「職場の蘇生」~先手を打つ管理者こそが、活力ある職場を創り出す~【第1回オリエンテーション】
管理者育成が喫緊の課題
~組織活動のさらなる推進のために管理者のマネジメント能力開発が不可欠
人材開発上の課題
従業員規模別(300人未満、300~500人未満、500~1000人未満、1000人以上)に区分して見た場合においても、どの従業員規模でも共通して、「管理職のマネジメント能力を高めること」が社内の人材育成上の課題の1位として挙がりました。
人材育成上の課題(従業員数別)
これらの結果から見えてくるのは、組織の今後を考える上で最も重視されていることは、管理者の機能不全の回復、管理者のマネジメント力を発揮させていくことになります。
経営層と現場を結びつける組織の要(かなめ)として管理者に如何に機能してもらうか、といった意識が高くなっています。
経営層と現場を結びつける組織の要(かなめ)として管理者に如何に機能してもらうか、といった意識が高くなっています。
管理者を取り巻く職場状況
業務量が増加し、成果プレッシャーが強まる職場状況
3年前と比較して、職場にはどのような変化があるかを尋ねた結果として、最も回答が多かったのは「業務量の増加」でした。職場で抱える業務量が増えていることが伺えます。また、次に、「成果へのプレッシャーが増加している」ことも回答が多かった項目です。職場で抱える業務量が増えると共に、成果へのプレッシャーも高まってきています。
職場の余裕がなくなってきていることが伺えます。
職場の余裕がなくなってきていることが伺えます。
多様化が進行する職場状況
また、本調査(“第3回 上場企業の課長に関する実態調査”)では、過去の調査結果(第1回は5年前、第2回は3年前に実施)と比較し、回答結果の変化も確認しています。下記がその一部です。
過去(第2回:3年前に実施)と比較すると職場の状況として、「外国人社員が増加」、「非正規社員が増加」への回答率が上昇しています。また、職場の部下の様子については「介護が必要な家族を持つ部下がいる」、「外国人の部下がいる」なども上昇しています。
以前と比較すると、職場内の状況として多様化が進んでいることが伺えます。
以前と比較すると、職場内の状況として多様化が進んでいることが伺えます。
管理者のプレイヤー業務がマネジメント業務に支障をきたしている
また、同調査では、半数以上の管理者が、プレイヤー業務がマネジメント業務に支障をきたしていると回答しました。プレイヤー業務とマネジメント業務の兼ね合いについても直面した課題であることがうかがえます。
上記のような結果に関連する声は、企業におうかがいする中でも聞こえてきます。
先日、管理職向けの研修を行うためにあるメーカー様にお伺いした際に、課長職の方が「職場のメンバー数が益々減っており、一人ひとりの担当業務量が増えざるをえません。一方で、働き方改革という名の下で、如何に効率よく時間を制限しながら生産性をあげていけばよいか、という課題に直面しています。そのような話をしている中で、家庭の事情で1年ほど職場を休むメンバーが出ました。家庭の事情を応援する気持ちがある一方で、職場のメンバーが一人減ってしまう現実に正直なところ辛さを感じます。職場の人数が減る中で、残ったメンバーでどう役割分担し、職場を回していけばよいかを検討している最中です」と。人が足りなければ人を増やせばよいと単純な解決に頼ることが許されない中で、いかに職場としての最適解を出していくかに取り組んでいかなければいけません。
また、別のメーカー様での新任管理者向けの研修では、「私はメンバー時代に、自分とうまが合わない人は同じ職場のメンバーでも、なるべく避けて自分の仕事の障害にならないようにしていました。実際に関わろうとしなかったのです。しかし、いざ管理者になると、そうはいってられません。うまが合わずに避けていた人が自分の部下になるため、上司と部下の関係を良好に維持しないといけなくなったのです。職場内で役割分担をうまく調整して、各自が役割を果たし、職場として成果を出すためです。人員上の余裕もないため、その部下にもしっかり成果をだしてもらうことが私の仕事です」といった声でした。
