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【企業事例】三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 様

企業事例 リーダーシップ開発の取り組み

ワークショップ・プロジェクト活動を起点とした
リーダーシップ開発の取り組み

中堅・リーダー層は、組織の成果を生み出す中心的な存在であり、また次期マネジャー候補になりうる存在でもあります。そのため、現場第一線の立場で周囲に主体的に働きかけ、プラスの影響力を発揮することが期待されています。その一方で、リーダーシップをどう開発していくのか、試行錯誤されている組織も多いのではないでしょうか。

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社   人事総務部 宮崎紘平氏

2016年8月5日に開催したSANNOフォーラム「組織にゆらぎを起こす プロ・リーダーズの育成」では、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社人事総務部の宮崎紘平氏をお招きして、同社のリーダーシップ教育についてお話しいただきました。

さまざまな組織の方にとって、ご参考になる好事例と思いますので、講演の詳細をご紹介させていただきます。

    「想いを抱き」「自ら絵を描いて」「他者を巻き込み」「やり遂げる」リーダーを育成する

    当社は2002年に営業を開始し、金融機関の窓口での保険販売のパイオニアとして、一時払いの個人年金保険や終身保険といった資産形成型商品に特化したビジネスを展開している会社です。

    営業を開始してしばらくは急拡大する市場に遅れを取らないよう、即戦力となる30代半ばから40代前半の社員を積極的に採用していました。しかし、2008年秋に発生したリーマンショックを機に採用活動を当面取り止めたことにより、徐々に40代半ばから50代前半の社員の割合が増え、年齢構成の歪みが顕在化していきました。

    生命保険はお客さまに長きにわたり安心をお届けることが重要であり、お客さまに不要なご心配をお掛けしないためにも会社を安定的に発展させていく責務が私たちにはあります。そのため、年齢構成の歪みは早急に対処すべき重要な課題であり、会社の将来を見据え、積極的に若い世代へ投資する必要がありました。

    そこでまずは2011年度下期から20代半ばから30代前半の若手をターゲットとした中途採用をスタートし、2013年度からは新卒の採用も始めました。もちろん、人件費などの関係からやみくもに増やすことはできませんし、数だけ揃えば良い訳ではありません。採用した若手が将来的に会社をリードする人材に成長して初めて成功と言えます。先ほども話しました通り、当社はそれまで即戦力として専門的な知識やスキルを持った人材を採用していたため、ある特定の領域においてはプロフェッショナルを発揮する一方で、自らの業務領域を限定し、会社や組織に対する当事者意識が低いという社員も少なからずいました。私たちは、こうした状況において、どのようにしたら会社をリードする人材が生まれるのかについて考え、ただでさえ母集団が少ない中で、自然発生的にリーダーが生まれてくることのみでは決して課題が解消しないことから、何かしらの手を打つ必要があるとの結論に至りました。

    そこでまずは会社をリードする人材、即ち「リーダー」とは具体的にどのような資質や能力(リーダーシップ)を備えた人材なのかを徹底的に議論しました。皆さんにもご理解頂けるかと思いますが、「リーダーシップ」については人の数だけ意見があり、当然ながら私たちもまさに議論百出となりました。そうした中で私たちは、必要不可欠な要素として「使命感を持っていること」「自ら絵を描くこと」「他者を巻込むこと」「最後までやり抜くこと」の4つを抽出し、育成の目標を「自ら主体的にリーダーシップ(上記4つの要素)を発揮して働く人を育てること」と設定しました。

    上質な経験を通じてリーダーシップを醸成する

    続いて、いかにしてこうした人財を育成しようとしているのかについて話をします。
    リーダーシップ強化については、多くの企業で様々な取組みがなされており、それらの情報を収集しつつ、関係者で議論を交わしました。そして育成のポイントとして、下記の4つに集約しました。

    ・期待や課題に基づき、適切な役割・業務を担わせ支援すること
    ・より多くの上質な経験を積んでもらえるような環境をつくり出すこと
    ・使命感を持って与えられた環境で最大限チャレンジすること
    ・経験則だけに陥らないよう、リーダーシップの基礎を学ぶこと

    この4つには「職場で取り組んでいくこと」「自ら取り組まなければいけないこと」「人事が支援できること」が混在しています。そこで、会社の状況を勘案しつつ、人事として支援できることを洗い出し、特に重要なものとして「上質な経験を積んでもらえるような環境を作り出すこと」に焦点を当てることとしました。

