日本の知財立国とは~音楽で外貨を稼いでこられるか~(7)

日本の知財立国とは~音楽で外貨を稼いでこられるか~(7)

一旦日本の音楽が世界に活躍の場を見いだせれば、あとは如何にマネタイズを最大化するか、が焦点になります。日本で音楽活動をしているアーティストやクリエーターたちは(そしてそれを支える音楽産業も)、ビジネスとして音楽を商品にしているという事実を持って、その音楽には”適正な価格”がつけられ、それを購入した人は”適切に”代金を払ってくれると考えていますが、実はそれは日本国内での常識でしかなく、一歩海外に出てしまうと全く違う対応をしなくてはならなくなります。

すなわち、自分たちの音楽に適正な価格をつける努力(つまり営業努力)をし、売れたら売れたでちゃんと代金を払ってもらえるようにフォロー(つまり代金回収の努力)をしなくてはなりません。払われるべきお金が払われるのが常識、と安心していると何も手に入れることができません。

特にインターネットの世界では、日本発で音楽を世界に紹介することも簡単にできるようになった半面、払われるべきお金が本当に払われているのかを確かめることが難しくなっています。日本の音楽がインターネットを介して世界に受け入れられるように努力をすればするほど、お金の回収にも注意を払わなくては意味がありません。しかし、どうやら日本の音楽産業はそこのところを疎かにして、結果的に大した収入にならなかった、と海外展開をあきらめてしまっていたという過去があります。
そこで、今からは売り出しと回収を1セットと考え、回収はその道のプロに任せる、という考えが大切です。日本の音楽産業が知らないうちに、世界には代理で価格改善の交渉をしてくれるサービスや、払われるべき金員を間違いなく回収してくれるサービスがすでに存在しています。私は現在そのようなサービスを日本の音楽業界に紹介し、大切な資産(音楽)がせっかく世界に受け入れられているのに取りこぼしがないように、と働きかけています。
2020年に開かれるの東京オリンピックのときにはいろいろな日本の曲が世界ヒットし、外貨をしっかりと稼いでこれる環境になっていることを祈りつつ、ひとまず本稿完了といたします。