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第 25 号 TRIZ/ISP入門<第3回>( 2007 年 2 月)

TRIZ Letter 第 25 号掲載

TRIZ/IPS入門 ~初学者と再入門者のためのTRIZ(3)

学校法人産業能率大学総合研究所
経営管理研究所研究員
TRIZスペシャリスト 竹村 政哉

《第3回 TRIZ/IPSの実際(2)~IPSステップ2》

◆はじめに
IPSステップ2では「問題の構造化」を行うが、具体的には、問題解決を図るための「対象システムのモデル化」と「アイデア発想の対象とする問題の確定」を行う。

◆対象システムのモデル化の方法
 対象システムのモデル化のやり方を”プロブレム・フォーミュレーション(PF)”と呼んでいる。PFの作成は、「ステップ1での情報収集結果、ホワイトボード、ボードマーカー2色、大きめなポストイット2色」があれば、どこでも実施できる。

○プロブレム・フォーミュレーションの記述ルール
基本ルールは、次の4つだけである。

(1)機能、作用、状態などを表すボックスと因果関係を表す矢印で表現する、
(2)対象としているシステムにとっての有用性の有無の観点から、ボックスと矢印とを「有益」=緑、「有害」=赤に区別する
(3)矢印の方向を使って「手段→目的」と「原因→結果」の関係を示す
(4)矢印は、スラッシュの「あるもの」と「ないもの」の2種類を用いる

◆アイデア発想の対象とする問題の確定
PF図作成の目的は、「アイデア発想の対象とする問題」を見つけ出すことにある。そのために、「システムの進化と理想性」と「システムの進化過程で出現する矛盾」という観点からPF図を分析する。

○PF図からのアイデア発想テーマ発見の方法(1)「3つの基本観点」

(1)有益機能は、これを改良することでシステムの理想性が高まる可能性を持つ
(2)有害機能は、これを除去あるいは回避、低減することでシステムの理想性が高まる可能性を持つ
(3)矛盾関係は、これを解消することでシステムの理想性が高まる可能性を持つ

○PF図からのアイデア発想テーマ発見の方法(2)「テーマのスクリーニングの方法」
システムの理想性を高めようと考えたとき、どの有益機能(有害機能あるいは矛盾関係)もシステムを望む目標に移行させるのに同じ影響力(寄与率)を持っているわけではない。そこでPF図に示されたメカニズムを詳細に検討し、影響力(寄与率)の高い有益機能(有害機能あるいは矛盾関係)をリストアップする必要がある。これをテーマのスクリーニングという。

○PF図からのアイデア発想テーマ発見の方法(3)「テーマの優先順位付け」
システムを望む目標に移行させるための技術的見通しと理想性向上の度合いから判断し、1群から4群に分類する。アイデア発想は1群から優先的に行う。

◆おわりに
IPSのプロセスをサポートするソフトウェア“IWB”を用いると、PFの作図やアイデア発想テーマの発見において手作業が減少し、プロセスのスピードアップを図ることができる。

本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

現代社会が求める逆転発想による創造的リスクマネジメント<後編>

学校法人産業能率大学総合研究所 教授
工学博士 TRIZスペシャリスト 澤口 学

1.はじめに
全社的リスク管理(ERM:Enterprise Risk Management)を成功に導く大前提として、「社員一人ひとりのリスクに関する意識向上」が欠かせない。
そこで今回は、「リスク管理の当事者である人間(ヒューマン)の特質」に焦点を当てて、個人のリスク評価姿勢との関わりから、“逆転発想による創造的リスクマネジメント”手法の効用を述べる。

2.リスク管理の視点から見た経営資源の役割とその危険性
企業が直面する多種多様なリスクは、経営資源の各要素(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)が複雑に絡み合って発生したケースが非常に多い。これらの各要素は一歩誤るとリスク発生の導火線である“危険な資源”にもなり得ることを忘れてはならない。
リスクに対峙した際の人間が、ヒューマン・リソース(人的資源)足り得る活動を適切に取り得たかどうかによって、リスク管理の成否が決まってしまう。

3.“リスクネックゾーンになり得るヒューマン像”に関する自己認識の薦め
本手法を直接活用する当事者は、ヒューマンという動物はヒューマン・エラーを時として誘発してしまう不完全な動物であるということを自ら自覚しつつ、「リスクネックゾーンに成り得るヒューマンをいかにしてロバスト(頑強)で、危険な資源化しにくい体質に鍛え直していくか」を、時として自問自答する機会も必要であろうと筆者は考えている。

4.リスク評価に対峙した際の“ヒューマン”の心理状態とは
最近の研究成果によると、リスク評価を行なう場面では、「日本人の場合、自己評定の対象が、個人レベルでは過小評価の傾向(つまり自分に対して謙虚)が強いが、組織レベルでは過大評価の傾向(つまりは寛大化傾向)が強い」と言われている。
この理由としては、個人レベルでの過小評価の傾向は、謙虚が美徳とされる日本社会に起因するものであり、組織レベルでの過大評価の傾向は、組織に対する日本人の帰属意識、や忠誠心の高さから、組織にとって不利にならないようにしたいと念じる意識・願望によって生じているという仮説が有力である。

つまり、リスク管理担当者が、本来はかなり大きなリスクだと感じていても、定量化が困難なリスク項目であればあるほど、厳格な評価による「組織内外の人たちによるハロー効果(ここではネガティブな全般的印象の形成を示す)」を想定して、これを回避しようとする思いが勝ることで、最終的には個人レベルでも「リスクに対する過小評価=寛大化傾向」に向かってしまうというわけである。
したがって、“企業(組織)内外の人たちによるハロー効果を回避しようとする思考”が、企業の不祥事の多発化を招かないように、つまりは“想定される負のハロー効果”以上の実害が企業に及ばないように、本手法を通して、どのようなリスク状況下でも個人のリスクに対する評定が寛大化しないような評価姿勢を学ぶべきであろう。

5.まとめ
今後は、ERMの必要性を認識しつつ、最終的には個人がリスクに対峙した際に、いかなるリスク項目に対しても“リスク感受性を高めていくことが最重要課題である”ことを再認識していただければ幸いである。

本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

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