先日、管理職向けの研修を行うためにあるメーカー様にお伺いした際に、課長職の方が「職場のメンバー数が益々減っており、一人ひとりの担当業務量が増えざるをえません。一方で、働き方改革という名の下で、如何に効率よく時間を制限しながら生産性をあげていけばよいか、という課題に直面しています。そのような話をしている中で、家庭の事情で1年ほど職場を休むメンバーが出ました。家庭の事情を応援する気持ちがある一方で、職場のメンバーが一人減ってしまう現実に正直なところ辛さを感じます。職場の人数が減る中で、残ったメンバーでどう役割分担し、職場を回していけばよいかを検討している最中です」と。人が足りなければ人を増やせばよいと単純な解決に頼ることが許されない中で、いかに職場としての最適解を出していくかに取り組んでいかなければいけません。
また、別のメーカー様での新任管理者向けの研修では、「私はメンバー時代に、自分とうまが合わない人は同じ職場のメンバーでも、なるべく避けて自分の仕事の障害にならないようにしていました。実際に関わろうとしなかったのです。しかし、いざ管理者になると、そうはいってられません。うまが合わずに避けていた人が自分の部下になるため、上司と部下の関係を良好に維持しないといけなくなったのです。職場内で役割分担をうまく調整して、各自が役割を果たし、職場として成果を出すためです。人員上の余裕もないため、その部下にもしっかり成果をだしてもらうことが私の仕事です」といった声でした。
管理者への期待レベルが高まっている
管理者の役割が組織を推進する上で、以前よりも重要視されるようになってきたということでしょう。管理者がきちんと機能する組織であるか否か、あるいは管理者が組織内でしっかり育ったかどうか、が組織の命運を左右するといった見方が一層高まってきています。
これらを踏まえると共に、日ごろの企業現場をご支援させていただいている立場からは、“管理者はトレードオフによる閉塞感を多々感じてしまっている”といったこともいえそうです。
働き方改革推進へ向けた流れも合わせて、なおさらです。
■管理者がトレードオフと感じている諸事項
片方を立てれば片方が立たず ・・・どうすればよいか
これらトレードオフの状況の下でそのままにしていても、状況を打破し成果を見出すことが期待できないのが実情でしょう。
また、単年度の(短期的な)目標達成に追われプレイヤーとしての活動が忙しかったりする中で、職場で発生する諸問題への着手が後手後手となり、その結果コントロール感を失うとともに疲れ、ボディブローが少しずつ効いてくる如く、悪い循環に陥っている管理者も見られます。この悪い循環を断ち切り、職場管理者として後手後手にならず、活気ある職場実現へ向けた転換を図らなければなりません。
これまでの成功体験のみにすがるのではなく、トレードオフと感じてしまっている状況を乗り越え、もう一度、職場としての活力を生み出し、管理者としての機能を回復させ、成果創出を実現させていくためにどのようなことが必要なのか、改めて考える段階が訪れています。
また、単年度の(短期的な)目標達成に追われプレイヤーとしての活動が忙しかったりする中で、職場で発生する諸問題への着手が後手後手となり、その結果コントロール感を失うとともに疲れ、ボディブローが少しずつ効いてくる如く、悪い循環に陥っている管理者も見られます。この悪い循環を断ち切り、職場管理者として後手後手にならず、活気ある職場実現へ向けた転換を図らなければなりません。
これまでの成功体験のみにすがるのではなく、トレードオフと感じてしまっている状況を乗り越え、もう一度、職場としての活力を生み出し、管理者としての機能を回復させ、成果創出を実現させていくためにどのようなことが必要なのか、改めて考える段階が訪れています。
【強い職場づくり】へ向けて、そして、「先手を打つ管理者」を目指して
【強い職場】とは、すなわち、
変化の激しい環境に対処するために、
職場としての柔軟性を高め、変化を吸収しながら、
次へ向けて職場としての体力をさらに増していく職場
そして、メンバー一人ひとりがやりがいを実感し、職場としての推進力が
高まっている職場
そして、今後より求められてくる管理者を、一言で表現するならば、「先手を打つ管理者」といえます。
「成果創出」と「人材育成」の両者を統合させていく職場マネジメントをテーマとする
そもそも、“職場の成果創出”と“メンバーの育成”は別々のものではなく、大きな同じ目的のもとに位置づけられるものです。すなわち、短期的な成果だけではなく、継続的に成果を出すために、あるいは、常に職場として進化・成長していくために、育成活動が職場活動の中にきちんと組み込まれ、同時に進められていくわけです。“メンバーの育成”が“成果創出”と切り離され、単独の目的として位置づけられることはありません。
(学校法人産業能率大学 経営管理研究所 主任研究員 中村 浩史 氏)