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経営者のリーダーシップと女性活用~成長戦略の中核である女性活躍施策の有効活用のすすめ~社会動向から世の中を見る

SANNOエグゼクティブマガジン


私は、1990年代半ばから多くの企業の女性社員の活躍推進に携わってきました。1999年には「男女共同参画社会基本法」が制定され、その結果、企業のHR部門も、何らかのアクションを取らなければいけないという状況であったように思います。

しかし、当時を振り返りますと、女性活用ということを言ってはいるものの、事業計画や教育計画に盛り込まれておらず、女性社員対象に「何かをやらなければならないから 」という相談が多かったように記憶しています。ですから、その企画内容や取組みには、思想がありませんでした。とにかく、女性社員対象のプログラムであれば「何でも構わない」という企業が殆どであったように思います。ただ、一部の企業には、これを機会に、長期的ビジョンとして、「女性の育成と活用を考えていきたい」という企業もありました。これらの企業に共通するのは、“経営者のリーダーシップ”です。

それから既に15年以上経過していますが、女性活用がうまくいっているのは、残念ながらまだまだ一握りの企業にしかすぎません。女性活用がうまく進んでいる企業は、意識的に大きな仕事に携わる機会と昇進・昇格の機会を与えています。そして、女性にも差別なく管理者教育をし、女性でも活躍しやすい雇用環境を整備するなど、独自の制度を作り運用をしています。この差がどこから生じたかというと、私は、やはり“経営者のリーダーシップ” であると感じています。残念ながら、HR部門だけでは、人の活用を大きく変えるには力不足なのです。

さて、ご存知のとおり、アベノミクスの成長戦略では、人財の活用ということが重視されています。そして、「全員参加の成長戦略」「世界に勝てる若者」「女性が輝く日本」の3つを政策として打ち出し、「女性が輝く日本」の具体的な目標として、“202030”という数字が挙げられています。これは、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府の目標です。菅首相の民主党政権下で決定したものですが、アベノミクスにも踏襲されたのです。

しかし、わが国の管理的職業に占める女性の割合は、未だ10%程という現状です。あと6年で20%程引き上げていくためには、やはり「経営者のリーダーシップ」が不可欠と考えています。人財の活用という点において女性社員の活用というのは当然の視点ですし、目標を持って取組むことは、経営者にとっても当然の経営施策であると考えます。そこで、経営者の方々に、私なりに3つの提案をしたいと思います。

政策推進の波に乗り、その実を取ろう

今回の“202030”は、単に女性活用だけではなく、日本経済の成長を目指すうえでの人財課題に国として取組もうというものです。つまり、今後、国主導で、さまざまな施策が展開されることが予想されます。

身近な例では、既に経済産業省と東京証券取引所が共同で「なでしこ銘柄」というものを制定しました。これは、女性活躍推進に優れた上場企業を選定し、発表することで気運を盛り上げていこうというものです。これまでの政策推進における国の施策を参考にすると、女性活用が進んだ企業への優遇策などを講じることは、予想に難くありません。環境対策や震災対策などでは、金利優遇といった政策投資もありました。

つまり一つ目の提案は、“国・行政の政策を活用し、その実を取りながら推進していく”ということです。就労人口が減っていく中で、企業として人財を確保するための当然の方向に進むにあたり、政策に乗ることでプラスアルファの実が得られるのですから、経営者としてその機会を逃す手はありません。

女性社員を中心に、社員の育成制度を検討してみよう

その一方で、“202030”つまり、女性管理者比率30%に踊らされないことです。前に述べてきたこととやや矛盾しますが、経験の場もろくに与えないままに管理者にしてしまうと、そこには「やっぱり女性には無理だった」という結果しか残りません。

若手女性であれば、入社5年~6年以内に3回程度の異動を経験できるローテーション計画が必要だろうと思います。女性の場合、入社後7~8年程度で、出産のために長期間仕事を離れなければならない時期があります。そのため、入社後数年の仕事経験をいかに積ませるかが重要なのです。復職後の活躍を期待し、仕事経験を豊富にしておくことが不可欠なのです。また、この仕組みに男性社員を乗せることで、男性社員の育成の早期化というメリットも出てきます。

また、ある程度キャリアのある女性社員にも、今後ローテーションをさせることが必要ですが、それよりもまず、プロジェクト活動などを通じ、他部署の人と協働することでの人脈づくりと経験の場をつくることが必要です。そこでは、企画的、あるいは管理的役割をしっかりと与え、そのような仕事に慣れることと、リーダーシップや責任感といったことをこれまで以上に意識させることが大切です。ただし、今までこのような仕事をしてこなかった女性社員にとっては、少し心に負担がかかりますので、心のケアも必要です。

つまり二つ目の提案は、“仕事経験の与え方を変える”ということです。これまでは、男性社員を中心とした育成制度に女性を乗せてきましたが、女性を中心とした育成制度に男性社員を乗せるくらいの考え方が大切になるのではないでしょうか。このような概念の大きな変化には、強いリーダーシップが不可欠です。これも経営者のリーダーシップに期待する理由です。

女性問題ではなく、全員の働き方を見直すきっかけにしてみよう

超高齢化社会[ⅰ] を迎えた日本にとって、 女性の働き方だけでなく、男性の働き方も見直す必要が出てきているように思います。高齢者の介護は、もはや家族だけの問題ではなく、社会的問題になっていますが、そうは言いながらも、一義的にはやはり家族が協力し合うことが大切[ⅱ]です。その結果、働き盛りで経験を十分に持った世代が、これまでのように、長時間にわたり会社での仕事に従事できる環境ではなくなってきているのです。もし、今のまま社員を長時間拘束すると、“企業活動が、社員の暮らしを壊してしまう” 結果になりかねません。

したがって、自社の全社員の働く時間・場所・働き方について、高度成長期の香りが残るような現状の延長線で捉えるのは効果的ではありません。35歳までの社員は男女共に子育てをしている、45歳を超えた社員は男女共に高齢者の介護をしている、という近未来の現実をしっかりと見つめ、そこで社員にどのように働いてもらうのか、能力を発揮してもらうのかという観点で社員の働き方をデザインする。これが、三つ目の提案になります。これなど、まさに経営者のリーダーシップがなければ、到底取組むことができない課題なのです。

さて、「経営者のリーダーシップと女性活用」ということで書きましたが、それは女性だけの問題ではなく、企業における社員の働き方をどのように考えるのかという見方で3 つの提案をさせていただきました。雑駁であり、まだまだ研究が不足していますが、何かのきっかけにしていただけたらと考えています。■

〔ⅰ〕日本は、2007年より超高齢化率21.5%(超高齢化社会:65歳以上の人口の総人口に占める割合が21%を超える)を迎えた。
〔ⅱ〕上場企業の代表取締役が家庭の都合で辞職するということも現実に発生している。経営者にとっても、自分の問題となり得るといえる。

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