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データで読み解く “人材開発の過去、現在、未来” 【第4回 管理職に新たに求められる役割とは】

はじめに

 かつて、日本企業の強みは、“現場を支える管理職にある”といわれていました。しかし、最近は、“管理職に元気がない”“管理職が小粒化している”といった、管理職の存在感の希薄化を指摘する声をよく耳にするようになってきました。

 第4回は、管理職を活性化するにはどうすればいいのかを考えてみたいと思います。

3割以上の企業で管理者が低モチベーション

 各階層のモチベーションの状態についてたずねたところ(グラフ1)、“管理職のモチベーションが低い(「モチベーションが低い」「やや低い」の合計)”と回答した企業は、3割を超えました。“管理職に元気がない”という問題意識を抱えている企業は少なくないことがわかります。

グラフ1 モチベーションの状態

多くの企業にとって、管理職の育成が最重要課題に

 次に、人材開発上の課題をたずねたところ(グラフ2)、7割以上の企業が管理職のマネジメント能力の開発を挙げています。「経営幹部候補者を計画的に育成すること」や「人事制度と教育内容を連動させること」と比較しても差は歴然であり、多くの企業にとって、管理職育成は共通の関心事であることが伺えます。

グラフ2 人材開発上の課題

職場マネジメントに関する能力のニーズが高い

 では、管理職に対してどのような能力を開発することが求められているのでしょうか。課長が強化すべき能力および知識についてたずねたところ(グラフ3)、部下を育成する力が約8割、職場の課題を形成する力が7割強、部下を率いていく力が6割強と、いずれも職場マネジメントに関する能力を研鑽することが求められていることがわかります。

グラフ3 課長に求められる能力・知識

「上司を動かす力」が上位にランクイン

 次に、課長の強化すべき能力・知識について、2010年調査と比較したところ(表1)、「部下を育成する力」や「職場の課題を形成する力」、「労務管理に関する知識」が引き続き上位を占め、職場マネジメントに関する能力・知識が重視されていることがわかります。

 また、2015年調査では、これに加えて「上司を動かす力」が新たに加わっています。「上司を動かす力」は2010年調査では12位でしたが、2015年調査では一気に5位にランクインしています。働きかけの対象が、下位者のみならず、上位者に広がりを見せていることがわかります。

表1 課長の能力開発ニーズについての経年変化

「上司を動かす力」が求められる背景

 では、なぜ今「上司を動かす力」が求められているのでしょうか。
 その背景として、そもそも管理職自身の役割認識が不十分で、管理職が上層部と現場をつなぐ機能を担っている、という意識を持つに至っていない可能性が指摘できます。

 また、管理職が、マネジャーとプレイヤーの役割バランスをとることに失敗している可能性もあります。プレイヤーとして日々の業務に追われるあまり、発言力や自律性を発揮しながら現場の代表として上層部を意図的に動かす、ということにまで手がまわらないのかもしれません。あるいは、忙しさのあまり、上層部と接する機会自体が少ないのかもしれません。

「上司を動かす力」は、職場マネジメントの鍵となる

 管理職の「上司を動かす力」の重要性を指摘したものに、ドナルド・ペルツの研究があります。彼は、上司を動かす力のことを、「上方影響力」と名づけました。そして、上司のメンバーに対する働きかけがポジティブな効果を持つのは、上司の、さらにその上の上司に対する発言力や自律性がある(上方影響力を持つ)時であることを明らかにしました。つまり、上方影響力を持たない上司が、いくらメンバーに対して積極的に働きかけても無意味であるというのです。ペルツの研究から、「上司を動かす力」がいかに重要であるかということがわかります。

「上司を動かす力」を身につけるためには

 では、「上司を動かす力」を身につけるにはどうすればいいのでしょうか。

 まずは、管理職自身の意識改革が求められます。職場内部だけではなく、上層部に対しても影響力を発揮することが求められていることを、管理職自身が認識することが大切です。また、現場を牽引する一方で、現場の要求を通すために上層部に対して積極的に働きかけることが、ひいては職場内におけるマネジメント機能の向上につながるということを理解することも大切です。

 上層部とコミュニケーションを積極的に行って良好な関係を構築し、戦略的に上層部を動かすことができるようになれば、管理職の存在感はさらに増していくと考えます。


(学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 組織測定研究センター
プロジェクト・リーダー 田島 尚子)

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連載 テーマ 公開日(予定)
データで読み解く “人材開発の過去、現在、未来” 連載TOP 2016年8月19日
第1回 教育は投資かコストか 2016年8月19日
第2回 人材開発の主体は個人なのか組織なのか 2016年10月20日
第3回 人材育成の中心を担うのはOJTなのかOff-JTなのか 2016年12月26日
第4回 管理職に新たに求められる役割とは 2017年4月5日
第5回
(最終回)
人材開発部門のこれまでとこれから 2017年5月26日
テーマは若干変更することがあります。予めご了承ください。
著者の所属・肩書きは掲載当時のものです。

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