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企業・団体内教育の今!~最新調査データで見る教育手段の活用実態~【第4回 自己啓発受講での通信教育の役立ち度調査】

 ここまで3回にわたり社会人教育における通信教育の使われ方など見てきましたが、実際のところ、通信教育による自己啓発学習は組織に“効いている”のでしょうか。
 連載最後の今回は、企業・団体のご担当者の実感を探るために、次のような観点(カーク・パトリックが提唱した研修評価の4つのレベルを参照)から見たときの自己啓発受講での通信教育の役立ち度についての調査結果をご紹介します。

カーク・パトリックが提唱した研修評価の4つのレベル

自己啓発の通信教育で組織全体のパフォーマンスが変化・・・5割

通信教育による自己啓発学習の役立ち度

 最も役立つと認識されているのは「学習を通じて情報や知識が獲得されている」で、「非常にあてはまる」26.1%、「ややあてはまる」67.4%でした。また「学習したメンバーが満足している」も「非常にあてはまる」21.0%、「ややあてはまる」70.1%と、いずれも肯定的な回答が全体の9割を超えています。
 次いで、メンバー個人の成果について尋ねた「学習を通じて仕事におけるメンバーの行動が変化している」も、「非常にあてはまる」14.1%と「ややあてはまる」50.3%を合わせて6割超、回答者の約3分の2が肯定的に評価しています。
 一方、「部門・部署のパフォーマンスが変化している」および「組織全体のパフォーマンスが変化している」の2つについては、企業・団体によって効果の実感が2分されるようです。それぞれ肯定的な回答は半数でした。

 では、具体的にどのような企業が、通信教育による自己啓発学習により「組織全体のパフォーマンスが変化している」と回答しているのでしょうか。

「組織全体のパフォーマンスが変化している」企業・団体の特徴

 肯定的な回答(「非常にあてはまる」「ややあてはまる」)をした群と否定的な回答(「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」)をした群との違いを調べたところ、属性上は次のとおりでした。

・従業員規模はほぼ同割合
・業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」および「金融業,保険業」で肯定的回答がやや多い傾向
・上場状況は、一部上場企業がやや多い傾向
・売上高はほぼ同割合、「一定傾向なく変動している」が肯定的回答企業でやや少ない傾向
・経常利益は、肯定的な回答企業で「上昇傾向」との回答がやや多く、「一定傾向なく変動している」が少ない傾向

 属性のほか、通信教育の導入目的のうち、次の6つで違いが顕著でした。目的への該当企業・団体が多い順にご紹介します。

「メンバーのキャリア意識を醸成するため」「メンバーのモチベーションを高めるため」

「メンバーのキャリア意識を醸成するため」「メンバーのモチベーションを高めるため」

 通信教育による自己啓発学習が、組織パフォーマンスに変化ありと認識されているとき、メンバーのキャリア意識醸成やモチベーションを高める目的のもと用いられていることが多いようです。
 なお、通信教育はコース単体では個々に完結したツールですが、これら2つの目的においては、通信教育の自己啓発受講(のしくみ)を実施するという活動自体が手段となっています。より大きな文脈に組み込まれることで、通信教育がコース単体以上の役割を果たすような使われ方です。こうした使い方のあることが、企業・団体によって通信教育が組織的に利用され続ける理由のひとつでしょうか。

「広く一斉に学ぶ必要のあるテーマを学ぶため」

「広く一斉に学ぶ必要のあるテーマを学ぶため」

 この目的は、どちらかというと受講必須の通信教育に多そうな目的であり、実際のところ回答時に意識されたかもしれません。ただ、自己啓発受講でも、例えば企業・団体のご担当者が「全体的にコミュニケーション力を高めたいので、関連コースを多種設けたい」「生産管理に役立つコースを重点的に揃えたい」「組織全体で英語力を強化したいのでさまざまなレベルのコースをラインアップしておく」などと意図することも多く見聞きします。組織全体の必要性を見極めて通信教育をマッチングさせいる企業・団体では、より意図した変化が得られているということかもしれません。

「他の教育手段(研修など)の効果・効率を高めるため」「短期的な達成目標の指標にするため」「内定者の引き留めのため」

「他の教育手段(研修など)の効果・効率を高めるため」「短期的な達成目標の指標にするため」「内定者の引き留めのため」

 この3つは、あてはまると回答した企業・団体が多くない目的ですが、そうした組織個別の目的が明確に意図されて通信教育が用いられる場合、効果の上がる割合が高いようです。
 今回、組織全体のパフォーマンス変化とプラスの関係が顕著だった目的は上記6つでしたが、通信教育をはじめとする教育手段を用いるにあたっては、教育目的を明確にするとゴールが明確になり、個人や組織のパフォーマンスの変化という効果との対応も確認しやすくなるのかもしれません。

