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【イベントリポート】変革期の“若手”に求めるリーダーシップとその育て方

株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師  前川 孝雄


若手社員のモチベーションをどのように引き出し、高めていくべきなのか。企業の現場で働き方改革や活性化支援を行ってきた前川氏に、事例を紹介いただきながらポイントを話していただきました。

「働きやすさ」の整備から「働きがい」の創出へ
長く活躍するために。今の働き方の常識を捨て、新しい働き方へ
若手に求められるリーダーシップの3ステップ
若手リーダーが育つ現場を創る

「働きやすさ」の整備から「働きがい」の創出へ

私が営む会社は普段コンサルタントとして、人材育成や研修などの仕事をしていますが、今特に企業の関心が高いものが、少子高齢化や人口減少などを背景にした「働き方改革」です。

「一億総活躍社会」の実現に向けて、国や企業ではいろいろな取り組みが行われています。非正規雇用の処遇改善、長時間労働の是正、テレワークの実施、副業や兼業を認める働き方、子育て・介護・病気治療と仕事の両立など、他にもたくさんのことがあると思います。
これらの取り組みは、労働人口として期待されている女性やシニア、外国の方々の働きやすさのために大切だと思う一方、必ずしも個人のためになっていないのではないかと、疑問に思うところでもあります。

なぜなら、産休・育休の取得、残業時間の削減、給与の向上といった、臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが言う「衛生要因」が多いため、働く上での不満は減る一方、その延長線上に満足がない現実があるからです。給料が上がったり、休みが増えたりすることは嬉しいのですが、すぐに当たり前になってしまい、権利意識だけが肥大化してしまう傾向があります。

キャリアの観点からも問題があるかもしれません。
人が成長するのは、自分の持ち味を生かした、少し背伸びをするような仕事へのチャレンジをして、それを乗り越え、後になって振り返ったときです。しかし、組織が守ってくれるだけのぬるま湯的な環境に身を置いていると、人によってはチャレンジする機会が減ってしまうため、結果として、キャリア形成から言えばマイナスになってしまう恐れがあると思います。

当然、やる気に満ちた人が多い職場であれば、高まっていく「衛生要因」に甘える人は少ないかもしれません。しかし現在の日本は、残念ながら先進主要諸国で比較すると、どの国の人たちよりもやる気が低い、という結果が出ています。そのような状態で、「衛生要因」ばかりに力を入れることに対して、私は強い危機感を持っているのです。

「働きやすさ」の整備から「働きがい」の創出へ

では、どのようなことをすればよいのか。
私が考えるのは、古くて新しいキーワードですが「働きがい」の創出です。1人ひとりに合わせた仕事内容や責任、頑張っている姿勢の承認、チームで抱き合って喜び合えるような達成感などです。不満足を減らす取り組みではなく、これらの、満足を増やす、働きがいにつながるような取り組みが大切だと思います。

長く活躍するために。今の働き方の常識を捨て、新しい働き方へ

次に、若手から中堅になるような段階の方々がどういった働き方をすれば、働きがいにつながるのか。これを、「心構え」「仕事の進め方」「人間関係」「仕事・時間管理」「自己研鑽」「プライベート」「キャリア・働き方」という7つの観点からご説明します。

これまでの常識で食えなくなる人・食える人

まずは心構えですが、やれと言われたら盲目的に努力をするような作業ではなく、その目的を理解し、自分なりの工夫を加える仕事をしていく必要があるでしょう。

仕事の進め方も、ただ上から降りてきた目標を達成するために、プロセスを決められた通りにきっちりやる、というものではなく、目標の上にある目的を理解しなければいけません。
目的とは文字の通り、目指す的であり、会社全体から考えると経営理念や社是に当たります。存在目的は何か、それを実現するための途中の目印が目標である、という考え方になります。

人間関係も、今までは組織内の上意下達が当たり前でしたが、常に目的に立ち返り、上司が間違っているのであれば批判ではなく、提案・相談をすることが大切になります。そしてそれを実現するためには、相談できるような、組織内外のネットワークを持って働いていかなければ難しいでしょう。

仕事・時間管理についても、上司の指示・命令ではなく、自己裁量をどこまで広げていけるかが大切になってきます。

自己研鑽は、今までは一生懸命知識を蓄積することに躍起になっていたのですが、今や知識はすぐに陳腐化する時代になりました。例えば仕事をする上でマニュアルがないからできません、という若手がいますが、マニュアルはできた瞬間に陳腐化する、だから自分なりに工夫しないといけない、と考える必要が出てきました。

プライベートも、今までは長時間労働でワーカホリックでしたから、仕事の延長線上で考える人が多かったのですが、これからは趣味や家族、地域の一生活者として、もしくは一個人として生きていけるコミュニティを持つことが大切です。それを通じた相互啓発は、仕事にも生きていくことでしょう。

