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インタビュー特集 プレジデント 編集長 鈴木勝彦氏

専門家が語る2020年 学びの未来とその可能性

変化する環境の中でビジネスリーダーたちのキャリア意識はどのように変わっていくのか。

世界最大のビジネス雑誌として知られる『フォーチュン』と提携し、1963年に日本で創刊された『プレジデント』は、「ビジネスリーダーの問題解決マガジン」として、常に経営者や経営幹部を目指す読者に支持されてきた。
ビジネスそのものというより、ビジネスパーソンに焦点をあて、企業で働く人間を視るというユニークな編集方針を持つ。変貌を遂げつつあるビジネス環境とその将来のイメージについて、『プレジデント』の鈴木勝彦編集長に、お話をおうかがいした。


1968年静岡県浜松市生まれ。
1991年慶應義塾大学卒業後プレジデント社に入社。企画編集部に配属され日本航空のビジネスクラス用機内誌 AGORA(アゴラ)の編集に携わる。94年プレジデント編集部に配属。ブレジデント副編集長、プレジデントファミリー創刊編集長を経て、2012年にプレジデント編集長に就任。現在に至る。

    鈴木勝彦氏

    経営者が繰り返し読みたくなる雑誌を目指して

    プレジデントはビジネスリーダー向けのビジネス雑誌として老舗でいらっしゃいます。
    創刊の頃から現在のような編集方針の雑誌だったのですか。

     当時の広告などを見ても非常にセンスがよく、フォーチュンと提携して創刊したこともあって、ハイグレードな雑誌というイメージで出発しています。わたしは、2012年に編集長になって以来、常に立ち返る原点としているのは、実は創刊号なんです。創刊に先だってゼロ号というテスト版を作って、当時の経済界に配っていたものですから、創刊号にはゼロ号を読んだ人々の「読者の声」というのが掲載されているんです。

     その読者というのが当時の味の素社長、石川島播磨重工業の企画室長、三菱石油の会長といった方々でして、さまざまな声を寄せていただいています。その中でも三菱石油の竹内俊一会長から、こんな「読者の声」をいただいているんです。少し読ませていただくと、『細かい点はさておき「プレジデント」は一度で読み捨てる雑誌ではなく、楽しんで読む雑誌…一度読んでしまっても、また引き出しから出して読む、そんな雑誌であってもらいたいと願っている。それにはまず1ページ、1ページを芸術品にすることだ。この点、カラーポートフォリオは貴重な存在になる。また人間の面を強調したストーリーは非常に楽しめる。そればかりか教訓も得られる。経営者はみな悩みを持っているが、他の経営者がどういう悩みを持ち、それをどう解決していったかということを知りたがっているからだ』と、こんな声をいただいているんです。ですから、プレジデントという雑誌の編集をするうえで、迷ったときは、常にここに立ち返るというようにしています。読者モデルも、創刊以来いわゆるディシジョンメーカー、決定権者の方々を想定して作っていることは変わりません。

    貴重な創刊号などを収めた合本を見せていただいた

    貴重な創刊号などを収めた合本を見せていただいた

    最近のプレジデントの表紙

    最近のプレジデントの表紙

    時代とともに変わる
    ビジネスリーダーのニーズを捉えたリニューアル

    ―― 雑誌としての原点を大事にされながら時代の節目に応じたリニューアルなどもされているようですね。どのような変遷があったのでしょうか。

     1963年の創刊ですので、もう53年になりますが「ビジネスリーダーの問題解決マガジン」という旗は変わっておりません。ただし、その半世紀の間にリニューアルを何度も繰り返してまいりました。その時々の読者のニーズに応えていくために、大きなリニューアル、小さなリニューアル、あるいは日々のリニューアルを繰り返してきています。
     大きな節目でいえば、1977年に「人間は人間に一番興味がある」ということで、ビジネスや歴史上のリーダーたちの人間性に迫るという編集方針に切り替わりました。1980年以降、歴史特集が大きなテーマとして成立し、ヒットするようになります。例えば戦国時代という歴史区分。信長、秀吉、家康といった歴史的人物像の分析です。どのような判断があり、迷いがあり、乗り越えていったかという物語として読まれたわけです。読者の世代は当時の40代、50代で、昭和ヒトケタ生まれが中心の世代。歴史知識も豊富で、例えば太平洋戦争にしても「どこで間違ったのか」というような話が日常会話でなされるような知識レベルの方々でした。

    1990年代に入り、大きな転換点、曲がり角がありました。経済状況としてはバブル経済が弾けて山一証券や北海道拓殖銀行が倒産していきます。その出来事 と裏腹のように自己責任という言葉も出てくる。日本型経営の終焉ということも言われはじめて、終身雇用や年功序列という制度が崩れるわけですが、このあた りで雑誌の表紙もリニューアルします。また、この年代になると読者の世代も戦後生まれの方々になり、歴史に対する知識や感覚も変わってきました。

      そこで 2000年を迎えたときに、ビジネスリーダーの悩みなどについては、歴史のアナロジーよりも直接ビジネスで答えていくということにして、よりスピーディー な発行に切り換えていくわけです。

