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第 18 号 逆転的発想思考アプローチの活用と創造的リスク対策( 2003 年 9 月)

TRIZ Letter 第 18 号掲載

学校法人産業能率大学 経営開発本部
教育・コンサルティング部研究員
テクノロジーマネジメントユニット
TRIZ スペシャリスト竹村 政哉

    ライブラリー

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    1.はじめに
    AFD (不具合分析( FA 手法)と不具合予測( FP 手法)の総称)については、既に本誌 No. 13「製品の信頼性保証に有効なコンテンポラリー TRIZ ~ AFD の活用(澤口 学, 2001 )」でご紹介させていただいている。 AFD とは、 Anticipatory Failure Determination の略であり、不具合の分析に主眼を置く Failure Analysis (以下、FA手法)と、不具合の予測に主眼を置く Failure Prediction (以下、 FP 手法)の 2 つの手法からなるコンテンポラリー TRIZ の 1 つである。

    < 2-1. AFD とは>
    AFD とは、 Anticipatory Failure Determination の略であり、不具合の分析に主眼を置くFailure Analysis(以下、FA 手法)と、不具合の予測に主眼を置く Failure Prediction(以下、 FP 手法)の 2 つの手法からなるコンテンポラリー TRIZ の 1 つである。
    < 2-2.AFD開発のきっかけ>
    AFD の開発は、 II 社の TRIZ サイエンティストである Boris Zlotin 氏が 1980 年代前半、 VE マネジャーとして、コストダウンなどの推進を行っていたあるプロジェクト活動の中で、「 100% 不具合を起こす方法を考えろ」という指示を出したところ、新しい構造(解決案)を導き出すことに成功したという。
    Boris Zlotin 氏は、この経験を分析し、 3 つの効果を確認し、不具合対策の新しいアプローチ方法を発見した。
    つまり、 AFD の開発は、この奇異な経験の分析結果をスタートとし、方法論として体系化する過程で、クラシカル TRIZ のツールである「リソース(資源)」と強く結びつくことで、手法としての完成が成されたということができる。
    < 2-3 .AFD の基本となる考え方>
    「仮説」によるアプローチとは、不具合の原因を直接追究するのではなく、「リソース」と「逆転発想」を用いて、『理論的に成り立つ不具合を生じさせるメカニズム(これを仮説と言う)』を複数検討し、その中から真の原因となっているもの( FP 手法の場合には、危険な仮説)を特定し、不具合を生じさせているリソースの 1 つを除去することで不具合を解消しようとするものである。
    「リソース」の考え方は、クラシカル TRIZ の基本ツールであるが、「逆転発想」は、クラシカル TRIZ にはないものであり、 AFD 独特のものであると言うことができる。そして、これら「リソース」と「逆転発想」は、 AFD の基本となる考え方であるとともに、「リソース」の考え方が、AFD の論理性を保証し、「逆転発想」の考え方が、AFD の有効性を決定づけているという面においても重要な考え方となる。

    • 2-3-1.リソースの考え方
      「リソース」の考え方をあるシステムで「発火」してしまうという不具合の事例を検討し、既に発生している不具合に必要なリソースを特定し、リソースをどのようなメカニズムで組み合わすと発火という不具合を起こすことができるかという解説がされている。
      FA 手法においては、不具合を起こすことから、 一方、FP 手法においては、不具合の生ずる可能性(つまり仮説)を検討する。
      クラシカル TRIZ の「リソース」という考え方は、不具合の分析にも予測にも非常に有効であり、このFA手法とFP手法は、リソースを用いた表裏の思考方法であると言うことができ、解決案として、不具合を実現するリソースの 1 つを除去することで、不具合を解消しようとする考え方も共通点と言える。
    • 2-3-2.逆転発想の考え方
      「逆転発想」とは、不具合を「故意に発生させる」思考のことを言う。
      FA 手法では、「 1 万個全て同じ不良を出す方法」を考える。つまり、不具合対策における仮説作りというのは、原因追求思考として、技術者は無意識に行っていた行為であるとも言える。