    それはなぜなのか。まず根本にあるのは、社員は仕事を通じてのみ成長するという考え方です。この考え方に則り、これまでも職場が中心となって個々人の成長に合わせ、ストレッチした業務を与えるように意識してきました。しかし、40代50代の人が担当している仕事を手放してもらい、若い人に引き継ぐことができればよいのですが、ベテラン社員が担当している案件ですから、重要かつ複雑なものが多く、すぐにそれを実行することは大変難しいものです。また、立ち上げ期と比べて会社が成熟してきており、これまで会社を引っ張ってきたベテラン層も豊富にいることから、若手や中堅にとって経験を積めるチャレンジングな業務が豊富にあるとは言えない環境です。

      そこで、人事が主導となって実施する研修を通じて、“上質な経験”を積ませられないかと考え、以下ポイントに留意しながら研修カリキュラムの設計を進めました。

      ●プロジェクトを組んで、実際の職場の問題解決に取り組む
      “上質な経験”のためには、職場とかけ離れたことをやらせても意味がなくなってしまいます。実際の職場の問題解決を通じて、経験を積んでもらおうと考えました。

      ●経営陣を巻き込み、少人数で実施することで受講者の使命感を醸成する
      使命感を持たせるためには経営陣からの期待が及ぼす影響が大きいと考え、役員からの推薦という形で受講者を募りました。また、成果発表会は経営陣に対して行うこととしました。

      ●受講者の「主体性」や「想い」を大切にする
      経営陣を巻き込むといっても、「こんなことは経営陣の前では言えない」といった制約が入ると、諦め感を持ったり、落としどころを探ったりしてしまいます。せっかく時間とコストをかけて行う研修ですから、受講者の「主体性」や「想い」を大切にするよう心がけました。経営陣に対しても、研修の目的である「過程を通じてリーダーシップに必要な要素を学んでいくこと」を理解していただき、発表の内容だけにフォーカスせず目的を意識して欲しいと説明しました。

      ●リーダーシップ発揮に不可欠な要素の基礎を学ぶ
      経験則だけで物事を考えるのではなく、先人の知恵や研究を身につけて現場で創出してもらうことを目的に、しっかりとしたリーダーシップ理論を学ぶ教育機会の提供を考えました。

      研修効果の最大化を目指した研修の実施

      研修の全体像

      こちらは2015年度に実施した具体的な内容となります。研修期間については、受講者が消化不良を起こさずにじっくりと腰を据えて課題に取組むことができること、また中弛みのような時期が発生せず、緊張感を維持しながら取り組むことができることなどを勘案し、10月から2月までの約5か月間としました。この間に4回の通常会合に加えてフォロー会合と最終会合となる成果発表会を実施していますが、受講者はこの会合以外にも自主会合という形で、就労時間外に集まって取組みを進めています。なお、研修を通じて学んだ知識やスキルを実際の職場課題の解決に取組む中で実践することで、より研修効果が高まるようにしています。

      ここで受講者が取り組んだ課題解決の事例をご紹介します。
      このグループは保険事務の業務に関連のあるメンバーが集まり、「改善しなければならないことには気づいているが、声が挙がらない状況を変えたい」「自分たちでも変えられるという自信を付け、改善に積極的に取組むことが当たり前の状況を作りたい」との想いのもとに、非管理職の小集団での改善活動を通じて、改善マインドの推進を行いました。当初は周囲を巻込むことに苦戦したため、まずは少数の協力者を募って少しずつ成功事例を積み上げ、その経験を踏まえて成果発表会で役員に対してプレゼンテーションを行いました。その上で研修期間終了後、自主的にこの活動を継続し協力者を増やし、最終的に50テーマの改善活動に取組み成果を上げました。当然ながら、ここに人事総務部は一切関与せずに、受講者が主体的に行ったものです。

      もちろん、これは数少ない成功事例です。最終会合で役員に向けて発表して終了となるケースが多数です。しかし、この研修では「想い」を持って「主体的」に取組むことの大切さを伝えているため、研修期間後の動きについては各チームに全て任せています。この研修の参加者全てが「リーダーシップ」を身に着け、発揮し続けることが理想ではありますが、「リーダーシップ」は強制されるものではなく、自らの「想い」が起点となるものです。毎年少しずつ「想い」を持ち「行動」に移す社員が生まれ、その社員が核となって周囲の社員に好影響を与えてくれればと考えています。

