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わが社の「あるべき姿」を無理やり考えてみる

SANNO Executive Magazine コラム【経営の視点】

徹底した差異化を実現できずとも、ステイクホルダーが満足できる成長は可能か?

「お客さまに選ばれるための差異化を実現すること」は、供給サイドにとって永遠の課題であると思っています。
一方で、“それほど尖っていない”製品やサービス、ビジネスモデルでも、“そこそこ”どころかその事業者の身の丈に合ってさえいれば、毎年、賃金アップが可能な利益を上げることができる・・・というのも事実ではないでしょうか。

ただ、そのことと「今のままでいいか」は別の話です。
多くのビジネスにおいて「特定の業界や市場、製品で生き残れるのはその中の1位と2位だけ」ということは “当面はない”という前提で、以下『自社のあるべき姿』をどのように設定するかについて、筆者が複数のお客さまとの間で採用してきているアプローチをご紹介したいと思います。

「今のままではダメかもしれない」と多くの人が感じている

世の中の好不況に関わらず、良い業績の企業もあれば、そうではない企業もあります。後者はもちろんですが、前者に相当する企業であっても、「現状維持で永続できる」とは考えていません。

そこで、いずれのタイプの企業であっても、将来は「こうあるべき!」と明示できればいいのでしょうが、「自社のあるべき姿」や「こうありたい」「これがやりたい」といった希望を描ける方たちばかりではないように思います。
この傾向は、選抜メンバーで構成された研修やプロジェクト(コンサルティング)であっても、また、トップを含めた経営層でも同様であると感じています(もちろん「強い意志」をおもちの方もいらっしゃいます!)。

人間でなくても「技術で実現できること」のリアリティが増している

2013年に英オックスフォード大学が調査研究結果として「コンピュータ/ロボット化によって影響を受ける仕事」として700種弱のランキングを発表しました。

また、「2040年までに一般道を走行する自動車の75%が自動運転車になる」との予想を米国電気電子学会(IEEE)が発表したのは2012年秋のこと。自動運転自体は、技術的な実現はもはや確実なレベルに達しつつあります。
これが実現すると“ドライバー”の仕事は確実に減る(変わる)ことになるでしょうし、自動車に関連する事業者への影響は小さいはずはありません。

各国、各産業に対する規制の状況(既得権との戦い)や必要な社会基盤/投資などにより、実際に実現する時期の予想を正確にすることは困難です。しかしながら「技術的にできてしまうこと」は、コンピュータとプロ棋士の対戦といったメディアが採り上げる範囲から、技術に関する知見がなくても、具体的にイメージしやすい状況になってきているように思います。

技術の進化が加速している中、みなさんの会社や仕事は、将来どのようになっているでしょうか? 今のまま“残っている”でしょうか?

THE FUTURE OF EMPLOYMENT : HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION? Carl Benedikt Fray and Michal A. Osborne (Sep 17, 2013)

「技術的に代替できてしまうこと」から“あるべき姿”を考えてみる

下図は、自社の事業(サービス・製品等)が提供している価値について、現状を分析し、技術で実現できてしまうことから将来のあるべき姿を思考するプロセスを表しています。
以下、(1)~(5)のステップで企業のあるべき姿を考えてみましょう。

(1)まず、自社を構成する機能として、図では「バリューチェーンや組織図」と例示していますが、「特定の事業活動(ビジネスモデル)」や「単体製品」を当てはめてることから始めても構いません。製品の場合は、その製品がもっている機能を実現できる他の技術や製品、サービスなどを書き出します。
また、「IT化」「業務改善」といった主旨で、「個別業務」から検討を始めることも可能です。なお、技術実用化時期やコスト面は精緻なレベルでなくて構いません。しかし、早期化や低コスト化する可能性があるため、継続的に状況を見ていく必要があります。

(2)特に『他社(競合)取組み/導入状況』については、情報収集を機能別に広く対象とすることに留意しましょう。
図中にも記述しましたが、たとえば「既存の競合企業」などの情報収集に偏ると、異業種や新しいビジネスモデルといった“将来飲み込まれてしまう可能性の存在”を見落としてしまうこともあるため注意が必要です。

2015年3月末、米国の主要メディアが「米Amazon.comが“Dash Button”と呼ぶ小型機器を使って、日用品