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「若手・中堅社員を育てる」(2):通信研修を活用した階層別教育構築

前回のコラムの最後に、若手・中堅社員を育成するにあたって大事な視点は、段階に合わせて、体系的に成長を支援することだと述べました。
ではなぜ、体系的に支援しなければならないのでしょうか。

第1に、「人はすぐには育たない」ということが挙げられます。
例えば、新しい仕事に就いたとき、すぐにその仕事のエキスパートとして振舞うことは困難です。新しい仕事のプロセスや勘所を理解し、出来なかったことが一通りこなせるようになり、そして、自分なりに工夫し、問題提起ができるようになります。そうしたレベルに熟達するまでには、相応の期間がかかります。これは、どんなに能力が高い人でも程度の差こそあれ同様です。

第2に、「適切なタイミングで、適切な課題を与える」ということが挙げられます。
つまり、その人の能力や意識のレベルによって、成長のための適切な課題が異なるということです。例えば、自分の仕事をこなすことで精一杯の人に対してプロジェクトマネジメントを任せても、それは無理というものでしょう。そういう人には、まずはPDSサイクルの確実な推進や、ミスのない仕事の進め方などを身につけてもらうことが先決です。逆に、ある業務について確実に出来るようになった人に、同じようなことを繰り返しやらせても能力はあまり高まりません。このような人には、新たな成長の課題を与えることが必要でしょう。

第3に、「中期的な視点で考えることが必要」だということが挙げられます。
若手・中堅社員であれば、どんなことに対しても貪欲に吸収して学習することが大切だ、ということもあるとは思います。だからといって、考えもなしにその場その場で指導するというのも好ましくありません。やはり将来的にはどのように活躍してほしいのか、そのためにはどういうステップを踏んで成長してほしいのかを整理し、育成していくことが大切です。

特に、若手・中堅社員は、各職場の第一線で存分に活躍することが期待されますし、1人ひとりさまざまな可能性があり、成長の伸びしろも大きいものです。従って、職場での成果を期待しつつ、中長期的にその段階に合った適切な課題を与え、じっくりと育てていく観点がとても重要になります。

では、どのような体系で考えていくのかということですが、それは各企業の置かれている状況により違いはあります。しかし、共通して言えることは、入社後10年程度までは計画的に、さまざまな職務に対応できるよう幅広く能力や意識を高めていく必要があるということです。

組織の中核を担う人材

上の図は、将来、組織の中核を担う人材になるまでの道筋をシンプルにとらえたものです。
入社後、若手社員は、まず仕事への基本的な取り組み姿勢や仕事の進め方といったビジネスパーソンとしての基礎・土台を築くことが大切です。そして、その土台があってこそ実務担当者として安定的に成果を出せるようになります。さらに、自分1人だけの成果から、リーダーとしてチームで成果を出すことが求められるようになってきます。

このように、「ビジネスの基本ができている若手」「(自分の)成果を出せる担当者」「チームの成果を出せるリーダー」といった3つのステージで若手・中堅社員を捉えると、それぞれの階層での育成課題が理解しやすくなります。
また、それぞれの階層においてどれくらいの期間で成長してもらいたいかという時間的な視点も大切です。人の成長は時間がかかるものですが、その中で、出来るだけ早期に成長してもらうために、密度の濃い良い経験と適切な学習を重ねることが大切です。

若手社員の育成のポイント

それでは、まず若手社員について、詳しく見ていきましょう。
ここでは、若手社員育成の視点として、「自己」「仕事」「関係性」という3つの点から見ていきます。

若手社員育成の3つの視点

第1の視点は、職業人生活における自己を確立するということです。

自己管理しながら、組織からの期待・役割を認識し、主体的に活動するという意識は、年齢・役職・職務にかかわらず、組織で働く上で必要なものです。こうした意識や考え方は、早いうちにしっかりと身につけておくことが大切です。

こうした領域は教えにくいものですので、若手社員にはしっかりと自分で考えてもらうことが必要になります。その際、組織が若手社員にどういう役割を期待しているのか、どういうことが出来るようになってもらいたいのか、といった組織からの期待・役割をはっきり伝え、そうしたことを考えるヒントやきっかけを提供することが肝要です。この組織が社員にかける期待と、社員が望む仕事への期待が一致すれば、それは組織成果へ向かっての直接的な推進力となります。

しかし、必ずしも両者は一致しません。組織は組織目標の達成に向けて社員にそれぞれの役割・成果を期待しますし、社員には自分なりの価値観や思いがあります。また、組織が期待する役割と社員の現有能力とのギャップがあることも多いでしょう。特に、新入社員をはじめとした若手社員には、こうしたギャップが大きく感じられるものです。こうしたギャップを埋めて、両者の期待や思いをすり合わせて、完全に一致しないまでも重なる範囲を広げていけるように働きかけることが求められます。