今の時代はチャンスがとても増えています。例えば女性であれば、産休育休を終えても働くことは当たり前になってきていますし、雇用形態もさまざまになり、転職が視野に入っている人もいます。
そうなると、キャリアに対して受け身のままだと、人が自分と違う生き方や働き方をしていることにとても不安になるのです。選択肢が多い今だからこそ、自分がこう働きたい、ということを内省して軸を定めて、自走者として他の人たちと共栄していくことが大切だと思います。

若手に求めるリーダーシップの3ステップ

このように働き方の変革期に差し掛かっている今、働きがいを感じ、働き続けてもらうためには、若手にどのような能力が必要なのでしょうか。

私が今、開発している通信研修の新しいコース「ホップ・ステップ・リーダーシップ」の中にある、3つのコンセプトをキーワードにご説明します。

    STEP1 自ら仕事・役割を創り出す

    上司に言われたことをそのままやるのではなく、仕事の目的は本当にそれでいいのか、自分の自己研鑽は会社で起こっているある課題に貢献できるのではないか、といったことを自ら考え、会社に提案し、仕事や役割を創り出す力です。

    これは、上意下達が当たり前の組織では、まず組織風土を変えなければ実現できないでしょう。少なくとも、こうした意見を持っている若手の芽を潰さないことが会社としては大切です。

    事例として、地方にある飲食ベンチャー企業をご紹介します。
    この会社は居酒屋を経営しているのですが、居酒屋業界は今、とても難しい経営状態と言ってもよいと思います。安くて当たり前、美味しくて当たり前、綺麗で当たり前と、カスタマー要望は年々高くなっています。しかし、少子化、飲みニケーションの減少等によって内需はしぼんでいます。さらには、就職先として不人気な業界でもあります。
    このような逆風の中、経営を成り立たせて、若者を惹き付けて育て、チームとして事業を進めていくのはとても大変なわけです。

    しかしこの会社は、お客さまに美味しい料理を食べてもらって、お酒を飲んでもらって、喜んでもらうことに対して働きがいを感じるたくさんの若者が集い、盛り上がっていきました。活気あるベンチャーの姿ですね。

    ところが、創業して5年、10年と経ってくると、初期に集った若者たちはさまざまなライフステージを迎え、結婚して子育てをする従業員が出てきます。居酒屋の仕事ですから、特に女性は、夜も仕事だと子育てが難しくなってしまうわけです。

    イノベーションが起きないような大企業だと、「産休育休制度をちゃんとして、みんなも休めるようにしよう」という話になるのかもしれません。衛生要因ですね。しかし中小企業、ベンチャー企業にはそんな余裕はありません。

    そして、八方塞で苦しんでいたその時、イノベーションが起きます。

    何とこの会社では、ワーキングマザーの若手が中心になって、自分たち自身が一生一緒に働く環境をつくると言って、経営陣に対して「この会社で働き続けたい、でも夜は難しいから昼間働きたい。だから、居酒屋ビジネスと親和性の高い、食の生産流通を手がける会社をつくりませんか」と提案したのです。

    経営者も賛同したことで、会社の発展に貢献し子育ても並行できる、自分たちの職場をつくることができました。

    なぜこんなことができたかと言えば、働き方に制約や制限がない若手のタイミングで、仕事の面白さ、働きがいを知っていたからだと考えています。だからこそ、この会社で働き続けたいと思ったのでしょう。

      これが「自ら仕事・役割を創り出す」です。当然、こういった提案を受け入れる土壌を会社の風土として作れるかどうか、上司は若手の部下の意見や意志、思いを聞ける姿勢を持てるかどうかも非常に大切です。

      STEP2 周囲を巻き込む

      自分はこういうことをやりたい、と提案して勝ち取ったとしても、実際に進めていくのもまた自分です。1人の力は限られていますので、周囲を巻き込むことがとても大切です。

      これも事例として、素晴らしい若⼿リーダーのお話をしたいと思います。彼は20代の頃、10万⼈以上の巨⼤な公的組織の若手職員でした。当時、たまたま彼が選ばれて、経営に苦しむ関連団体に1年限定で出向されたことから始まります。

      彼は、出向先の現場の情報を⾒聞きする中で、たった1年では何の仕事もできないことに気付きました。1年目で把握した現状にもとづき、2年目は課題を抽出して、破綻しかけている団体の再建計画をつくりたいと考えたのです。

      ところが、組織のルールでは1年ごとに出向する⼈は代わらなければいけません。でも彼は待ったなしの再建を考えるとこの仕事を続けたかった。しかし、直属の上司である課⻑や、部⻑にも相談したのですが、ルールで決まっているからと断られてしまいました。 これでは埒が明かないと考えた彼は、圧倒的な上を巻き込みました。10万⼈以上の組織のトップです。若⼿を対象としたランチ会の席で、直談判をしたのです。トップですから、ルールではなくもっと⼤局的にモノを⾒ていますので、提案は承認され、出向期間の延⻑が決まりました。まさにSTEP1の「⾃らの仕事・役割を創り出す」ことに成功したのです(直談判の旨は、直属の上司や⼈事の課⻑に、事前に伝えていたということです)。