      研修の成果と見えてきた課題

      それでは最後に成果と課題について触れたいと思います。
      成果としては以下4点となります。1つ目は職場でリーダーシップを発揮する社員が出てきていること(主体性)。2つ目は受講者間のコネクションが生まれて組織間の連携がスムーズになったこと(全体最適、視野拡大)。3つ目は、この研修への参加が若手社員にとって目標となりつつあること(モチベーション)が挙げられます。さらに4つ目として、上記の3つとは少し色合いが違うのですが、受講者をより多面的に観察し、各人の育成課題を明確化できたこと(フィードバック)があります。5か月という長期間、事務局として社員を見たり、さまざまな組織で研修をされている講師の方からフィードバックをいただいたりすることを通じて、各人の強みや弱み、改善すべき点を明らかにできたと感じています。

      課題としては、3つあります。
      1つ目は、受講者の育成課題を職場と共有して、職場と人事総務部が一体となって育成していく仕組みの構築です。従業員数も多くないため、受講者の変化を直接的、間接的に非公式に確認していますが、研修を通じて見られた受講者の強み弱みを上司と人事総務部で共有し、変化を定期的に追う仕組みはありません。人財育成は職場と人事総務部が一体になって初めて実現できますので、こうした仕組みの構築は不可欠だと思っています。2つ目は、人事異動や昇格運営等、人事施策との連動性の深化です。より効果の高いリーダーシップ教育を進めていくためには、この研修が孤立した「点」になることなく、リーダーシップ教育という「面」の一部になる必要があると思っています。3つ目は、主体性に基づく継続的な取り組みを支援する仕掛けづくりです。先ほどあるチームの課題解決の事例を紹介した際、研修終了後の取組みに人事総務部は一切関与せず、あえてそのチームに全て任せているという話をしました。基本的な考え方はこれで良いと考えていますが、一方で成長に繋がる環境を整えることも大切だと感じており、要はバランスの問題なのではないかと思っています。例えば、通常業務との調整を部分的にサポートするなど、継続的に取り組みたいものの処々の事情で躊躇している受講者の背中をそっと押してあげられるような仕掛けが出来たらいいなと思っています。


      高坂一郎

      経営管理研究所 主席研究員 マネジメント研究センター 高坂一郎

      本事例に限らず一般的な企業のワークショップ型のリーダーシップ開発では、研修の中で、受講者の皆様の職場や組織の問題点や課題の解決を図っていきます。最初のプロセスでは、「コミュニケーションが良くない」などの抽象的な問題で留まったり、「あれがない、これがない」、「⾃分ではなく他者が悪い」といった他責思考が顕在化されます。

      なぜ他責思考になっているかといえば、部分思考、つまり通常業務においては、⾃分の仕事に目が注がれているためです。
      担当講師としては、他責思考による提案が出てきた場合、問題に気づいていると理解し受け止めます。さらに、その問題点を上司や周囲に共有し、他の部署もそう感じているのか調べて欲しいと働きかけます。この取材活動を通じて、異なる意見に触れ部分思考から視野を広げていくきっかけをつくるようにしています。

        ただ、他責思考ですから、第2のプロセス段階ではワールドカフェなどの⼿法を⽤いて、自分で何が解決できるのか考えてもらいます。組織から自立したあとに組織の中で「未来」を感じてもらうのです。経営陣の前で発表する際は、社⻑に「これをして欲しい、あれをして欲しい」ではなく、⾃分が組織の中で働きかけたことを発表してもらっています。

        例えば経営塾をやりたいという提案なら、何ができるか検討してもらいます。近くの先輩を囲んだ塾をまず⾃分たちでやってみるなどの意見が出てきす。

        第3のプロセスでは、自ら周囲を動かすことに移行します。自ら⾏動を起こし、周囲に協力してもらう難しさや素晴らしさの経験を通じて主体性や協調性が育まれます。この段階では全体的な視野と具体的な課題が持てるようになります。組織の中で⾃分の役割を⾒つけて働いていく状態が実感できるようになっていきます。
        ワークショップ型の研修では、「組織で自分の役割を見つけて働きかけている状態」と「組織から距離を置く他責思考の状態」を行ったり来たりして発展させます。理想は⾃責思考で主体性が発揮された状態です。研修だけではなく、会社の中でこうした動きをどうつくっていくかが、プロリーダー育成の重要な課題ではないかと思います。


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