり前のことかもしれませんが、上位目的に貢献することとして明示し、行動に確信を与えることに意味があります。

「環境のコントロール」は、空気づくりや意識づけの側面であり、結果のコントロールと行動のコントロールを支える関係になります。
ハリルホジッチ監督は、「勝利の哲学」を強調し、スター選手でも特別扱いしないことを明言しました。
また、選手が所属するリーグでの試合を頻繁に視察し、常に観察していることを行動で示して選手を動機づけています。ハリルホジッチ監督のキャラクターを最初に印象づけたのはこの「環境のコントロール」の面でした。
ただし、今の日本代表には、強いメッセージで最初にインパクトを与えられたものの、それだけでは効果は長続きしていない印象もあります。

コントロールの的確な配合バランスを

3つのコントロールはひとつが強調されすぎると弊害を生じかねません。「結果のコントロール」過重視では、大半の判断をメンバーに委ねることになり、好ましくない行動が生まれるおそれがあります。
「行動のコントロール」過重視では、メンバーの行動範囲を狭め、応用力を弱めるおそれもあります。「環境のコントロール」だけでは、コンセプトだけが一人歩きして実際の行動が伴わず、成果が出ないことになるでしょう。
3つのコントロールを上手く組み合わせることが大切です。組み合わせには唯一の正解はなく、組織・チームによって的確な配合バランスが必要です(前述の定義もふまえてマネジメントコントロールの概念を図解すれば図1のようになります)。

図1 

現実にはコントロールの的確な配合バランスが馴染み、フィットするまでに時間はかかります。あまり短期的なスパンで評価するのは望ましくありません。
日本代表については中期的な視点で評価していきたいと思っています。

最後に、的確なマネジメントコントロールと同時に、成果の源泉である人材自体のレベルを高めることも肝要です。
監督だけでは日本代表は強くなりません。個々の選手のレベルアップも肝要です。企業経営における人材育成の重要性を再認識する次第です。

Anthony, R. N. (1965)
Planning and Control Systems: A Framework for Analysis.
Harvard University, Division of Research (高橋吉之助訳(1968)『経営管理システムの基礎』ダイヤモンド社).
Kenneth A. Merchant /Wim A. Van der Stede (2011)
Management Control Systems: Performance Measurement, Evaluation and Incentives (Financial Times (Prentice Hall)) *結果・行動・環境という訳は著者による

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