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データで読み解く “人材開発の過去、現在、未来”【第1回 教育は投資かコストか】

はじめに

第1回は、企業の教育投資額の動きをご紹介しながら、日本企業の人材育成に対する取り組み姿勢のこれまでとこれからを見て参ります。

人材育成活動に再び注力し始めた日本企業

一人当たり教育投資額(グラフ1)を見てみると、2008年3.1万円から2010年に2.2万円へと約1万円減少したものの、2015年に再び3.0万円へと回復していることがわかります。回答企業が異なるため一概には言えませんが、一旦は縮小した人材育成活動に、多くの企業が再び力を入れ始めている様子が伺えます。

【グラフ1 一人当たり教育投資額・全体(中央値( i ))】

グラフ1 一人当たり教育投資額・全体(中央値)

( i )データを小さい順に並べたとき中央に位置する値

規模が大きい企業ほど教育投資額の増減幅が大きい

次に、規模別(グラフ2)に見てみると、規模を問わず同様の傾向が見受けられます。特に、3,000~5,000人未満や5,000人以上といった、規模が大きい企業の増減幅が大きいことがわかります。2008年に3万円台だったものが、2010年に2万円台に低下するも、2015年には4万円台後半にまで増加。リーマンショック前の水準を上回っており、大規模企業がこれまで以上に人材育成活動に力を入れ始めたことがわかります。

【グラフ2 一人当たり教育投資額・規模別(中央値)】

グラフ2 一人当たり教育投資額・規模別(中央値)

非製造業よりも製造業の方が、増減幅が大きい

一方、産業別(グラフ3)に見てみると、非製造業よりも製造業の増減幅が大きいことがわかります。製造業は、2008年の3.5万円から2010年に1.8万円まで約半額に下落していますが、2015年には3.0万円にまで回復しています。

【グラフ3 一人当たり教育投資額・産業別(中央値)】

グラフ3 一人当たり教育投資額・産業別(中央値)

景気の動向に振り回され続ける教育投資額

このように、教育投資額の増減は、大規模および製造業において顕著であることがわかりますが、これらはいずれも、リーマンショックの影響を大きく受けたと思われる企業群です。やはり人材育成活動には、景気動向の影響を受けやすいという側面があるようです。

このように考えると、今は回復基調にある教育投資額も、いつなんどき削減されるかわからない状況にあるといえます。もちろん、ない袖は触れないのである程度景気の影響を受けるのは致し方ないとは思われます。しかし、それにしてもなぜこうも景気の浮き沈みの影響をダイレクトに受けてしまうのでしょうか。

教育が真っ先に削減されるワケ。それはコストと見なされているから

それは、多くの日本企業において、これまで人材育成活動に関する支出は“投資”ではなく“コスト”であると見なされてきたからではないでしょうか。
ここで投資とコストの違いについて考えてみたいと思います。似たような2つの概念ですが、辞書を引くと、

コスト:何かをするときにかかる費用
投資:リターンを見込んで何かに資金を投じること

といった趣旨のことが書かれています。教育を投資と見るかコストと見るか。どちらも人を育てることにお金を使うということに変わりはないけれども、リターンを見込んで行っているという認識にある場合とそうでない場合とでは、景気悪化時の対応行動が異なってくると思われます。つまり、人を育てることにお金をただかけるのではなくて、人を育てることを通じて組織力を向上させる、競争優位を獲得する、といったリターンを得るためにお金をかけていると認識を改めることで、景気悪化に直面してもいたずらに教育投資額を削減するということはなくなると思われます。

教育はコストではなく、投資である。そうした認識のもと、場当たり的ではなく、目的的かつ計画的に人材育成活動を行うようになれば、育成活動の質が高まりより多くのリターンが得られる。そして得られたリターンをもとにさらに育成活動に注力する。そんな好循環を生み出すことが可能であると考えます。
次回は、“人材開発の主体は組織なのか個人なのか”について考えていきたいと思います。

(学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 組織測定研究センター
プロジェクト・リーダー 田島 尚子)

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連載 テーマ 公開日(予定)
データで読み解く “人材開発の過去、現在、未来” 連載TOP 2016年8月19日
第1回 教育は投資かコストか 2016年8月19日
第2回 人材開発の主体は個人なのか組織なのか 2016年10月20日
第3回 人材育成の中心を担うのはOJTなのかOff-JTなのか 2016年12月26日
第4回 管理職に新たに求められる役割とは 2017年4月5日
第5回
(最終回)
人材開発部門のこれまでとこれから 2017年5月26日
テーマは若干変更することがあります。予めご了承ください。
著者の所属・肩書きは掲載当時のものです。

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