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人材開発活動に必要なアンケート調査の考え方・すすめ方[連載]~第1回

テーマ:活用できるアンケート調査のポイント

はじめに

経営組織における人材開発(HRD:Human Resources Development)活動を考えてみましょう。
今年度実施した研修で改善するとしたら何を変えるのか、やめてしまうか、やめるとすれば代わりに何をやるのか、そもそも社員のニーズはどこにあるか、など多くの検討事項が挙がってくると思います。
これらの検討を進めたり、判断するために、社員の意識や職場風土をアンケート調査で把握することはよくあることです。
また、定期的に社員意識調査を実施している企業も多くあります。

このような調査は、その目的に合わせて十分に活用できていないというお話を人事ご担当者から聞くことがよくあります。
組織の実態を把握するために調査は行われますが、調査は簡単なものではありません。

そこで、本Web誌上セミナーでは、活用できる調査を実施するためのポイントについて3回に分けて解説していきます。

第1回は、調査の全体像について解説します。
第2回は、調査に使われる質問項目と回答形式について解説します。
第3回は、結果の集計の仕方について解説します。

(誌上セミナー担当:堀内 勝夫 総合研究所)

アンケート調査実施のステップ

一般的に、アンケート調査は次のようなステップで実施されます。

1.調査設計
2.実査
3.集計、分析、報告

1.調査設計 調査設計とは、まさに調査を設計することで、その内容は、以下のようなものです。
①調査の目的を明確にする。
②調査対象を選定する。
③実施する調査のタイプを決定する。
④質問項目・調査票を作成する。(これについては次回詳しく解説をします。)
2.実査 実査とは、調査票を配布回収する、WEBやLANでの実施の場合は回答者の管理をする、インタビューの場合は会場準備と日程調整を行った上で実際にインタビューを実施するなど、データを実際に集めるための作業を言います。
3.集計・分析・報告 集められたデータを集計、分析し、得られた結果について報告します。
(これらについては第3回で解説します。)

1.調査設計

活用できるアンケート調査の第一歩は、調査設計を確実に行うことです。

(1)調査の目的を明確化

アンケート調査を実施する際には、調査の目的や結果の活用方法について明確にしておくことが重要です。
こう言うと、当たり前のように思われるかもしれませんが、企業のご担当者からお話を聞くと、社員意識調査は年1回定期的に実施しているが、役員に報告した後は結果が活用されていないということもあるようです。

そもそも何のための調査なのか、どう活用するのかについて明確にしておきましょう。

例えば、社内研修の受講後アンケートを実施するとします。
その受講後のアンケートは何を目的としたものでしょうか?

・担当した講師の評価をしたい。
・研修の内容がどの程度理解されたのかを知りたい。

単に研修がよかったかどうかを知りたいと言うよりも、もっと掘り下げて考える必要があります。

そのためには例のような目的の連鎖を3~5段階は考えてみましょう。

例示にあるとおり、目的を展開してみると途中で枝分かれすることがあります。右の流れと左の流れでは調査する内容が違ってくることが分かります。

図1

(2)調査対象の選定

調査対象がどういう集団なのかを明確にしましょう。

例えば、社員意識調査では、職場の管理職と一般社員だけを対象とするのか、出向者や、非正規雇用社員(派遣社員、パート社員等)を対象に加えるのかなどを検討しましょう。
また、中途採用の多い会社の場合、あまり社歴の短い方のデータは違う傾向を示すこともあるので留意が必要です。

調査対象が誰なのかを明確にしていくことで、どのような属性が重要かが見えてくることもあります。

調査対象を明確にしておくことは、実査に向けて欠かせないステップとなります。

(3)実施する調査のタイプの決定

調査にはいくつかのタイプがあります。実施の目的に合わせて適切なタイプを選びましょう。

A.得られるデータと対象によるタイプ分け

図2

a.全数調査

全数調査とは、調査テーマに関係する集団全員に対して行う調査です。
例えば、国民(世帯)全体に調査を実施する国勢調査は、全数調査の代表的な例です。
社員意識調査など社内でのアンケート調査を考えた場合、まず全数調査ができないかどうかを検討します。どうしても無理な場合は標本調査を検討します。

b.標本調査

標本調査とは、対象集団の一部分を標本(サンプル)とし、その調査結果から対象集団全体を推測する調査です。
日本人全体の傾向をつかむ世論調査などの一般的な社会調査は日本人全員を調べることができないので、標本調査によって行われます。

