総合研究所について

【第4回】現場観察からのスピードものづくり企画・設計法~グローバル化の中で地域に即したものづくりを進める~

2013/07/16

論旨

商品が使用される現場への鋭い観察眼の形成と論理的理解を促進し、企業の独自性と斬新さを備えたスピーディーな“ものづくり企画・設計法”を示す。
学校法人産業能率大学 総合研究所 主幹研究員 安達 隆男
著者:学校法人産業能率大学 総合研究所 主幹研究員 安達 隆男(公開当時)

はじめに

グローバルに展開するビジネスで成功するには、各国それぞれの地域の文化や習慣の本質を感度高く見抜き、確かな理解の下、迅速に商品化に結び付けなければならない。また、現地における企画から開発・設計を促進する必要にも迫られている。一方で、自社の持つ独自性を生かし、急速に変化する市場を半歩リードすることにより、競争優位を確保したいところだ。

これまでの、多くの日本企業での商品企画・開発・設計の進め方は、大きく2つに分かれる。ひとつは、組織的にオーソライズされた技法を持たずに主観的に進めるタイプである。このタイプは柔軟ではあるが経営計画と実績の乖離が大きく、ものづくりに関わるノウハウが蓄積されることがない。

もう一つは、技法にこだわりを持ち、緻密なステップや熟練を要する作法を駆使するタイプである。しかし往々にして、多くの社員が熟練には至っておらず、部分最適ではあるが、顧客の現実を踏まえた全体的整合性には課題を残している企業が見受けられる。また、スピード感の欠如も、グローバルビジネスにおいては、チャンスを掴むタイミングを逸するという弊害をもたらしている。

このような状況を好転させることを意図して、本稿が示す手法は以下の特徴を備える。
  1. 顧客が商品を使用する現場を感度高く、かつ論理的に捉えることができる
  2. 論理が一貫した3段階の短いプロセスにより、スピーディーな企画・設計が可能である
  3. 手法の熟達が容易である
  4. 市場ニーズを半歩先取りした斬新なものづくりを実現できる
  5. 企業の独自性を生かしたものづくりができる
  6. 機能設計の過程で発想法を織り込むことにより、特許性の高い構造を実現できる
  7. リスクを排除した機能設計ができる

キーワード

【エスノグラフィー】
フィールドワークによって集団や社会の行動様式を調査する手法

【ダイアグラム・アナリシス】
目的と手段、原因と結果の連鎖により物事を分析・記述するダイアグラム

【ブレイクスルー思考】
G.ナドラーや日比野省三により考案された現状打破をもたらす思考様式

【NM法】
中山正和によって考案された類比発想法

【TRIZ】
G.アルトシュラーを創始者とする革新的問題解決実践技法

【SLP法】
小さな賢人たちになぞらえて発想を広げるTRIZ領域における創造技法

【40の発明原理】
TRIZにおいて技術矛盾を解消するための発想の視点

【分離の法則】
物理矛盾を解消するための考え方の法則

【物質-場分析と76の標準解】
物質とエネルギーから成るモデルにより技術上の問題を解決する手法とその解決パターン

【イフェクツ】
技術上の問題を解決するために用いる原理や資源を問題別に掲載した辞書