人材育成において通信教育を活用する際の課題「効果が見えにくい」

 最後に、通信教育の活用にあたり認識されている課題についての調査結果と、併せて結果に対応するいくつかの施策に関するヒントをご紹介したいと思います。

 人材育成において通信教育を活用する際の課題を尋ねた結果、「非常にあてはまる」「あてはまる」が合わせて50%を超えた項目が以下グラフのとおりです。

通信教育を活用する際の課題

 「非常にあてはまる」との回答が多いトップ3であり、かつ「ややあてはまる」を含めると回答者の70%以上があてはまると回答したのは、「通信教育を受講した効果が見えにくい」「実務にどう役立つかが分かりづらい」「特定のメンバーだけが受講し、他の人はまったく受講しないといった差がある」の3項目でした。
 ほか、「人事制度や他の教育制度との連動を図るのが大変である」「実施のための上層部への働きかけや内部調整が大変である」といった仕組み上の大変さや、「通信教育という手段をどこまで信頼していいか分かりづらい」「メンバーの受講モチベーションが低い」「自己啓発受講制度があることは知られているが、活用されない」のような不活発さへの嘆きなども多くの企業・団体が挙げていました。

 最大の課題は、上位2項目のとおり、具体的な効果の分かりづらさのようです。
 前項のとおり、組織パフォーマンスの変化は、メンバーのキャリア意識醸成、モチベーション向上などのように知識習得を超えたより大きな文脈での目的や、組織個別の目的が明確に意識されていることと関連が見られました。とすると、通信教育を用いる目的が明らかであれば、ゴールと何をすればよいか=効果の基準も明確になり、効果が可視化しやすくなるのではないでしょうか。
 効果が分かりづらいという課題は、通信教育のみならず人材育成全般においてもよく話されています。例えば、通信教育に限らずさまざまな教育の目的と手段を一同に描き出して、教育目的と手段がうまく対応しているか、ヌケ・モレ・ダブリはないか、会社や団体全体の目的と教育目的の対応はどうかなどを確認してみることで、目的と手段、効果の連関の中で手を打つべき箇所が明らかになるかもしれません。

まとめ

 以上、4回にわたり人材育成手段、特に通信教育に焦点を当てた調査の結果をご報告してまいりました。
 通信教育をはじめ、eラーニングや公開セミナー、集合研修、組織内外での研究会など、人材育成で用いられるどのような手段も、それぞれの特徴・長所を持つことを踏まえて、特に通信教育に焦点を当ててお話ししました。また、通信教育の各コースが単体で果たせる役割には限りがありますが、「メンバーのキャリア意識を醸成する」「メンバーのモチベーションを向上させる」のようなより大きな目的のために用いる使い方もあり、組織のパフォーマンス向上に役立つことなどもこの第4回でご紹介したとおりです。
 “人材育成”という大きな概念のままだと、あまりにも漠然としてどこから取り掛かればよいのか、何をすればよいのか途方にくれてしまうこともあるかもしれません。しかしながら、人材育成場面で便利に使えるさまざまなツールがあることや、各ツールの特徴と自社・団体の特徴を考慮しながら育成目的から手段を選んでいけば形になることなどをイメージしていただけたならば幸いです。

 なお、この記事でお伝えしきれなかった調査結果を含む調査報告書も無償でご提供しております。ご興味を持たれた方はこちらのページからご請求ください。

(学校法人産業能率大学 総合研究所 
普及事業本部 マーケティングセンター 末廣 純子)

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連載 テーマ 公開日
企業・団体内教育の今!~最新調査データで見る教育手段の活用実態~ 2016年9月27日
第1回 さまざまな人材育成手段の導入状況・導入目的と教育費の配分 2016年9月27日
第2回 企業・団体内教育での通信教育利用状況 2016年10月20日
第3回 「自己啓発受講」のより詳しい活用実態について 2016年11月21日
第4回
(最終回)
自己啓発受講での通信教育の役立ち度調査 2016年12月19日
テーマは若干変更することがあります。予めご了承ください。
著者の所属・肩書きは掲載当時のものです。

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