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産業能率大学&HR総研: 日本企業における社員の働き方に関する実態調査 速報

「長時間労働」企業は、社内調整重視・場当たり的活動・帰りにくい/休みを取りにくい雰囲気

政府主導で始まった日本企業の「働き方改革」。
今、皆様の企業ではどのように取り組んでいるのか、また、働き方改革の取り組みが経営や仕事の成果にどのようにつながっているか。そうした実態と、今後のあるべき「働き方改革」の方向性を明らかにすべく、産業能率大学総合研究所とHR総研が共同でアンケート調査を実施した。
まずは、残業にかかわる項目について、速報として報告する。

1.調査の趣旨・目的

日本企業における社員の働き方の実態を明らかにするとともに、今後に向けた課題を探り、各社の活動に資するエビデンスを提供する。

2.調査概要

調査対象 : 日本国内に事業所を置く企業の人事担当者
調査期間 : 2017年5月18日~5月31日
調査方法 : インターネット調査
回 収 数:307社

回答企業属性:

回答企業属性

3. 結果のポイント(一部抜粋)

3.1. 規模が大きな企業ほど、実労働時間が長くなる傾向。ただし、300~1000人の中規模企業の中には、残業が常態化している企業も。

  • 昨年度の「正社員1人あたりの1カ月平均」の「実労働時間※管理監督者、短時間勤務、みなし労働時間制、裁量労働制の適用者を除く」についてたずねた。
  • 全体では、「171~180時間」が3割弱と最も多く、次いで「181~190時間」が2割強である。
  • 従業員規模別に見ると、規模の大きい企業ほど法定労働時間を上回る「181時間以上」との回答割合が増える傾向が見受けられ、特に1000~3000人未満企業は5割台半ばである。
  • ただし、より細かく見てみると、「201時間以上」との回答については300~500人未満および500~1000人未満の企業の割合が1割~2割と他の規模と比較して多く、中規模企業の中には残業が常態化している企業が一定数以上存在する様子がうかがえる。

図表1: 実労働時間の状況

図表1: 実労働時間の状況

3.2. 1カ月あたりの所定外労働時間(残業時間)80時間超の長時間労働の社員がいる企業は4割台半ば。特に、従業員規模3000人以上の企業に多い。

  • 昨年度の「1カ月あたりの所定外労働時間(残業時間)が80時間を超えた人※管理監督者、短時間勤務、みなし労働時間制、裁量労働制の適用者を除く」の有無についてたずねた。
  • 全体では、「いない」が「いる」との回答を上回ったものの、回答企業の4割台半ばにおいて、1カ月あたりの所定外労働時間(残業時間)80時間超の長時間労働をしている社員が存在していることが分かる。
  • 従業員規模別に見ると、「いる」と回答した企業は、300人未満では3割強であるが、300人以上では5割台半ば~6割台半ばとその割合が増えており、特に3000人以上が最も多い。

図表2: 1カ月あたりの所定外労働時間(残業)80 時間超社員の有無

図表2:1カ月あたりの所定外労働時間(残業)80 時間超社員の有無

3.3. 多くの企業において、有給休暇取得率は依然として低い。1000人以上の規模の大きな企業は、有給休暇取得率向上に向けての活動が進んでいる模様。

  • 正社員の昨年度の「平均年次有給休暇取得率※年次有給休暇取得日数(繰り越し含む)÷年次有給休暇付与日数(繰り越し含まない)×100」についてたずねた。
  • 全体では、「40%~60%未満」が3割台半ばで最も多く、次いで「20%~40%未満」も3割弱と少なくない。また、有給休暇がほとんど未消化となる「20%未満」との企業も2割弱見られ、多くの企業において有給休暇取得率が低い様子がうかがえる。
  • 一方、従業員規模別に見てみると、「60%以上」との回答は、1000人以上の企業とそれ以外とで差が見られる。1000人以上の企業では3割前後であるのに対し、1000人未満の企業では1~2割にとどまっている。規模の小さな企業よりも大きな企業の方が、有給休暇取得率の向上に向けての活動が進んでいることがうかがえる。

図表3: 有給休暇取得率

図表3: 有給休暇取得率

3.4. 多くの企業において、ライフイベントを支援するための制度の導入率が高い。柔軟な働き方実現に向けての制度は、規模の大きな企業を中心に導入が進んでいる。

  • 導入している制度について、該当するものをすべて選択してもらった。
  • 全体で上位を占めたのは、「育児や介護のために短時間勤務をできる制度」「法定外休暇の付与(慶弔休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇等)」「看護や介護のために休暇を取得できる制度」で、いずれも7割を超えている。多くの企業において、育児や介護等ライフイベントに直面する社員を支援するための制度の導入が進んでいるようだ。
  • 一方、従業員規模別に見てみると、「フレックスタイム制」「ノー残業デーなど定時退社の促進」「在宅勤務制度」といった、社員の柔軟な働き方を実現するための制度については、規模が小さい企業よりも大きい企業の導入率が高い。

図表4: 導入している制度<複数回答>

図表4: 導入している制度<複数回答>

3.5. 長時間労働が疑われる企業では、社内調整の過度な重視や、場当たり的な活動を許容する風土が定着している。また、定時に帰ろうとする雰囲気の欠如や休みを取りにくいという側面も。

  • 風土について、該当するものをすべて選択してもらった。なお、ここでは、長時間労働を助長するであろうものは「ネガティブ要因」、長時間労働を抑制するであろうものを「ポジティブ要因」として整理している。
  • 全体では、ネガティブ要因については、「会議や打ち合わせにかけている時間が長い」が6割台半ばで最も多い。次いで、5割には満たなかったものの、「些細なことでも事前に上司や組織の承諾を得なければならない」「部門間での縄張り意識が強い」などの割合が高く、長時間労働を招くような社内調整や手続きを重んじる企業が多いようだ。
  • 一方で、ポジティブ要因で選択率が高かったのは、「休みを取ることを悪く言う雰囲気はない」「社員同士が互いに助け合う雰囲気がある」で4割~4割台半ばである。いずれも半数には満たないものの、長時間労働解消につながる風土が醸成されている企業も少なくはないようだ。
  • 次に、実労働時間別に見てみると、201時間以上の長時間労働が疑われる企業においては、ネガティブ要因では「会議や打ち合わせにかけている時間が長い」「些細なことでも事前に上司や組織の承諾を得なければならない」「急な方針の変更が多い」「部門間での縄張り意識が強い」などの割合がいずれも5割を超えており、他の企業よりも高めである。社内調整の過度な重視や場当たり的な活動を許容する風土が、長時間労働を招く可能性があることを示唆している。
  • 反対に、実労働時間201時間以上の企業は、ポジティブ要因である「できるだけ定時に帰ろうとする雰囲気がある」「個人の事情を尊重し合う雰囲気がある」「休みを取ることを悪く言う雰囲気はない」の選択率が3割を下回っており、かつ他の企業よりも低めである。定時に帰ろうとする雰囲気の欠如や休みを取りにくい風土が、長時間労働を誘発する要因である可能性が指摘できる。

図表5: 風土<複数回答>

図表5: 風土<複数回答>


【本調査に関するお問い合わせ先】
  学校法人産業能率大学 総合研究所 組織測定研究センター
  担当:田島・新井・鈴木
  email: HRM@hj.sanno.ac.jp

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