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【第7回】ビジネス場面における“確かめる力”の向上~「検証力」養成についての研究ノート~

2013/09/02

論旨

本稿は、ビジネスの場面で発生する不具合やトラブルを未然に防いだり、発生時の影響を限定的なものとしたりするためのさまざまな取り組みの中から、人(あるいは人間集団)の“確かめる力”の向上に焦点をあて、その必要性と能力向上の方向性について述べるものである。

要点となるのは、仕事上生み出されるモノやコトに対する検証力を養成するための考察である。特に、“確かめる”ための仕組みとしての「レビュー」に着目し、その方法論を確認する。
学校法人産業能率大学 総合研究所 主任研究員 仁宮 裕
著者:学校法人産業能率大学 総合研究所 主任研究員 仁宮 裕(公開当時)

はじめに

新聞やニュースで日々報じられる、鉄道や道路の設備の不具合を原因とする事故、銀行システムや発電所といった社会的なインフラで生じる大きなトラブル。そこまで大きく取り上げられることはないかもしれないが、我々の身近なところで起こっている商品やサービスの品質に関わる問題。こうした事象の発生を減らす、あるいは影響を限定的なものにとどめるために、我々はどのようなことができるのだろうか。

リスクマネジメントや品質マネジメント、あるいは失敗学の知見から、さまざまな提言や取り組みの可能性が提示されているが、有効と思われるアプローチの一つとして「検証」を的確に行うという方法が挙げられるだろう。つまり、仕事をしていく中で生み出すモノ(多くは商品と呼ばれる)やコト(多くはサービスと呼ばれる)といった成果物(中間成果物を含む)を「不具合なく当初の目論見どおりの目的を果たすか」という目で(実際の利用に供する前に)確認する、というやり方である。
この「検証」を的確に行う能力を、組織を構成する個人および職場という人間集団が十分に身につけることができれば、問題の発生や影響を減らすことが可能であるだろうという想定は、受け容れやすいだろう。要は、「検証力」を養成することが問題の予防策の重要な柱の一つとなる、という考え方をとることができる。

ただ、「検証」という言葉を辞書で引くと、「実際に調べて証拠だてること」(岩波国語辞典 第七版)という意味説明が出てくる。日々の仕事の場面で恒常的に「証拠だてる」ことまで求められると、気軽さや手軽さが失われ、日常のビジネスシーンでの実践に躊躇が生まれる懸念もある。
そこで、本稿では「検証力」を、もう少しゆるやかに言い換えた“確かめる力”という言葉をキーコンセプトに据え、その向上の必要性とアプローチについて論じようと思う。

キーワード

【リスク】
経目的に対して、不確実性が引き起こす影響(ISO 31000シリーズにおける定義)

【品質】
本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度(ISO 9000シリーズにおける定義)

【レビュー】
設定された目標を達成するための検討対象の適切性、妥当性、及び有効性を判定するために行われる活動(ISO 9000シリーズにおける定義)

【ウォークスルー】
(1)[演劇]立ちげいこ、リハーサル (2)手順の詳しい説明(ジーニアス英和辞典 第4版)