日本の知財立国とは【第5回】

日本の知財立国とは ~音楽で外貨を稼いでこれるか~ ⑤

2005年あたりからKポップが日本では大成功を収め、今でも複数のKポップアーティストが日本で活躍しています。しかし、その間に海外で同じような成功を収めたJポップ(日本人)アーティストは残念ながら存在しません。一時的に、浜崎あゆみや倖田來未が中国や台湾での公演を成功させたり、SMAPが中国語バージョンの『世界に一つだけの花』をリリースして現地で大きな話題になったりしましたが、継続的な成功を収めたアーティストとは言えません。

これには、市場の大きさに関する問題がありました。実は日本の音楽市場はアメリカと並んで世界の2トップと言えるほど大きく、その次に続くドイツ、イギリス、フランス市場よりも3倍も大きい、という事実があります。これはこれで非常に恵まれたことなのですが、こと海外進出となると、わざわざ市場の小さい国に出向いて成功を目指すよりも、本国(日本)での成功を維持するほうが(少なくとも経済的には)よほどメリットがある、ということになります。

    韓国の音楽市場は日本の約25分の1なので、大きな成功を求めて日本でチャレンジすることは経済的にもそれなりの理由になりますが、日本のアーティストが韓国での成功を求めても経済的な見返りは望めません。アーティスト本人としては、もちろん経済的な見返りばかりがモチベーションではありません。少しでも自分を求めてくれるファンがいるのならば世界の果てまでも出向いて、日本と同じクオリティのショーを見せたい、と思うのが普通です。しかし、音楽産業としてはそうも言っていられません。常にコストパフォーマンスや、リスクとリターンのバランスを考えなくてはならず、結果的に徹底した国際展開に舵をきれるアーティストは現れませんでした。

    そんな中、私はエイベックスを退任します。2014年6月でした。そして、ちょうど退任した直後にシンガポールの友人から相談を受けました。彼は、シンガポールでレストランやショップを相手にしたBGMを提供するビジネスをしていました。契約している日本料理のレストランからは当然のように日本の曲を提供して欲しいとのリクエストを受けるのですが、日本の曲を提供するためには、その曲の音源使用の許諾を原盤権を持つレコード会社から、そして音楽自体の著作権使用許諾をジャスラックのような管理団体から受けなければなりません。これにかかる使用料の支払いは当然のこととして、使用許諾を得るための交渉にかかる時間を考えるととても現実的ではありません。そのため、私の友人は、現実的に日本の曲を集める方法がないか、と相談してきたのでした。


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    各回 公開日
    日本の知財立国とは【連載】 2016年11月24日(木)
    日本の知財立国とは【第1回】 2016年11月24日(木)
    日本の知財立国とは【第2回】 2016年12月7日(水)
    日本の知財立国とは【第3回】 2016年12月21日(水)
    日本の知財立国とは【第4回】 2017年1月11日(水)
    日本の知財立国とは【第5回】 2017年1月25日(水)
    日本の知財立国とは【第6回】 2017年2月15日(水)
    日本の知財立国とは【第7回】 2017年2月22日(水)

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