      その後彼は、酒を酌み交わしたりしながら出向先の⼈を巻き込み、関連組織ともネットワークをつくり、さまざまな施策を進めていきました。やがて、ぜひ再建リーダーになってほしいと担ぎ上げられることにもなったのです。

      彼は悩みました。 もし再建リーダーになったとすると、出向扱いから転籍を視野に入れなければならず、給与も大幅に下がるからです。しかし彼は、誰かがやらなければいけないのであれば、⾃分がやろうと考え、リーダーになることを受け容れたのです。
      彼は再建ビジョンの実現に向けて、共感した多くの人たちを巻き込んで、今も改⾰を推進し続けています。

      これは経験豊富なリーダーだからできる、という話ではなく、彼は20代で、巨⼤な組織の⼀若⼿のときからやっていました。こういったことを皆さんの会社の若⼿にどうやって⾝につけさせるか、体験させるかがポイントでしょう。

      STEP3 成果・結果を出す

      仕事である以上、過程だけでなく結果・成果が出て初めて、手応えや達成感を感じ、次のステップに進むことができますので、ここまで到達することが非常に大切です。

      大手サービス企業グループの傘下にある食品メーカーの社⻑をされているリーダーをここでの事例としてご紹介します。

      彼は営業担当として、同食品メーカーに⼊社しました。一時期は業績がとても好調だったと⾔います。しかし、経営環境が変わり、会社は⾚字になり、倒産の危機に瀕しました。

      そのとき彼は、⼀⽣懸命考えて、新しいブランドの商品を造りました。ネット販売を中⼼に売上が少しずつ伸びていきましたが、もっともっと結果を出したいと考えるようになり、国内での市場シェア大幅アップという目標を⽴て、コンビニへの流通を検討するようになりました。
      ところがその会社では、以前コンビニへの流通させたことがあって、うまくいかなかった過去がありました。また、親会社の創業経営者はブランドが毀損される、というリスクも考えて反対します。

      グループのカリスマでもある経営トップが相⼿でしたが、当時は⼀介の営業担当だったにも関わらず、周りの⼈が⼼配するくらい、彼は喧嘩をしたそうです。⾃分はもうクビだな、と思ったほどだったと⾔います。

      ところが激しく⾔い合った後、その経営トップからあるメールが届いたそうです。「あのときはヒートアップしてダメだと⾔ったけれど、あなたの⾔うことは⼀理あるかもしれない。もっと⾔えば、あなたの⾔っていること、やっていることはもうあなたの職位を越えている、だからあなたは社⻑になりなさい」

      売上を伸ばしたという結果を出していたこと、実際に考えていたことが営業担当としての職域を越えていたため、会社からも認められ、社⻑というポジションへの抜擢につながったのです。

      若手リーダーが育つ現場をつくる

      若手によるリーダーシップは、いずれのステップの事例においても、組織やトップが、その若手を認め、後押しをしていることが分かると思います。
      最後に、若手がリーダーシップを実際に発揮している職場をどうつくっていくかをご説明します。
      キーワードは、「任される」⇔「任せる」、「やり遂げる」⇔「応援する」、「振り返る」⇔「内省させる」ことです。

      現場で人を育てる3つのステップ

      ところが、これをいざ進めようとすると、大抵1つ目からつまずいてしまいます。
      なぜなら、多くの会社では40代50代のベテランが現場で仕事をしているからです。ベテランに代わって若手に任せるのが不安で、そのままベテランにやらせておいた方が安心だからです。これをどうやって変えていくかということをまず考えないといけません。

      2つ目を実現するポイントは、若手がやり遂げるための上司の応援です。昔は四の五の言わずにやれと、時間をかけてやっていたのですが、今は時間をかける訳にはいきません。だから、現場がたくさん持っている知恵、ティップスのようなものを伝達していかなければいけません。

      3つ目は、上司の側から見ると「内省させる」です。これが昭和と現在では大きく変わっていると思います。昔は飲みニケーションがありましたが、今は業務時間内に研修や面談を意図的に設定していくことが求められていると思います。


      若手が育ち、活躍し、働きがいを感じるために大切なことは、若手に求めるリーダーシップ3ステップ、「自ら仕事・役割を創り出す」「周囲を巻き込む」「成果・結果を出す」の実現です。
      そのために、人が育つ現場づくりが大事で、その要となるのが上司です。
      さらには、経営幹部や管理職をはじめ、会社全体としても、「上意下達」「社内政治」「前年比重視」といった内向き・後ろ向き志向を、「自由闊達」「権限委譲」「自律・自走」といった外向き、前向き志向に変わっていく必要があると考えています。


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