こうした働きかけを行う上で重要なポイントについて神戸大学の金井壽宏教授は『Inside-Out』『Outside-In』という考え方で説明しています。

『Inside-Out』とは、“私の内なるものの声”、キャリア・アンカーと呼ばれる私の価値観の自覚の上に立つ仕事観から、仕事のやりがいをとらえようとするスタンスであり、“なりたい私から考える”ものです。
『Outside-In』とは、“周囲からの期待”、あるいは、他者と私(組織と私、社会と私)という関係性の中から仕事のやりがいをとらえようとするスタンスであり、“周囲の期待から考える”ものです。

大切なことは、この両者のバランスをとっていくことです。
仕事を通じて自分のやりたいことを実現していくことは、人として当然の欲求でしょう。しかし、組織で仕事をしていく以上、役割を全うしなければその組織にいる意味がありません。こうした両者を対立するものではなく、共通の目標として意味づけることが、個々の社員と組織のギャップを埋めることにつながるのです。


第2の視点は、仕事の基本を確立するということです。

組織での仕事は多岐にわたり、個々の専門領域で分業しています。一方で、どんな仕事にも共通する「仕事の進め方のセオリー」というものがあります。
例えば、確実に仕事を遂行するためのPDSサイクルの推進、QCD(品質・納期・コスト)のバランスを意識した成果創出活動、常に現状より良いものにしていこ うとする改善意欲や問題意識など、こうしたセオリーに沿った仕事の遂行は、職業人生活を通して常に求められます。

土台がしっかりしていれば、安定的に成果を出し続けることが出来るようになりますし、将来の能力向上のためのキャパシティーがより広がるのです。


第3の視点は、他者との関係性の確立です。

これは、周囲と良い関係を築き、影響力を発揮しながら協働を図り、成果を出せる能力を身につけることだと考えていただければよいでしょう。関係性の確立は、これからの時代ますます重要になる要件です。どんな仕事においても、1人でやれることには限りがありますし、何かを成し遂げようとしたら、必ず誰かと 接する必要があります。従って、他者とのコミュニケーションを適切にとりながら、成果創出に向け協働できる能力を身につけなければなりません。

特に、若手社員の時代に身につけておいていただきたいことは、「正確な意思疎通」「能動的フォロワーシップ」の2点です。

「正確な意思疎通」は読んで字の如く、他者と正確に意思のやりとりを行える能力です。当たり前と思うかもしれませんが、これはコミュニケーションの基本で あり、しかも若手社員に限らず、多くの方が案外できていないものです。仕事のトラブルの多くはコミュニケーション不全から始まっているといっても過言では ありません。多様性(ダイバーシティ)が求められる昨今、阿吽(あうん)の呼吸だけでは限界があります。若手の段階からどんな相手とも正確に、それも双方 向に意思疎通できるように育成していく必要があります。

「能動的フォロワーシップ」とは、ここでは「優秀な部下」であろうとする姿勢や態度だと考えてください。組織で仕事する上では、必ず秩序の中で求められる 成果を上げていくことが期待されます。その際、組織やリーダーからの期待に応えつつも、言うべきことがあればはっきり伝えるべきです。こうした姿勢や態度 が、他者からの信頼につながり、その信頼が、他者を動かしていく原点になるのです。つまり、優秀な部下であろうとする態度は、将来のリーダーシップ発揮に 向けた積み重ねになっていくのです。

ここまで述べてきたことをまとめると「自己」「仕事」「関係性」の3点は、職業人生活必須のリテラシーです。従って、若手社員の段階でこれらを身につけておくことは、将来の成長に向けての基盤づくりともいえます。

これらのリテラシーを身につけるためには、仕事での経験を重ねることが重要なのは間違いありません。しかし、第1回コラムでも述べましたが、経験だけでは 限界があることも事実です。特に「仕事」や「関係性」の領域は多分にビジネススキルの領域でもあり、こうしたスキルは学習を通じて身につけることが出来ます。例えば、通信研修外部セミナーなどを活用するのも有効でしょう。

また、職場の管理者やリーダー・先輩とのかかわりは、若手社員の自己確立の領域を含めて大きな影響を与えます。職場の管理者やリーダー・先輩は、若手・中堅社員に対して積極的に指導・育成していくことが大切なのです。

さて、最後となる第3回コラムでは、若手社員に続き、中堅社員の体系的育成について考えていきたいと思います。

「若手・中堅社員を育てる」


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