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高年齢層社員の活性化に必要なこと~定年に向けて「終活」への組織対応~社会動向から世の中を見る

SANNOエグゼクティブマガジン


「死」を意識するということ

東日本大震災では甚大な被害を受け、多くの方々が犠牲となった。

これまでに経験したことのない震災は津波や火災などの二次災害を引き起こし、多くの尊い命を奪った。直接的な被害に遭われた方、ご家族が被害に遭われた方の健康、安全そして、安定した生活が一日も早く取り戻せるようにお祈りをさせていただきたい。

人々はこの出来事を機に、自分の死は自分で選ぶことができないことを思い知らされた。自分の万が一のときのための「エンディングノート」や「終活」(就活、婚活の派生語)というブームも発生したのである。

死を意識することによって人生をどう生きるか、周囲の人々にどのように関わるかが重要な課題となる。

社会的死の概念

B・グレイザーとA・L・ストラウスによる「死のアウェアネス理論」[1]では、死について肉体的な死以外に様々な形態が存在するとしている。

① 心理的な死(Psychological death)
 施設や病院で生きる意欲がなくなり体は動くが心が停止している状態。

② 社会的な死(Social death)
 入院しても誰も見舞いに来ない。周囲からの認識が希薄になっている。孤独死になる前の状態。

③ 文化的な死(Cultural death)
 自分の意志ではなく、看護、医療による延命処置がされている状態。

④ 肉体的な死(Biological death)
 心肺停止、脳死。

①心理的な死、②社会的な死に関しては、客観的に見た場合、生を受けているように認識ができるが、当事者はすでに死の世界へ入っているということである。

50歳代キャリア教育のあり方

産業界では30代キャリア、40代キャリア教育が行われている。組織の期待と自分の実現目標を融合し、仕事を通してこれからの社会人としてのキャリアをどのように実現していくかという内容である。さらに、50代キャリア教育が注目されている。60歳定年までの自分のキャリアをどのように形成し、再雇用に向けてさらにどのようなスキルテクニックを身に着けるかという内容が一般的である。

しかし、これは30代、40代キャリア教育とは内容を異にするべきである。高年齢層社員の場合は、モチベーションが落ち、自分なりの殻を作り凝り固まり、定年が近づく年になるにつれ「上がり」と決め込んでカウントダウンをしている方も見受けられる。定年になれば肩書を外され、重要なプロジェクトからも降ろされ、再雇用後は年収も下がりフルパート社員同様の仕事をまかされることも多い。

その場合は、あくまでも年金支給までのつなぎの生活費を得るために会社に通うという意識が大きくなる。「死のアウェアネス理論」の「心理的な死」「社会的な死」に似た状態とも言える。

このような社員へのキャリア教育は形骸化したものとなってしまう。

組織人としての終焉を自覚させる

重要なのは「組織人としての終焉」が迫ってきているということを自覚させることである。キャリアよりも自分の「ビジネスパースンとしてのエンディングノート」を考えさせた上で、最後の自己成長を図らせることが必要となる。

この仕事を選び入社した時の気持ちと、今までやってきたことを思い出し、自分をここまで支えてくれた人達に感謝をして、定年までにあと一仕事して定年退職の舞台を花で飾ってみようという内発的動機づけを与えることが重要である。

今の会社をここまで大きくしてきたのは自分であるという自負を抱き、再雇用後も後輩に信頼され、尊敬される先輩となりたいと思う気持ちが内発的動機づけであり、その上で自己成長キャリアを考えるのである。

ビジネスパースンとしてエンディングを考えるとき、死は成仏ではなく自己成長の可能性を秘めている。黒澤明監督の「生きる」という映画は死を宣告された主人公が、遊興に走るがそこにむなしさを感じ、結局は役人として働いてきた人生に戻り、住民のために公園を作りブランコで息を引き取る。死を扱ったストーリーにもかかわらず、タイトルは「生きる」である。ジョンウェインは末期のがんに侵された時点で、ファンに同じ辛さを味わわせたくないという考えで「ジョンウェイン癌研究所」を設立した[2]。ここに自己成長の可能性がある。

終焉へ向けた自己成長

たとえば社会人の終焉まで3年となると目標記述書はあと3回しか書けないことになる。

前年度の目標をほぼコピペして記入していた目標記述書をじっくりと考え作りこむことになる。制服、作業着はあと3年しか着られないとなると身だしなみが整うようになる。厄介な後輩に対しての部下指導も、今回が 最後となるとじっくりと向かい合えるようになる。いつもの社員食堂に出入りできなくなると考えると、まずい、高いと愚痴をこぼしながら食べてきた食事を一食ずつ味わえるようになる。経営者も同様に、任期を過ぎれば経営層としての地位、命令権を失うことになる。その跡に残るものは経営における道筋の成果としての人徳である。

高年齢層社員に対しては、スキルテクニックの向上を目指すよりもマインドの向上を視野に入れることにより、組織・個人への大きな貢献となりうることを理解するべきである。


〔1〕 『死のアウェアネス理論と看護-終末期の認識と臨床期のケア』Glaser, Barney & Straus Anselm著, 木下康仁訳, 1965, Awareness of Dying, 医学書院,
〔2〕『John Wayne Cancer Institute』 http://newstjohns.org/John_Wayne_Cancer_Institute.aspx 2014年10月8日閲覧

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