調査報告書
調査概要
この調査は、日本の企業や団体がどのような前提・背景のもと人材育成を行っているか、通信研修、eラーニングをはじめとする各種教育手段の使われ方、使い分け方の現状や、各手段の具体的な用い方などを明らかにする目的で実施しました。
- 調査期間:2019年3月6日~3月22日
- 調査対象:日本企業の人事部門、人材教育部門、経営企画部門、事業部門の人材育成担当者
- 調査方法:インターネット調査
- 回答企業数:149社(有効回答数144社)
教育手段のあり方は、多様化が進んでいます。
従来の通信教育や対面での研修に加え、eラーニングや各種IoT手段を活用した多様な学習方法が、幅広く開発され、取り入れられるようになってきました。
人材育成に取り組む環境が大きく変化している今だからこそ、人材育成の本来の目的といった軸に立ち返り、育成全体を包括的に考えることも大切では、との考えに基づき実施しています。
1.人材育成手段 ~今後、対面研修の実施意向は全体的にダウンするも、多様な手段が実施候補となる
現状、もっとも多く実施されているのは「社内(内部講師による集合研修)」、「外部講師による集合研修」、「民間教育訓練機関の講習会、セミナーへの参加」、「通信教育」、「社・組織内の自主的な勉強会、研究会への参加」です。
今後(今後も)実施したい教育手段としてもっとも多く挙げられたのは「eラーニング」でした。ほか、多くの手段の実施意向が40%以上と横並びに近い状態です。

2.目的別に多様な教育手段が使い分けられている
ある教育目的のために、どのような教育手段を用いるか尋ねました。各手段ごとに、それを用いるとの回答がもっとも多かった目的は次のとおりです。
通信教育 |
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eラーニング |
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集合研修(社内講師) |
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集合研修(外部講師) |
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外部セミナー |
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なお、別途通信教育とeラーニングに絞ってたずねた設問では、「通信教育からeラーニングへの移行を図っている」と回答したのは5.3%。一方、「使い分けている」との回答が32.5%でした。
1つの手段に完全移行というより、ニーズや場面によって使い分けているものと思われます。
3.通信教育とeラーニングの使い分け
通信教育とeラーニングは、“遠隔学習”という点では共通ですが、人材育成の手段としての使われ方、目的や用途に、それぞれ異なる傾向があるようです。
通信教育 |
【活用形態】 通信教育は、「自己啓発」での活用がより多い。 【利用シーン】 通信教育が多く使われている場面は、下記3つ。 ・昇進(役職位が上がる)と連動して受講 ・昇格(職務資格が上がる)と連動して受講 ・昇進・昇格試験のテキストとして受講 昇進・昇格に伴う知識やスキルの向上を期待する場面では、現状では通信教育がより用いられている。 【学習テーマ】 通信教育がより多く選ばれている学習テーマは、下記4つ。 ・ビジネス基礎スキル ・資格取得 ・マネジメントスキル ・コミュニケーションスキル |
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eラーニング |
【活用形態】 eラーニングは「必須受講」での活用がより多い。 【利用シーン】 eラーニングが多く使われているのは、下記5つ。 ・全社で、特定のニーズ・課題に対応するコースを一律受講 ・部門ごとに、特定のニーズ・課題に対応するコースを一律受講 ・職種ごとに、特定のニーズ・課題に対応するコースを一律受講 ・社内研修の事前・事後課題として受講 ・OJTを補完するものとして受講 【学習テーマ】 eラーニングがより多く選ばれている学習テーマは、下記3つ。 ・コンプライアンス、リスクマネジメント関連 ・労務管理、ハラスメント関連 ・健康・メンタルヘルス関連 |

別途おたずねした「活用上の課題」設問において回答の多かったTOP3は、通信教育もeラーニングも、「特定のメンバーだけが受講し、ほかの人はまったく受講しないといった差がある」「自己啓発受講での利用が少ない」「学習した効果が見えづらい」でした。通信教育とeラーニング、悩みは共通するところが多いようです。
4.教育施策の背景~経営戦略と人材戦略
まず、経営戦略と連動して人材戦略が策定されているかについて尋ねた結果、半数以上の企業(52.6%)で、「当てはまる/やや当てはまる」という回答がありました。
また、この経営戦略実現のために必要な人材像を描いたり、またその人材をどのように育てたりしているかについて把握しているかという問いに対しても、当てはまるとの回答は6割前後ほどでした。
人材戦略の詳細な方針について、多くの企業(85.0%)が、今も終身雇用の考え方を基本としていることが分かりました。
また採用に関する問いでは、新規学卒者の定期採用を中心にしている企業は67.6%にのぼりますが、必要があれば積極的に外部から人材を採用している企業も64.3%でした。
終身雇用、新規学卒者の定期採用をベースとした上で、必要に応じて人材を取り込む形で人材の流動化が進んでいるようです。

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通信教育およびeラーニング等の人材育成に関する実態調査報告書
調査では、さらに詳細な項目についてご回答いただき、集計結果をご報告しております。