調査報告書
自己啓発では、通信教育やeラーニング、書籍・問題集など、さまざまな学習手段が利用されています。昨今では、動画やアプリを活用した学習も広がり、学び方の選択肢はさらに多様化しています。では、同じ自己啓発でも、利用する学習手段によって、学ぶ目的やテーマ、利用者が感じる魅力には、どのような違いや特徴がみられるのでしょうか。
産業能率大学総合研究所は、直近1年以内に自己啓発を行った20~59歳の正社員842人を対象に、通信教育、eラーニング、書籍・問題集、動画・アプリ型学習、セミナー・講習会・勉強会の5つの学習手段について、主に利用している手段ごとの実態を調査しました。
本記事では、学習手段ごとの学習目的、学習テーマ、魅力と、学習における生成AIへの認識について、主な調査結果を紹介します。
「社会人の自己啓発における学習手段の実態調査」報告書
主に利用している学習手段ごとの学習目的、学習テーマ、魅力に加え、学習を始めたきっかけや学習の進め方など、詳細なデータを掲載しています。
さらに、企業の自己啓発支援に求められていることや、CSポートフォリオ分析による通信教育・eラーニングの詳細分析も収録しています。
自己啓発支援を検討する際に知っておきたい実態を、学習手段別に確認できます。
調査概要
調査期間: 2026年3月19日~3月22日
調査方法: インターネットによるアンケート調査
有効回答: 842件
回収方法・有効回答数:
主に利用する学習手段別に各200件、計1,000件の回答を回収。データクリーニングにより158件を除外し、842件を分析対象とした。
※学習手段別に人数を割り付けて回収しており、回答者の構成比は、社会人全体における各学習手段の利用割合を示すものではありません。
調査対象:
▪ 年齢:20~59歳
▪ 性別:男女
▪ 職業:正社員
▪ 学歴:高卒以上
▪ 従業員規模:10名以上
▪ そのほかの条件:直近1年以内に以下のいずれかの手段で自己啓発※を行っている
①通信教育 ②eラーニング ③書籍・問題集
④動画・アプリ型学習 ⑤セミナー・講習会・勉強会
※本調査では、自己啓発を「業務外の時間に自らの意思により、仕事に直接あるいは間接的に関わる知識・スキルなどを学ぶこと」と定義した。
注目データ
◆利用者が感じる魅力は学習手段によって異なる
主に利用する学習手段について、特に魅力を感じる点を尋ねたところ、通信教育では「学習を通じて、成長や達成感を得られること」(35.6%)、eラーニングでは「学んだ内容を実務や日常の仕事に活用できること」(37.2%)が最多となりました。
書籍・問題集、動画・アプリ型学習、セミナー・講習会・勉強会では、いずれも「学びたい内容や知識を習得できること」が最多で、それぞれ40.5%、36.0%、42.2%でした。
また、書籍・問題集と動画・アプリ型学習では、「内容が理解しやすいこと」「自分の都合に合わせて無理なく学習を進められること」も、それぞれ上位3項目に入りました。知識の習得に加え、理解のしやすさや自分のペースで進められる点も魅力として挙がりました。
◆学ぶ目的は「現在の業務に必要な知識やスキルの向上」が全ての手段で最多
主に利用する学習手段について、学習目的を尋ねたところ、5つの手段すべてで「現在の業務に必要な知識やスキルを高めるため」が最多となりました。セミナー・講習会・勉強会では46.0%が回答しました。
通信教育では「将来のキャリアを考え、選択肢を広げるため」(29.9%)、「昇進やキャリアアップを目指しているため」(28.7%)も上位に挙がりました。eラーニングでは「資格取得や試験合格を目指しているため」(28.0%)が2番目に多い回答でした。
書籍・問題集では「学ぶこと自体に関心があり、成長を実感したいため」(30.4%)、動画・アプリ型学習では「趣味や個人的な関心の延長として学んでいるため」(30.3%)が、それぞれ2番目となりました。現在の業務に必要な知識やスキルの向上を中心に、キャリアや資格取得、学ぶこと自体への関心などにも回答が広がっています。
◆学ぶテーマは学習手段によって異なり、専門知識やビジネススキル、業務遂行スキルが上位に
主に利用する学習手段で、学んでいるテーマを尋ねたところ、通信教育では「問題解決力・論理的思考・企画力などのビジネススキル」(32.8%)が最多となり、「自身の職種・業務に特化した専門知識・専門スキル」(32.2%)も同程度の割合となりました。
eラーニングでは「業務改善・生産性向上・段取り力などの業務遂行スキル」(34.1%)が最多で、「IT・デジタルスキル(Excel、データ活用、プログラミングなど)」(30.5%)が2番目となりました。
書籍・問題集、動画・アプリ型学習、セミナー・講習会・勉強会では、いずれも「自身の職種・業務に特化した専門知識・専門スキル」が最多で、それぞれ37.5%、27.4%、49.7%でした。
このほか、書籍・問題集では「資格取得・試験対策」(31.0%)、動画・アプリ型学習では「AI・生成AIの活用スキル」(22.9%)や「語学」(21.1%)、セミナー・講習会・勉強会では「業界知識・業界動向に関する知識」(26.1%)も上位に挙がりました。
◆生成AI利用経験者の58.6%が学習内容の理解に役立つと認識
生成AIの利用経験者674人に、学習における生成AI活用への認識を聞いたところ、「生成AIは、学習内容を理解するうえで役立つと感じる」に肯定的に回答した割合は58.6%でした。また、「生成AIがあることで、学習につまずいたときの不安は軽減されると感じる」(50.7%)、「生成AIがあることで、学習を始める心理的なハードルは下がると感じる」(49.1%)にも約半数が肯定的に回答し、理解の支援に加え、学習に伴う心理的な負担の軽減への認識もみられました。
一方、「教材や講座を利用しなくても、生成AIだけで必要な学習はある程度できると感じる」は48.4%でしたが、「生成AIがあれば、学習しなくてもよいと感じる」は32.5%でした。生成AIだけである程度学べると感じる人は約半数いる一方で、学習そのものが不要になると感じる人は約3割にとどまりました。
※割合は「非常にあてはまる」「ややあてはまる」の合計。
◆基礎的な理解や自分で考える力を重視する割合は、生成AIの高頻度利用層で高い傾向に
学習における生成AI活用の認識について、生成AIの利用経験者を普段の利用頻度別に比較したところ、「生成AIがあるからこそ、基礎的な理解や自分で考える力がより大切だと感じる」に肯定的に回答した割合は、週に数回以上利用する層で66.8%、週に数回未満の層で47.0%でした。
また、「生成AIは、学習内容を理解するうえで役立つと感じる」に肯定的に回答した割合は、週に数回以上利用する層で70.5%、週に数回未満の層で40.7%でした。
今回の回答者では、週に数回以上利用する層は、週に数回未満の層に比べて、生成AIが学習内容の理解に役立つと感じる割合が高く、基礎的な理解や自分で考える力の重要性を認識する割合も高い傾向がみられました。
「社会人の自己啓発における学習手段の実態調査」報告書
主に利用している学習手段ごとの学習目的、学習テーマ、魅力に加え、学習を始めたきっかけや学習の進め方など、詳細なデータを掲載しています。
さらに、企業の自己啓発支援に求められていることや、CSポートフォリオ分析による通信教育・eラーニングの詳細分析も収録しています。
自己啓発支援を検討する際に知っておきたい実態を、学習手段別に確認できます。