「a.全数調査」と「b.標本調査」は調査票(アンケート用紙)を作成し、結果を比率(%)や平均値などで得るので量的調査と言われます。
量的調査は、対象集団について、その全体像を数量として把握することを目的とした調査であると言えます。
アンケート調査と言えば通常この量的調査を指します。

c.集落調査

集落調査は、ある一定のまとまりをもつ地域や集団全体を対象として、その生活や意識、集団内の事象をトータルに捉えようとする調査です。
民俗学のフィールドワークなどがこれにあたります。調査者が対象集団に対して聞き込みを行うだけではなく、その集団と生活行動を共にして、集団の一員として実態を観察する方法が用いられることもあります。

d.事例調査

事例調査は、興味のある特定の現象が起きている集団の中から対象を選び出し、インタビューや資料の収集によって、その現象を把握しようとする調査です。
例えば、営業部門に活気がないなあという問題意識を持った場合、営業部門に所属するマネジャーやメンバー数人にインタビューするといった方法がとられます。

「c.集落調査」と「d.事例調査」は得られるデータが言葉や文字であることから、質的調査と呼ばれます。
質的調査は、少数の事例について、様々な角度から全体像を把握し、さらに普遍化して解釈する調査法であるといえます。


アンケート調査にはよく自由回答の設問がありますが、この場合は得られるデータが言葉や文字であることから、この部分だけは質的調査と考えてよいでしょう。
したがって、アンケート調査と言っても全てが量的調査ということではなく、量的調査と質的調査を複合した作り方もできます。

量的調査と質的調査は、排他的なものではなく両者の良いところを上手く取り入れて実施するとより正確な結果が得られるものです。

パターン1:量的調査に先立って、質的調査を実施し、調査内容を確定するのに役立てる。

図3

例)まず営業部門の数名にインタビューを実施し、そもそも活気がない、モチベーションが低いのはなぜだろうかということについて意見を聞く。次にそれらの意見を元にアンケート調査の設計を行う。

パターン2:量的調査を実施し、その結果の妥当性を確認するために、質的調査を行う。

図4

例)まず社員意識調査を実施する。その結果を各部門長に報告しながら、なぜそういう結果になったと思うか、自部門における課題は何か、等をインタビューする。

パターン3:量的調査と質的調査を同時に行う。

図5

例)社員意識調査を実施する場合、質問項目と回答選択肢だけではなく、自由記述を設けておく。または、インタビューの中や前後で、簡単なアンケートに回答していただく。


B.調査目的によるタイプ分け:現状把握と仮説検証

調査の目的は、現状把握仮説検証の2つに大別することができます。

現状把握とは、知りたいこと(調査テーマ)に関する周辺状況や、何が起こっているのかを把握することを意味しています。いわゆる実態調査というものです。

仮説検証とは、調査の実施者が問題意識をもとに何らかの仮説を設定し、その仮説が本当に成り立っているのかどうかを確認することを指します。

ここでは、前者を目的とした調査を「現状把握型の調査」、後者を目的とした調査を「仮説検証型の調査」と呼んで区別します。
しかし実際には、1回の調査で両者を同時に行う場合が多くあります。

現状把握型の調査は、研修受講後アンケートでは「研修内容が業務に役立つと思った社員が何%いるか」など単純に質問を集計するイメージになります。
それに対して、仮説検証型の調査は、仮説がないと調査ができません。

例えば、「講師のインストラクションが良いと、研修内容を業務に役立てようと思う」という仮説を立て、「講師のインストラクションに対する質問」と「研修内容を業務に役立てようと思うか」という2つの質問の結果が関連しているかをみる必要があります。

したがって、仮説検証型の調査の方が調査設計は難しくなります。
しかし、調査結果を役立てようとすれば、ある現象に対して原因を探っていくことができる仮説検証型の調査の方が有効です。是非仮説検証型の調査にチャレンジしてみてください。

次回は、質問項目の作り方と回答形式の決め方について解説します。

シリーズ:人材開発活動に必要なアンケート調査の考え方・すすめ方【連載】


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