    < 2-4.AFDプロセスの概要>

    • 2-4-1.FA手法のプロセスの概要
      第 1 フェーズでは、1)逆転発想を用い「不具合発生のメカニズムの仮説」をつくりだす。 このFA手法における特徴は、逆転発想を行う際に「問題の増幅」を行うことである。FA手法では、不具合を生じさせるリソース(資源)を特定し、そのうちの 1 つを除去することで、不具合の対策を行うわけであるから、「 1 万個のうち 10 個」ということは考えなくても良いのである。
    • 2-4-2. FP 手法のプロセスの概要
      FP 手法においても第1フェーズの「リソースに基づく不具合発生の予測」のステップが従来の方法論にない特徴となっている。 FP 手法では、存在するリソースがどのような悪影響を持つかということを検討する際に、やはりFP手法独特の方法を用いる。

    3.コンテンポラリー TRIZ の全体像
    その結果、現在、コンテンポラリー TRIZ の体系は、DE 手法( Directed Evolution:本誌No. 15,16,17 を参照)を用いた商品企画から、IPS 手法を用いたネック・エンジニアリングの解決、そして FP 手法を用いた不具合の予測、FA 手法を用いた不具合の解消まで、ものづくりのプロセス全体をカバーするところにまでなったのである。

    本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

    ~ヒューマンエラー防止に役立つ新しいリスクマネジメントの考え方~

    校法人産業能率大学 経営開発本部
    教育・コンサルティング部研究員   川崎 俊一

    学校法人産業能率大学 経営開発本部
    総合研究所 教授
    TRIZ スペシャリスト   澤口 学

    1.はじめに
    従来のヒューマンエラーにもとづく事故防止の技術は、基本的に過去に発生した事故の事例研究に基づくものであり、過去に経験したことがないヒューマンエラーによる事故予防まで想定したロバストネス(頑強)な方法論はまだ確立していない。

    2.組織の発展とヒューマンエラーの関係
    組織が成熟期から衰退期にさしかかると、内部的には慣れが生じ、外部的には環境の変化を認識できなくなる。

    3.事故とヒューマンエラーの関係
    ヒューマンエラーにもとづく事故は、感覚、思考、行動のどこかに問題があった場合や、感覚、思考、行動の相互作用によっても生まれる。

    4.従来のヒューマンエラーにもとづくリスク分析の方法
    従来のリスク分析は、過去に起きた事故の原因をヒューマンエラーの構造にあてはめていくことからはじめる。

    5.あたらしいヒューマンエラーにもとづくリスク分析の方法~サボタージュ・アナリシス
    リスクを認識することは非常に重要なことである。もし、リスクを認識できなければそのリスクへの対策を講じることができず、また、リスクへの認識が不充分であるとそのリスクへの対策も不充分なものとなってしまう。

    6.サボタージュ・アナルシスの進め方
    サボタージュアナリシスの基本的な進め方(実施手順)を整理したものを紹介している。

    1)対象システムの状況探索:ステップ 1
    検討対象システムの情報収集を行い、対象システムの状態把握を行う。(図 7 参照)
    2)システムリスクの強・弱ゾーンの探索:ステップ 2
    システムのリスクに強いところと弱いところの把握をする。(図 3 参照)
    3)リスク探索:ステップ 3
    弱いゾーンを中心にそのシステムがもっているリスクを抽出する。
    4)事故発生シナリオの作成:ステップ 4
    リスクを故意に増幅し、正の思考でわざと事故を発生させる方法の検討を行い事故のストーリー(一種のシナリオ)を作成する。ヒューマンエラーを防止するためにはヒューマンエラーモジュール(積極的に創造したヒューマンエラーの例)を追加して検討する。
    5)リスク回避対策案の検討:ステップ 5
    事故が実際に発生するのための条件を把握し、事故の大きさや発生の可能性から取り上げるべきリスクの検討を行う。その後、事故を再現するストーリーを反転させて事故防止案(対策案)を観点別に検討する。

    ●事故の大きさや発生の可能性の評価

    • 事故の大きさ
      人命にかかわるような事故は重大である。
    • 発生の可能性
      どの条件も存在する可能性が 0% の場合には、そのリスクに関しては、"発生する可能性がないリスク"に分類し、対応するリスクに関する仮説を検討の対象外とする。

    6) エンフォースメントシートの作成:ステップ 6
    サボタージュアナリシスはヒューマンエラーによって引き起こす事故やクレームの予防に大きく貢献する手法である。

    本要約は、極めて簡単に要約したものですべてをお伝えしていないことをお含みおきください。

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