体感型研修Beyond ~職場マネジメント編~ 開発者インタビュー

体感型研修Beyond職場マネジメント編の開発者インタビュー

「マネジメントの壁」をいかに乗り越えるか。
マネジャーとしての意識、前向きな心構えを、ICTを通じて獲得する。

肩書きが与えられたからといって、人がそのまま肩書き通りの役割を果たせるわけではない。まして部下たちを率いるマネジャーという立場であれば、なおさらだ。部署の抱える諸課題を洗い出し、部下の思いや人間関係を把握した上で、葛藤し、判断し、成果を出さなくてはならない。そうした職責を果たせるようになるためには、どのような研修が効果的なのか。その問いに対するひとつの解答として本学の経営管理研究所が開発したのが、体感型研修Beyond ~職場マネジメント~というICTを活用したプログラムだ。開発と普及に携わる川村、澤田、迫田の3人に話を聞いた。

“人を動かしながら成果を出すという経験の少ないまま、マネジャーに登用されている現状に着目”

――体感型職場研修Beyond ~職場マネジメント編~ とは、どのようなものなのでしょう。対象や目的などについて聞かせてください。

川村 亜希

まず対象者ですが、今回はプレマネジャーを対象にしております。管理職になる一歩手前の方ですね。マネジメントの疑似体験を通じて、自分なりのマネジャー像を描いていただくことを目的とした研修プログラムになっています。

2018年にリリースしたBeyond第1弾の新入社員編からお話させていただきます。Beyondシリーズのコンセプトは「社会人の壁を乗り越えていく」です。新人社員編では、学生から社会人になったときにぶつかる壁というところに着目しました。実際、導入していただいた企業様からは非常に好評で、不条理に感じる経験から自分なりの仕事センスを考え抜いてもらうという仕組みが評価されたのかなと考えています。

そして今回の第2弾はマネジメントの壁に着目しています。企業の課題意識として今後の職場マネジメントを担う候補者が不足している、という現状があります。その理由の一つとして、組織のフラット化により、係長という職がなくなったため、人を動かして成果を出すという経験をしていないままプレマネジャーになってしまっている状況があります。マネジャーに登用されると、すぐに意識を切り替えて頭角を発揮しなくてならないのですが、企業の思いと実際のプレマネジャーの状況とがうまくマッチしていないということが見受けられるのです。さらに言えば、プレマネジャーの育て方には答えがありません。マネジャーとしての準備期間、捉え方は企業によって大きく異なるため、なかなか研修で対応できていないという現状もあります。

体感型職場研修Beyond 職場マネジメント編の開発と普及に携わる川村、澤田

私どもはそこに着目して、プレマネジャーの方たちの意識を切り替え、マネジャーとして前向きな心構えをつくる研修を目指しました。これまでのマネジメント研修は、一般的にスキル習得を目的としたものが多く、マインドに注目した研修は手薄だったので、Beyond~職場マネジメント編~は、マインドに注目しマネジャーとしての覚悟をいかにして持つかに重点を置いて開発しました。

“マネジャーになってからのスキル研修でなく、なる前のリアルな疑似体験というかつてない研修”

――このBeyondを、プロモーションしていく立場の迫田さんや実際にiPad上に落とし込むプログラミングを担当された澤田さんからはいかがでしょうか。

iPadを用いてマネジメントを疑似体験できる研修は、これまでにないものですので、プロモーション担当としては、この部分をいかにお客様に知っていただくかが大きなポイントになります。プレマネジャーという立場の人たちは、今までマネジメント経験をしたことがありませんし、これまでの研修もマネジャーになってから役割認識やスキル習得を目的とした研修がほとんどでした。そうした中でマネジャーの直面する状況に身を置いて、実際の葛藤や判断を疑似体験できることは、大きな訴求ポイントになると考えています。

またプレマネジャーは、実際のマネジャーである上司に近い立場なので、その上司のよい面も悪い面も見てきていると思います。そういう方たちが、Beyond~職場マネジメント編~のような研修を通して異なる価値観に触れることで、さまざまな気づきにつながるのではないかと思います。