      読者の関心は
      外的な環境や関係から自己の内面へ

      ―― 雑誌が時代を反映する鏡であるということがよく分かります。では現在の読者であるビジネスパーソンのリアルな関心はどの辺にあるとお考えですか。

       その関心の先が、まず散ってきているという気がします。いろんなものに関心を持っていることはたしかなのですが、一気通貫で関心を呼ぶというテーマがなくなっています。もうひとつ、興味や関心事の幅そのものが狭まっているというようにも感じます。

       2000年の頃、当時の編集長は「記事を作るにあたって、テーマは半径5メートル以内に落とせ」というように言って作っていました。要するに「そのテーマがその人にいかに関係しているか、ということが分かるような形でテーマ設定する」ということです。それが私が編集長になって感じたのは、5メートルよりさらに狭まってきているということです。むしろ2000年から16年経って、5メートルが4メートル、3メートル、2メートルになって、現在では1メートルさえ切って、マイナスに入っている。マイナスとは、もうその読者の内面です。いま、わたしたちの間でよく言われているテーマがあって、ひとつは「お金」、もうひとつは「心理学」。そしてさらにひとつが「ビジネススキル」なんです。要するに自分自身の問題をテーマにしていることが多い。これは時代の必然なんだろうと思っています。

       リアルということで、もうひとつあるのが、読者の女性比率が増えているということです。1994年にわたしがプレジデント編集部に入ったときには女性読 者の比率はだいたい2%と言われていました。現在は各種データを見てみると、女性読者は少ないときで2割、多いときで3割から4割となっています。です が、ときどき女性の読者がサーッと引く言葉があります。それは「偉くなる」とか「出世する」という言葉です。男女の関心事の違いを実感する瞬間ですね。

        求められているのは
        ゼネラリストのスキルを自発的に磨くことができるエキスパート

        ―― 大変興味深いお話です。そうした雑誌編集長としての目から見て、これからのビジネスリーダーたちにどのようなキャリア意識が必要だとお考えですか。

         先ほども少し申し上げましたが、90年代の金融危機以降に大きな転換点がありました。当時は自己責任ということがさかんに言われましたが、現在ではことさらに言いません。これは自己責任ということがあたりまえになったからです。ですから、90年代以降は自分で勉強をして、スキルを身につけ、個々に努力を重ねていくという時代に変化したのだと思います。自分で学ぶということはすごく大事なことですが、なにを学ぶかは本人が決めなくてはならない。もちろん会社がミッションとして決めたものを学ぶ必要もあるでしょうけれど、それにもまして一流になろうというような意欲を持つビジネスパーソンは、自発的にたくさんのことを学ぶ必要があるし、読書を通じて教養全般を身につけることが必要だろうと思います。

         いまは専門的スキルというものがすごく求められるようになっていますが、経営のトップが言われるのは、いまこそゼネラリストが必要だということです。ゼネラリスト、あるいはマネジャー、経営層を目指す人間であれば、もっと本を読み、教養を身につけなければならないし、もっと人間のことを知らなければならないのではないかと思います。いまはエクセルの扱い方や英語の点数をどう取るかという具体的な勉強の方に入っているわけですが、それ以上の知識やスキルが必要ということです。

         さらに言えば、問題解決能力だと思います。以前であれば、米国や英国にあった成功事例もいまはなく、マーケットにどのように働きかけるのが正解か分から ない時代です。どうやったらニーズに応えられるかは自分の頭で考えるしかありません。マネジャー層は、そうした能力を身につけ、磨きをかけなければならないでしょう。

          いまの自分の市場価値だけでなく
          定年後をも見据えて 自身のレベルアップを

          ―― ゼネラリストとして企業内で価値を高めることも必要ですが、一方、外に目を向けることも大切かもしれません。その辺はどのようにお考えになりますか。

           年金の受給開始の年齢は、この後さらに上がっていくでしょう。定年も延びています。するとビジネスパーソン人生はどんどん長くなるわけです。たぶん70歳くらいになる。すると40代、50代のときにはいままでより先を見据えた人生設計が必要になるでしょう。同じ企業にいれば、後輩がマネジャーになるかもしれない。給料が下がるかもしれない。そのとき、自分に先を見据えた設計とスキルがあれば、外に出て行くということも選択肢として大いにあると思います。企業にいてゼネラリストを目指すことも大事ですが、同時に自分の市場価値を高め、自分になにができるか、なにが足りないかということを考えて勉強することも必要でしょう。そうしたモチベーションがないと勉強というのは続かないと思うんです。

           定年後の人生も長いわけです。こうした人生を見据えた、自立するための勉強もこれまで以上に必要になってくるのではないでしょうか。ですから、起業してみる。会社をつくってみるということもあるんじゃないかなと思うんです。そうした目標を立ててみると、なにが足りないか分かってくる。起業するためには、例えば財務や営業の知識も必要になるでしょう。それこそ人間力というものも必要となる。すると、いろんなことを勉強してみたいと思うはずなんです。勉強することが目的というのではなく、なにかをやってみる。そのことが自分の人生を豊かにもしますし、自分自身のレベルアップにもつながっていくと思います。

          校了あけのプレジデント編集部にて

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