DX成功の鍵(2)~役員層に求められる能力や資質~
分析の視点
DXへの取り組み状況と役員層の能力や資質の関係性
SANNO Analysis Report vol.1では、『2022年度人的資本経営・DXに関する役員の意識調査』のデータを解析し、戦略立案の主体となる役員層のDXの取り組み状況と、それらに影響を与え得る知識要素を明らかにしました。
本分析では第2弾として、役員層のDXの取り組み状況と、それらに影響を与え得る「ものの見方や考え方に関する能力や資質」を明らかにします。なお、本稿での「DX」の定義は、経済産業省が提唱しているDXの3段階のうち、事業やビジネスの変革にあたる「デジタルトランスフォーメーション」です。
分析の概要
分析に用いたデータと分析手法
本分析では、役員層の「ものの見方や考え方に関する能力や資質」がDXの取り組みにどの程度影響を与えるかを確認しました。そのために、説明変数として10項目の能力・資質を使用し、目的変数はDX・デジタル化の取り組み状況のうち「経営戦略と連動し、デジタル技術を活用する事業変革に取り組んでいる」を設定しました。さらに、いくつかの機械学習手法で分析し、評価には正解率、適合率、再現率、F1スコアなどの指標を用いました。その結果、全体的に最も評価指標の数値が高かったサポートベクトルマシンによるモデルを採用することにしました。
分析の結果
能力・資質で最も重要なのは'困難や重圧に屈しない精神力'
分析の結果、DXへの取り組みには以下の順で重要度が高いことがわかりました。
- 1位 困難や重圧に屈しない安定した気持ちを持っている(情緒の安定)
- 2位 人や社会に対して関心を寄せ、幅広く情報を受け入れる力(柔軟な視点)
- 3位 障害があっても安易に妥協せず、自分が信じることを貫く力(信念)
- 4位 世の中の動きに目を向け、過去から未来への大きな流れを捉える力(潮流の把握)
- 5位 短絡的に思考せず、さまざまな角度からものごとを検討する力(多角的分析)
- 6位 一般論をそのまま取り入れず、自分なりの見方でものごとを解釈する力(独自の洞察)
- 7位 どのような困難があっても、覚悟を持って果敢に取り組む力(挑戦)
- 8位 仕事に限らない幅広い活動を通じて、確固たる自信を醸成する力(自負)
- 9位 周囲に流されない揺るぎない自己を持っている(確立した自我)
- 10位 難しい局面でもひるまず、自らの責任で決定する力(決断)
▼本分析結果に基づく考察や詳細などは下記の分析レポートをご参照ください。
筆者プロフィール
藤原 隆明
(Fujiwara Takaaki)学校法人産業能率大学 総合研究所
マーケティング部 マーケティングセンター
プロジェクト・リーダー
データサイエンティスト
- 所属・肩書きは掲載当時のものです。