迫田 洋平
澤田 基之

Beyondは、受講者に疑似体験していただくところでiPadというものの操作をあまり意識しないで没入していただけるように、またアプリケーションといった存在を感じないようなものとして開発を心がけてきましたので、自然に使っていただけるとうれしいですね。

“葛藤の中での意思決定。そのリアルな疑似体験を経て得られる深い気づきがマネジャーとしての覚悟を生む”

――プレマネジャーを対象としたBeyondを開発する上でのこだわりや難しさというものはどうでしたか。

今の擬似体験の部分に関して言いますと、やはり自然と没入できるようなシナリオを志向しており、特に今回こだわったのがマネジャーの心の魃藤の中での意思決定です。実際、マネジャーの方はなにもかもを言葉にするわけでなくて、自分の中でいろいろ考えてから行動されていると思うのですが、そこで部下や上司の言葉をどう受け止め、何を考えながら行動しているのかという心の葛藤も疑似体験ができるという点にこだわりました。

受講者には疑似体験後の振り返りで学びや気付きを得ていただきたいと思います。リアルな疑似体験を元にアウトプットをし、メンバー同士・グループ同士で意見を言い合い、共有しながら気づきを得ます。そしてアウトプットに対してどれだけマネジャーの視座で深く物事を考えたかというところを、講師役のナビゲーターがどんどん深掘りしていきます。ナビゲーターの関わりは苦心した部分でもありますが、かなり深い気付きとマネジャーとしての覚悟が得られるようになっていると思います。

川村 亜希
澤田 基之

技術的に言えば、先ほども言いましたように、受講者にiPadを意識させないくらいに没人させるということが一番難しいことでした。あくまで研修ツールとして作っているので、これ自体が面白い、よくできていると思われるより、このアプリに対する意識がないくらい自然でありたいわけです。その自然さを実現するのは大変難しいことでした。

これからはAIの時代と言われて、なくなる職業もあるなどと盛んに喧伝されていますけれども、このようにICTを活用して、逆に人間の能力を高めることができたら、すごく面白いと思います。

“正解のない中で自分なりの軸を持つ。重圧の中でもへこたれない。そんなマネジャーを育成するために”

――企業の教育担当者の方たちにはどのようなメッセージを伝えたいですか。

現代は非常に変化の激しい時代になってきていますので、たったひとつの正解というものはないと思います。そうした状況だからこそ、人は自分の軸というものを持ち、持つだけでなくそれを表現していくことが求められるのではないでしょうか。そうした時代特性なりニーズにマッチしているのが、正解のないBeyondの研修だと思います。体験を通じて深く考え、借り物ではなく自分の言葉でアウトプットするということが、いままで以上にビジネスの世界において必要になってくると思います。ぜひBeyondをそのきっかけとして導入していただければと思います。

川村 亜希
迫田 洋平

Beyondは、ただ与えられたものを学んでいくのではなく、いかに自分の考えや軸をつくり、自ら乗り越えていくか、そういうものを育てていく研修だと思っています。マネジャーとしての責任や当事者意識をしっかりと醸成していく研修ですので、プレマネジャー層の方たちが実際にマネジメントの役割を担うとき、いわゆるリアリティーショックではないですが、そういった重圧を受けてもへこたれないような高い視座・広い視野をつくるきっかけとなる、他にはない研修だと理解しています。

またこの研修は、プレマネジャー層ばかりでなく、例えば新任の管理職や既任の管理職の方々にもふさわしいのではないかと考えています。新任の管理職でいえば、その役割が変わったことをきちんと受け入れ、これから直面する課題を前向きにとらえて乗り越えていくという覚悟を持っていただけるのではないかと思います。さらに既任の管理職の方々については、このBeyond~職場マネジメント編~を通じて、これまでのマネジメントに対する姿勢を見つめ直し、これからのマネジメントとの向き合い方を改めて練り直す機会にしていただけるのではないかと考えています。プレマネジャー、新任管理職、既任管理職の方々にも活用していただきたいプログラムです。

体感型研修Beyond ~職場マネジメント編~

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マネジメントの悩ましい状況を疑似体験できる職場体験型演習と、その体験から自身の気づきや感じたことの振り返りを行うことでマネジャーとしての心構えを醸成します。