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不正は文化!?

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

不正の温床

何か不正や不祥事が起きたとき、人はあたかもそこに何か生き物が蔓延(はびこ)っているような言い方をします。

なぜでしょうか?

それは、不正や不祥事というものが、その組織の奥深くに根付き息づく何かのように感じているからだと思います。そう、得体の知れない生き物のように。

このように不正とか不祥事というものは、組織を構成している人に密接に結びつくものであり、組織を構成する人々の価値観・倫理観そのもの、企業文化そのものであるとも考えられます。それゆえ「不正は文化」であると言えるのです。

価値観・倫理観であり、企業文化でありますから、不正や不祥事の起こりやすい環境というものは、なかなか改善することができません。風呂場の黒いカビみたいと言ったらいいでしょうか。
表面をこすっただけでは落ちなくて、強力な洗剤を用いてもなお黒い跡が残るようなイメージです。

「不正は文化なり」
この言葉を聞いて、「なるほど、ならば我が社は大丈夫だ」と感じた人ほど、危険です。
自分の価値観や自社の文化が正しいと信じて疑っていないからです。

組織の人間として判断が鈍る

「不正は文化なり」

この言葉の意味をもう少し深く考えてみましょう。
実は世の中の不正や不祥事は、故意や悪意つまり「わざと」なされたものばかりではありません。

例えば不正会計を例にとってみましょう。自分が社長になったつもりで考えてみてください。

【自分への問いかけ】
自分はなぜ売上を大きく見せたいのだろう?
自分はなぜ利益を大きく見せたいのだろう?

・会社を成長させたい
・ライバルに負けたくない
・業績に応じて自分の報酬が決まる
・業績が良ければ業界での自社の発言権が強まる
・利益をあげないと銀行の融資が受けられなくなる など

売上や利益を大きく見せたい動機(インセンティブ)についてはいろいろ考えられますね。
(不正の発生要因「不正のトライアングル」については本誌Vol.8参照

自分が社長であれば、会社の仕組み(内部統制)を構築する責任者ですから、どうしても目標とする数字がある場合には、経理部に圧力をかけて自分の思い通りの数字を作れるかもしれません。

でも普通はそのようなことはしません。人としての「良心」があるからです。決算書は会社の活動を数字で表現するものであり、自分の思うように、また自分に都合のいいように作り変えることができるものではありません。

それでも時には「会計不正」が起こります。なぜなのでしょうか?

もちろん良心の呵責にフタをして、悪いことだと分かっていながら実行してしまうこともあるでしょう。
でもその一方で、会社を大切に思うあまり、会社を愛するあまりに道を踏み外してしまうこともあるのです。

特に後者の「会社のために」行なっている場合には、
「自分は会社のために正しいことをしている」
「会社のために一生懸命頑張っている」
と思い込み、自己に暗示をかけてしまった結果として、判断を誤ってしまうというケースが多々見受けられます。
会社のことを思うあまりに判断の眼鏡が曇ってしまっているのです。

このように考えてくると、不正とは、ほんのちょっとの「このくらいなら、まあいいか」という心の歪みが原因で起こっていることが多いということができます。

【判断が鈍る要因】
(1) 習慣・知識不足 「いつもどおり/知らず知らずに」
(2)不注意 「つい、うっかり」
(3)判断・解釈の誤り 「この程度なら/このくらいなら、まあいいか」

人と組織の両面からリスク感応度を磨く

では、どうしたらいいのでしょうか。

判断を誤らないようにするために、何か良い方法はないのでしょうか。

結論から言えば「リスク感応度を磨き続けることができるかどうか」が勝負の鍵を握ります。「リスク感応度」とは、様々な状況、事柄に直面した時、「ちょっと待って!これでいいの?」と立ち止まって考えることのできる度合いです。
この感応度を磨いていただくために、日々のコンサルティングや研修では、「人」と「組織(仕組み)」の両面からのはたらきかけを行っています。

あなたの組織では、「ちょっと待って!これでいいの?」と立ち止まって考えることのできる人はどれくらいいらっしゃいますか?

(参考)
Executive Magazine vol.8企業不祥事に負けない不正リスクマネジメント~不正の発生しにくい組織をつくる
・「企業不祥事に負けない! 不正リスクマネジメント」(産能大出版)
・「決算書でわかる 伸びる会社とあぶない会社の見分け方」(産能大出版)
Wisdom

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